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「さあ、座りましょう」優子が円形のテーブルを指差した。「たくさん話したいことがあるの」
6人は円形に座った。健一、優子、雄介、美香、誠、絵里。まるで高校時代のように、自然に笑顔が浮かんだ。
「信じられないな」健一は感慨深く言った。「本当に皆と話している」
「そりゃそうさ」雄介がテーブルを叩いた。「俺たちは生きてるからな」
「雄介くん」優子が優しく諭した。「私たちの状況について、健一くんはもう知ってるのよ」
雄介の表情が少し曇った。「ああ…そうだったな」
健一は不思議に思った。先ほどまで自分たちの死を否定していた彼らが、急に受け入れているように見える。
「皆、自分たちの状況を理解してるのか?」
「完全にではないけれど」美香が静かに答えた。「私たちは死んでしまった。でも、こうして健一くんと会えている。不思議な感覚よ」
「夢みたいだ」誠が腕を見つめた。「自分がここにいることが、現実なのか幻なのか分からない」
「でも、嬉しいの」絵里が微笑んだ。「皆と一緒にいられることが」
優子が健一の手を握った。「健一くん、私たちがどんな存在であっても、気持ちは本物よ。君を愛してる気持ちは、昔と何も変わらない」
健一は優子の手の温かさを感じながら答えた。「俺も皆に会えて嬉しい。どんな形であっても」
「ありがとう」雄介が真剣な表情になった。「俺たちを受け入れてくれて」
「当然だよ」健一は皆を見回した。「君たちは俺の大切な友達だ」
その時、健一はふと気づいた。体育館を見回しても、他に参加者の姿が見えない。
「ところで、他の同級生は来ないのか?」
皆が顔を見合わせた。そして、優子が静かに答えた。
「健一くん…この同窓会の参加者は、私たちだけよ」
「えっ?」
「君以外の生きている同級生は、誘われていない」雄介が申し訳なさそうに言った。
健一は衝撃を受けた。「どういうことだ?」
「これは特別な同窓会なの」美香が説明した。「生者と死者が出会う、奇跡の夜」
「私たちの最後の願いを叶えるための」誠が続けた。
「健一くんだけのための同窓会よ」絵里が微笑んだ。
健一は愕然とした。自分だけのための同窓会。死者たちとの、特別な集まり。




