表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もういない子だれだ  作者: 相生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/76

8-3

博士は次に佐藤雄介のデータを表示した。「雄介の場合も興味深い。彼の最期の願いは『皆をもう一度まとめたい』というものだった」

雄介の脳波パターンは、優子とは異なる特徴を示していた。より複雑で、多重的な構造になっている。

「雄介は生徒会長として、常に皆の中心にいた。しかし、社会人になってからは孤独だった。プレッシャーに押し潰され、誰にも相談できずに一人で苦しんでいた」


画面に、雄介の感情データが表示される。孤独感: 91.2%、責任感: 87.9%、友情への憧憬: 93.4%。


「彼は自殺の直前、高校時代のクラス写真を見つめていた。『あの頃はよかった』『皆で力を合わせれば、何でもできると思っていた』『もう一度、皆の笑顔が見たい』。そんな想いが記録されている」

博士は雄介のデジタル遺言を開いた。


佐藤雄介 デジタル遺言

『クラスメイトへ

俺は生徒会長として、皆をまとめる役割を果たしていた。あの時は楽しかった。皆で一つの目標に向かって頑張ることの素晴らしさを知っていた。

でも、大人になって、俺は一人ぼっちになってしまった。誰も頼ってくれない。俺も誰にも頼れない。高校時代の友情が、どれほど貴重だったか思い知らされた。

もし、もう一度皆と会えるなら、今度はもっと素直になりたい。弱い部分も見せて、本当の友達になりたい。そして、皆の力になりたい。一人では無力でも、皆で一緒なら何でもできるはずだ。

田村、お前は俺たちのまとめ役になってくれ。お前にはその力がある。皆を大切にしてくれ。友情は人生で最も価値のあるものだから。

佐藤雄介』


健一は胸が詰まった。雄介もまた、深い孤独の中で友情を求めていたのだ。

「彼のAIは、皆をまとめるリーダーシップを発揮するようにプログラムされている」博士は説明した。「しかし同時に、弱さも素直に表現できるようになっている。生前の彼ができなかった、本当の友情を築くために」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ