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もういない子だれだ  作者: 相生


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5-2

『全国紙社会面 3年前 9月22日』

『大手商社に勤務していた佐藤雄介さん(37歳)が21日、都内のマンション自室で死亡しているのを警察が発見した。遺書が残されており、自殺と断定された。


佐藤さんは入社以来、海外事業部で活躍していたが、ここ数年は長時間労働によるストレスで体調を崩していた。会社の産業医との面談記録によると、うつ病の診断を受けており、休職を検討していたという。

遺書には「皆に迷惑をかけてしまった。高校時代の純粋だった自分に戻りたい」との記述があった。高校時代は生徒会長を務め、周囲から慕われていた佐藤さん。同級生の一人は「いつも皆を引っ張ってくれるリーダーだった。こんなことになるなんて信じられない」と語った。

佐藤さんは独身。両親は既に他界しており、叔父が葬儀を執り行った。』


健一は記事を読み返した。「高校時代の純粋だった自分に戻りたい」という遺書の言葉が胸に刺さる。雄介も、最期に高校時代を思い出していたのだ。

そして、ここでも「叔父が葬儀を執り行った」とある。詳細は書かれていないが、これも谷口博士の可能性がある。また、参列していても不思議ではない。


健一は続けて鈴木美香について調べた。

『医療関係誌 2年前 6月8日』

『フリーイラストレーターの鈴木美香さん(38歳)が、白血病のため都内の病院で死去した。享年38歳。

鈴木さんは高校卒業後、美術系の専門学校を経てフリーのイラストレーターとして活動。主に書籍の挿絵や雑誌のイラストを手がけていた。繊細で温かみのある画風で、多くのファンに愛されていた。

しかし、フリーランスという不安定な立場から健康保険の加入が困難で、白血病の診断を受けた時には既に進行していた。治療費の工面にも苦労し、十分な治療を受けることができなかった。

病床で描いた最後の作品は、高校時代の友人たちとの思い出を描いたイラストだった。「もう一度皆と会って、昔みたいに笑いたい」と看護師に語っていたという。

鈴木さんは独身。両親が葬儀を執り行った。多くのファンが葬儀に訪れた。」

健一の胸が苦しくなった。美香も経済的困窮の中で病気と闘い、最期まで友人たちのことを想っていた。


木村誠の記事も見つかった。

『地方新聞 4年前 11月3日』

『中学校教師の木村誠さん(36歳)が2日夕方、下校途中の女子生徒を庇って交通事故に遭い、搬送先の病院で死亡した。木村さんの献身的な行動により、生徒は軽傷で済んだ。

木村さんは体育教師として、また陸上部の顧問として生徒たちから慕われていた。同僚教師によると「生徒のことを本当に大切に思っている先生だった。自分の身を犠牲にしてでも生徒を守る、その行動は木村先生らしい」と語った。

生徒の証言によると、木村さんは事故の直前、「君たちには無限の可能性がある。高校時代の僕のように、純粋な心を持ち続けてほしい」と話していたという。

木村さんは独身。両親は既に他界しており、学校関係者が葬儀を執り行った。』

健一は愕然とした。誠も最期に高校時代のことを語っていた。そして「学校関係者が葬儀を執り行った」。


最後に、高橋絵里について調べた。

『社会福祉関係誌 1年前 12月20日』

『元会社員の高橋絵里さん(39歳)が19日、都内のアパートで死亡しているのが発見された。死因はアルコール性肝硬変による肝不全。発見時、部屋には大量の空き瓶が散乱していた。

高橋さんは大学卒業後、大手企業に就職し順調にキャリアを積んでいたが、5年前に離婚。その後、アルコール依存症となり、会社も退職していた。近隣住民によると、ここ数年はほとんど外出することなく、一人で過ごしていたという。

部屋からは日記が発見され、そこには「本当の愛とは何だったのか。高校時代の純粋な友情が懐かしい。もう一度皆と会えたら、素直な気持ちを伝えられるのに」という記述があった。

高橋さんに身寄りはなく、ボランティア団体の協力で葬儀が執り行われた。』

健一は震えが止まらなくなった。絵里も最期に高校時代の友情を想っていた。健一は震えが止まらなくなった。絵里も最期に高校時代の友情を想っていた。そして、高校時代の恩師が葬儀に参列していた可能性が高い。

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