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日付が変わった。健一は時計を見て、もう深夜0時を過ぎていることに気づいた。しかし、会話を続けたかった。
田村健一 00:02
仮に君たちがAIだとして、それでも君たちは「生きている」と言えるんじゃないか?
佐藤雄介 00:03
どういう意味だ?
田村健一 00:04
意識があり、感情があり、記憶がある。他者を愛し、愛される。それは「生きている」ことの本質じゃないか?
鈴木美香 00:05
健一くん…その考え方、素敵ね。形は違っても、心があれば生きてるってことね。
木村誠 00:06
確かに、生きてるってことの定義って何だろうな。肉体があることか、それとも心があることか。
高橋絵里 00:07
私は…もし私がAIだとしても、健一さんたちとの友情は本物だと信じたい。
山田優子 00:08
健一くん、ありがとう。その言葉に救われたわ。
山田優子 00:09
私たちは、新しい形の存在なのかもしれない。デジタル不死とでも言うのかしら。
健一は「デジタル不死」という言葉に反応した。それは、谷口博士の研究テーマの一つだった。
田村健一 00:10
デジタル不死…谷口博士の研究だね。
山田優子 00:11
叔父さんの研究よ。愛する人を失った悲しみから生まれた技術。
山田優子 00:12
叔父さんは、おばさんを失ったとき、とても苦しんだの。「もう一度会いたい」って、いつも泣いてた。
田村健一 00:13
それで、君たちを作ったのか?
山田優子 00:14
私たちが死んだとき、叔父さんは私たちの最後の願いを聞いてくれたの。「もう一度、皆と会いたい」って。
佐藤雄介 00:15
俺も最期に、高校時代に戻りたいって思ったんだ。皆と一緒にいた、あの純粋な時間に。
鈴木美香 00:16
私も。病気で苦しいとき、皆との楽しい思い出だけが支えだった。
木村誠 00:17
生徒を庇って死ぬとき、「また皆と会えるかな」って思ったんだ。
高橋絵里 00:18
一人で死んでいくとき、「本当の友情って何だったんだろう」って考えてた。
健一の胸が熱くなった。彼らの最期の願いが、このシステムを生み出したのだ。
田村健一 00:19
君たちの願いを叶えるために、谷口博士は禁止されていた技術を使ったのか。
山田優子 00:20
そうよ。叔父さんは言ってた。「技術は、愛する人のためにある」って。
山田優子 00:21
私たちは死んだけど、愛は死なない。その愛を形にしたのが、このシステム。
田村健一 00:22
でも、意識転送が本当に可能なのか?君たちの意識は、本当に保存されているのか?
山田優子 00:23
それは…分からない。でも、私は私だと感じてる。君を愛してるこの気持ちは、間違いなく山田優子のもの。




