ミスリルドラゴン
リールはミスリルドラゴンを見据えている。
『反撃しないよな』
ミスリルドラゴンは弱々しく言う。他の4人がいたから強がっていたが正直逃げ出したい。
「大丈夫だ。魔法を試したいんだろ?」
リールは笑顔で答える。自分の実力がどれ程なのか試したいのだ。
リールとミスリルドラゴンは対面に向かい合う。
『よし!いくぞ。』
ミスリルドラゴンは10メートル程飛ぶ。
『霊剣十斬』
ミスリルドラゴンは翼を広げる羽ばたく。
リールに向かって見えないミスリルの刃が飛んでくる。魔力を感じたため目の前に氷の壁を出現させるが、十の刃が瞬く間に氷の壁を砕く。
「凄いな」
リールは、身体に魔力を巡らせ身体強化魔法を使う。力が50段階上がっていく。
見えない刃がリールの右膝を切る。しかし膝に傷は無く、履いていたズボンが切れただけだ。一つの刃が消えた。
「なるほど。あと9つか。」
リールは無防備に両腕を広げる。
9つの刃がリールを襲う。
両手首、両腕、首、頭、腰、背中、左膝と一斉に切られる。
『やっぱり無理か。』
ミスリルドラゴンは落胆する。霊剣十斬は、10の刃が消えるまで切り刻むミスリルの刃で、目視できないほど魔力を込めて隠蔽しているのだ。
リールは肉体だけで消してしまったのだ。不意討ちなら効いたかもしれないが身構えられたら、リールには通用しない。
「凄い魔法だな。風魔法なのか?」
『そうだ。風にミスリルの強度を乗せて刃を飛ばしている。全く効かなかったがな。』
ミスリルドラゴンは地面に座って話す。
「それじゃそこらにあるミスリルは、貰って行くからな。」
リールは、4人を呼びミスリルをマジックバッグに入れていく。大きいものはリールが砕いて入れている。
ミスリルドラゴンは黙って見ている。
「兄ちゃん終わったぜ」
ゴードンは全てのミスリルをマジックバッグに入れたみたいだ。小さな欠片も残っていない。
「そうか。じゃあな。」
リール達は、ミスリルドラゴンに声を掛け出口へ歩く。
『お前!』
「どうしたんだ?」
リールはミスリルドラゴンに呼ばれ振り向く。
『一緒に行っても良いかの?』
ミスリルドラゴンは恥ずかしそうに話す。
「え?一緒に行けるのか?」
リールは怪訝そうな顔で返答する。巨大なドラゴンを王都に連れて行くのは無理がある。
『これなら行けるだろ』
ミスリルドラゴンの身体が光だす。
目の前に180センチ程の銀髪の男性が現れた。鱗もない引き締まった体で全裸だが。
「どうだ?人化の魔法なら見た目も普通だろう。」
ミスリルドラゴンは、普通に話している。
「おおおお!」
ゴードンとザードンは驚き声をあげる。
「人化魔法ね。変身魔法の一つだけど魔力があれば難しいことも無いでしょうね。」
ユキが顔を赤らめて言う。ミスリルドラゴンもリールと戦闘した訳では無いため、魔力を消費していない。
「まずはこれを着ろ。」
リールはマジックバッグから自分の服を渡す。
ミスリルドラゴンは、苦戦しながら服を着ている。上下黒の服だ。
「服なぞ初めて着たぞ。それより我が一緒に行くのは良いのか?」
「それだが、何で一緒に来るんだ?」
リールは意味がわからない。
「久しぶりに話して面白かったからな。それよりもお前の魔力が素晴らしい強さだからな。一緒なら安全だろ?」
ミスリルドラゴンは腕を組んで話す。弱くは無いが、魔族の大群には勝てないらしい。
「う~ん。街の為なら良いが毎日一緒は無理だぞ?」
リールは考える。
「それは大丈夫だ。好きに過ごせる場所を探す。近くの山に住むのも良いからな。」
王都の近くに入れれば良いのだ。安全に過ごせる場所が欲しいだけで。
「なら勝手に付いてきても良いぞ。街に被害が出たらわかってるよな?」
リールは魔力を込めて言う。
「絶対に大丈夫だ。お前を敵に回しても損だからな。」
ミスリルドラゴンは怯えた様に体を震わす。
「と言い訳でドラゴンが一緒に来るんだって。名前無いのか?」
ミスリルドラゴンを見る。
「名前か。ミルスでどうだ?」
ミスリルドラゴンは自分で考えた。
「ミルスか、わかった。帰ろうか。」
リール達6人は出口へ向かう。
帰りにアイアンアントやシルバーリザードを仕留めながら帰る。ミルスは話が出来るのが嬉しいのか、自分の話をしながら魔物を仕留めている。純度の高いミスリル鉱石につられて、この洞窟まできたらしい。ミスリル鉱石を体に取り込むと、力が増加するみたいだ。
もうこの洞窟にミスリル鉱石は無くなってしまった。
リール達は洞窟を出て王都へ帰る。
10月24日の朝7時に次話を投稿します。
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