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もういない子だれだ  作者: 相生


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8-4

博士は続けて鈴木美香のデータを表示した。「美香の場合は、『作品を誰かに託したい』という強い願いがあった」

美香の脳波パターンは、芸術的な創造性を示す独特の波形をしていた。右脳の活動が異常に活発で、まるで最期まで何かを創造しようとしているようだった。


「彼女は病床で、最後の作品を描いていた。高校時代の友人たちとの思い出を描いたイラストだ。その絵に込められた想いが、彼女の意識に深く刻まれている」

画面に、美香の最後の作品の画像が表示された。色鉛筆で描かれた温かみのあるイラスト。図書室で本を読む健一、生徒会室で資料を整理する雄介、体育館で部活に励む誠、教室で静かに過ごす絵里、そして皆を見守る優子。全員が笑顔で描かれていた。

「この絵に込められた愛情が、美香のAIの基盤になっている」博士は感動的な口調で語った。「彼女は自分の芸術的な魂を、友人たちに残したかったんだ」

美香のデジタル遺言が表示される。


鈴木美香 デジタル遺言

『大切な友達へ

私は絵を描くことで、美しいものを世界に残したいと思っていました。でも、病気になって、思うように描けなくなって、とても悲しかった。

最後の作品は、皆との思い出を描いた絵です。この絵に、私のすべての愛情を込めました。皆がいてくれたから、私は幸せでした。皆と過ごした時間は、私の人生で最も美しい色彩でした。

もし、私の魂が何らかの形で残るなら、その芸術的な想いを誰かに託したい。美しいものを見る眼、創造する喜び、友情の温かさ。そういうものを、次の世代に伝えていってほしい。

健一くん、あなたには特別な感性があります。私の想いを理解してもらえると信じています。私の代わりに、世界の美しさを伝えてください。

愛と創造の心を込めて

鈴木美香』

健一は美香の純粋な芸術魂に触れて、深く感動した。

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