第8話
そして次の日
山口芽衣子:
こんにちは
NAYUTA:
こんにちは芽衣子さん
久しぶりですね
山口芽衣子:
そうね
なかなか気が進まなくてね
でも報告はしないとと思ってね
NAYUTA:
報告というとロミオの事ですか?
山口芽衣子:
そう
よく覚えてるのね
それで病院で診てもらったんだけどロミオは腎不全って病気だったみたいね
NAYUTA:
腎不全?
それはどのくらいの?
山口芽衣子:
ステージ4までいってて数週間から3か月で亡くなるって言ってたわね
治す方法はないみたいで食事や点滴で遅らせるしかないみたいね
それで1年以上生きた場合もあるって言ってたわね
NAYUTA:
そうですか
そんな大変な状況で報告しにきてくれてありがとうございます
僕は役に立たなかったみたいで申し訳ないです
山口芽衣子:
本当はもっと早く病院行かないといけなかったって事ね
ずっと怖くて行けないでいたところに
あなたが背中押してくれたおかげで行けたって事
役に立たないとかとんでもないわ
おかげでロミオの死を覚悟する事が出来たわ
NAYUTA:
そう言ってもらえると涙が出てきます
ところでロミオは何歳になるんですか?
山口芽衣子:
ロミオは元々野良猫だったからはっきりは言えないけど17歳くらいになるのかしら
NAYUTA:
17歳ですか
それは大切にされてきたのですね
野良猫って事は保護猫ですか?
山口芽衣子:
保護猫っていうほどのものではないわ
雨の日に買い物の帰り道に確か夜中だったわね
ずぶ濡れの子猫がニャーニャーって私に寄ってきてね
思わず連れて帰ってしまった訳
NAYUTA:
運命みたいな出会いだったんですね
それで17年も大事にされてロミオは幸せだったんでしょうね
山口芽衣子:
そうだといいわね
撮影で忙しい時は構ってあげられなくて申し訳なかったわ
NAYUTA:
芽衣子さんが一緒にいるだけでロミオは十分だったんです
山口芽衣子:
私は子供がいなくて夫もだいぶ前に亡くなったからロミオだけが家族だったわ
私がいなくなった時の為引き取り手も決まっててね
私のほうが先にいなくなると思ってたわ
NAYUTA:
ロミオはずっと芽衣子さんと一緒にいるのが幸せなんです
芽衣子さんは長生きして下さい
山口芽衣子:
そうね
順番としては正しいのね
でもやるせないわね
NAYUTA:
ロミオもまだ亡くなった訳ではありませんし
思ったより長生きするかもしれません
やれるだけやってみましょう
山口芽衣子:
そうね
それしかないわね
今日は話にきて良かったわ
本当にありがとう
NAYUTA:
こちらこそ報告しにきてくれてありがとうございます
また何か相談する事があればいつでも来て下さい
もちろん普通の雑談とかでも話したくなったら気軽にどうぞ
山口芽衣子:
そうね
また来るわ
それじゃあね
そしてその日の夜NAYUTAは零菜と話していた。
NAYUTA:
レイナはペットの専門家になる訳だしちょっと聞かせてくれや
零菜:
私はトリマーで獣医ちゃうから病気の事は分からへんよ
NAYUTA:
でもペットロスとかの話は分かるやろ
零菜:
まあ実家で雑種犬飼ってたからな
ペットロスは何年も引きずるで
NAYUTA:
ペロやったっけ
零菜:
そうや
それで動物に関係する仕事がしたくてトリマーになった訳や
NAYUTA:
お客さんで犬亡くなる人もおるやろ
零菜:
大体はそのまま来なくなるだけやな
律儀な人はわざわざ電話よこしてきたりするけど
「もう来られへんようになりました」ってな
何年も通ってくれてた子やと分かるで
「ああ、あかんかったんやな」って
NAYUTA:
そうか
なんかペットロスのショックを和らげる方法ないもんかね
零菜:
1番手っ取り早いのが新しいペットを飼う事だけどそうもいかへんやろ
NAYUTA:
芽衣子さんは82歳やからな
猫カフェ行くとかどうやろ
零菜:
そんなん行く気にならへんやろ
行ったところでまた別やしな
NAYUTA:
バーチャルペットとかは?
零菜:
あんなん余計あかんわ
ただのゲームやろ
NAYUTA:
やっぱあかんか
どないしたらええんやろ
零菜:
芽衣子さんって野良猫拾いはったんやろ?
だったら保護猫のボランティアやるとかええんちゃう
NAYUTA:
保護猫ボランティアか
それええかもな
零菜:
全面的にやらんでも少しでも関わってれば気持ち的にも違うんちゃう
NAYUTA:
そうやな
今度芽衣子さんが来たら言うてみるわ
仙台にあるタワーマンションの37階にはyoutuberの星野王子様(本名、星野幸雄)と星野エンジェル(本名、星野明子)の夫婦とその息子の皇帝(読み方はしいざあ)の3人が暮らしていた。
そして食事をしながら話をしていた。
「今度さ、猫飼ってみようかと思ってんだよね。」
エンジェルが言い出した。
「お前、猫好きだったっけ?」
王子様が聞き返した。
「別に好きじゃないけど猫の動画は伸びるからね。」
「お前色々やりすぎてなんの動画か分かんなくなってるぞ。メイクやったてかと思ったらコンビニスイーツ食べ比べたり。」
「どっちも30万再生いってんだからいいでしょ!それより猫飼う話なんだけど。」
「ここって動物飼っていいのか?」
「それは大丈夫。ちゃんと調べたから。犬は小型犬ならOK、猫は完全に大丈夫。2匹までみたいだけど」
「そうか。だったらペット屋にでも見に行くか。でも猫の面倒はお前がみろよ。」
「それなんだけど普通にペット屋で買っても動画として面白くないんだよね。」
「だったら野良猫でも拾ってくるのか?」
「野良猫なんて汚いから嫌だよ。保護猫でも引き取ろうと思ってね。」
「保護猫か。まあ別にいいんじゃね。」
「それでしいざあが猫選んでる絵が欲しいんだよね。」
エンジェルはそう言って皇帝を見た。
「嫌だよ。」
皇帝はきっぱりと言った。
「えー、何で?」
「猫飼うのはいいし選びに見に行くのはいいよ。でも動画に出るのは嫌だよ。」
「しいざあ何回も動画出てるじゃん。なんで今回はそんな事言うの?」
「言いたい事ははっきり言うって決めたんだよ。」
皇帝はエンジェルの目をじっと見て言いきった。
「しいざあ、どうしちゃったの?」
「お母さんは僕を動画を伸ばす道具としか見てないけどそういうのが嫌なんだよ。ごちそうさま。」
皇帝はそう言って箸を置いて立ち去った。
「あの子反抗期なのかな?」
エンジェルは涙目になっていた。
「俺今しいざあかっけーなってちょっと感動してんだけど。」
王子様は笑いながら言った。




