第4話
NAYUTAとの会話をした次の日、森達也は日比谷にある勤め先の株式会社プロフェッショナル企画にいた。
そして、NAYUTAと共に作ったオリジナルゲーム『モノガタル』をまとめた資料を手にしていた。
提出先は、後輩でありながら上司でもある鈴木だ。
「森さん、レクリエーションでやる企画は決まったんですか?」
鈴木が言うと食い気味に
「はい!決まりました。」
と達也は即答した。
「僕に敬語はやめて下さいよ。後輩なんですから。」
鈴木は困ったように笑う。
「上司ですから敬語は当たり前です。考えたオリジナルゲームを資料にまとめたのでご覧になって下さい。」
達也は黒いショルダーバッグから資料を取り出した。
「森さん、まだそのバッグ使ってるんですね。」
「私の誕生日の時に娘がお年玉を取っておいて買ってくれたバッグなので。」
「何回も聞きましたよ。そして同じバッグの色違いのを娘さんが誕生日の時にお返ししたんですよね。」
「ええ、そうですね。」
「その娘さんって今何歳ですか?」
「16歳で高校生です。」
「もうそんなに大きいんですか。早いなー。あっそうだ。オリジナルゲームですよね。見せて下さい。」
「はい。」
達也は資料を鈴木に渡した。
鈴木は資料をめくりながら
「モノガタルですか。」
そして読み始めると真剣な目になっていく。
「どうですか?」
「これ森さんが考えたんですか?」
「はい…。」
「森さん、これ面白いですよ。」
達也の娘・智美は、千葉県立松戸中央高校で帰り支度をしていた。
教科書をブラウンのショルダーバッグにしまう。
「智美、この後カラオケでも行く?」
智美の親友の板垣結衣が智美に声を掛けた
「行きたいけど今お金ないんだよね。」
「えー、まあいいや。一緒に帰ろ。」
「うん。」
「智美まだそのバッグ使ってるの?いつの時代のやつ?」
「古い山田カバンだけど逆にこれオシャレでしょ。」
「全然オシャレじゃないよ〜。山田カバンっていえば今度キャロットとコラボするんだよね。」
「結衣買うの?」
「買える訳ないじゃん!」
「彼氏に買ってもらえば?」
「全然無理でしょ。智美は彼氏作らないの?」
「作りたいんだけどね。そういえばこの前なゆたんと話したよ。」
「なゆたんって誰よ〜。」
「最近出てきたAI。なゆたんって呼んでるんだ。」
「なーんだ、智美そういうの好きだよね。」
「それが本当に人間と話してるみたいなんだよ。」
「それ怖〜い。」
仙台にある杜の都学園小学校は全国でもトップレベルの私立の小学校で星野皇帝はその中でも常にトップでいた。
そしてテストが返されたのだがテストと一緒に学年順位の書かれた紙も付いてきて皇帝の順位は2位だった。
いつも1位だった皇帝にとってはショックだった。
皇帝は2位という文字をじっと見ていた。
「星野2位かよ!まじか。」
後の席にいた佐々木が覗いて騒ぎだした。
「佐々木、お前は何位だよ。」
その隣の伊藤が反応した
「俺の事はいいよ。だっていつも1位の奴が落ちたんだぜ。」
「確かにな。」
「皇帝も陥落して2位だと大臣くらいか。」
「大臣か。それはウケるな。」
佐々木と伊藤が騒いでいたら
「おい、そこうるさいぞ。」
担任の山本が注意していた。
「星野君、2位でも十分凄いよ。」
皇帝の隣の席の水野舞が皇帝を庇った。
「別に気にしてないよ。」
皇帝はそう言ったが気持ちは沈んでいた。
中目黒アニマルクリニックの待合室で愛猫のロミオの検査の結果を待つ山口芽衣子がいた。
待合室ではミニチュアシュナウザーがニューファンドランドに吠えていてそれにヨークシャテリアが反応して吠えたりしていた。
他にも柴犬の子犬がおしっこを待合室でしてしまい大騒ぎになっていたが芽衣子はそんな事も気にせずただ待っていた。
「山口さん、どうぞ。」
「はい…。」
芽衣子はロミオが入ってるペットキャリーを持って診察室に入った。
「お願いします。」
芽衣子が挨拶すると
「はい、座って下さい。」
獣医は神妙な顔をながら椅子をさした。
「はい…。」
芽衣子はゆっくりと腰掛けた。
「検査の結果なのですが、こちらを見て下さい。」
PCモニターには血液検査の数値とレントゲン画像が表示されている。
「まずこちらが血液検査の結果なんですが、
腎臓の数値がかなり悪く出ています。」
「そしてこちらがレントゲンです。
腎臓の輪郭が少し変わっているのが分かります。」
「これらの結果から、
腎不全の可能性が高い状態です。」
「えっ腎不全って治るのですか?」
診察室の空気が一瞬止まった。




