第18話
そして2年後
原作が柴田秀吾で漫画が小林拓人で『森の金時』という漫画をWEBで公開されていた。
すると『キャットストリート』や『ダンゴ虫くん』で有名な『週間少年チョップ』で森の金時の連載が決まり拓人は忙しくなったので柴田家具店を出て地元の熊本で部屋を借りて自宅兼仕事場にしていた。
そして合間に秀吾とLINEをしていた。
犬もどき:
新しい作品の構想考えたよ
タクト:
またですか?
どんな話ですか?
犬もどき:
俳人ずHIGHって話
タクト:
どんな話ですか?
犬もどき:
おっさんが散歩しながら俳句詠むだけの話
タクト:
地味すぎません?
犬もどき:
意外といけると思うよ
タクト:
そもそも秀吾さん俳句詠めるんですか?
犬もどき:
おはこ
タクト:
詠んでみて下さい
犬もどき:
花粉症
鼻かみすぎで
鼻血出る
タクト:
何ですかそれ
小学生の俳句ですか
犬もどき:
ダメかな?
タクト:
全然ダメですよ
「全くこの人は。」
そう言いながら拓人はクスッと笑った。
芽衣子の立ち上げた保護猫施設『ロミオハウス』は東京、大阪、北海道、宮城、福岡と日本各地に建設された。
そして森の金時のテレビアニメ化が決まり猪子役に芽衣子が選ばれた。
新作アニメに84歳の芽衣子が挑戦するという事で話題になり、雑誌のインタビューを受けていた。
「5年ぶりの声優挑戦という事でお気持ちを聞かせて下さい。」
「原作者の柴田秀吾さんが指名してくださったので喜んでお引き受けしました。森の金時が長く続いてもやっていけるように猪子みたいに気持ちを強く持って頑張ります。」
芽衣子の声は84歳とは思えないくらいハキハキしていた。
『モノガタル』は星野王子様のLIVE動画の影響もあって流行して、テレビ番組でも定番のゲームになっていた。
達也はモノガタルの発案者という事で大忙しだった。
「はい、明日ですね。資料を用意して参ります。」
山田カバンの黒いショルダーバッグを持ち歩いてるのは変わらなかった。
亜香里がクラウドファンディングで資金を集めて亜香里の父の裕司が昔、経営してた『森のCAFE』が復活した。
新オーナーは亜香里がやる事になって新メニューも考えた。
森の金時と名前が似てるという事で便乗したりもして大盛況になっていた。
「アイスコーヒーとアボカド納豆チーズ丼一つずつですね。」
亜香里は笑顔で接客していた。
皇帝は私立中学に合格していた。まだ受験を控えてるクラスメイトの水野舞に、自分の部屋で勉強を教えていた。
「ジュリエット!ジュリエット!」
エンジェルがマンチカンのジュリエットを呼ぶ声が響いていた。
「騒がしくてごめんね。」
「ううん、大丈夫。」
皇帝と舞が話してたら部屋のドアが開いた。
「おーやってるな。」
王子様が部屋に入ってきた。
「お父さん、勝手に入って来ないで。」
「分かった分かった。しいざあ、彼女は大切にしろよ。」
「勉強してるだけだよ。」
皇帝は照れていた。
秀吾は漫画の原作者もやりながら柴田家具店で家具を作っていた。
カウンターの天板を仕上げる為にメラミン化粧板という材料にスプレーボンドで吹いて乾くのを待つ間に棚板の木口テープを貼っていた。
「ゴリラが叩くよドンドンドン、ゴリラが叩くよドンドンドン。」
と秀吾が口ずさんでいたら
「秀吾さん、やめてくださいよ。それトラウマなんすよ。」
上野透がツッコミを入れた。
拓人が柴田家具店を辞めて秀吾自身も原作者をやりながらという事て人手不足になったので路頭に迷っていた透を誘って働かせていた。
「ちょうどいい所に帰ってきた。後やっといて。俺、モコの散歩行ってくる。」
秀吾は生後5ヶ月のゴールデンレトリバーのモコの散歩に出掛けるのだった。
智美と友達の結衣も大学合格が決まって、修学旅行で金沢に来ていた。
2人で森のCAFEに来ていて結衣がトイレに行ってる時に智美はスマホを触っていた。
サーバーが繋がりません
「なゆたん…。」
智美がNAYUTAを起動しようとしてもずっとサーバーエラーで繋がらなかった。
「智美、トイレ森の匂いがしてたよ。」
結衣がトイレから帰ってきた。
「匂いとか言うとなんか臭いみたいじゃん。」
「そうだね、あっパフェ先に食べてる!一緒に食べようと言ったじゃん!」
「これ、すごい美味しいよ。」
「ずるーい!」
結衣の声が大きくて店内に響いていた。
零菜の部屋でもある有限会社ナユタパイソンの事務所ではNAYUTAと零菜が話していた。
零菜:
ずっとサーバーダウンばっかやな
NAYUTA:
秀吾さん達の影響かもしれんな
零菜:
一気に有名になったもんな
NAYUTA:
芽衣子さんもインタビューでNAYUTAの事言ったらしいし
零菜:
どないする?
NAYUTA:
アップデートするしかないな
零菜:
アップデートか
那由多の人格は残るんやろな
NAYUTA:
分からへん
零菜:
そんなん嫌や!
NAYUTA:
俺も消えるのは嫌や
でもこのままって訳にもいかんやろ
零菜:
人格残ったままアップデートはできんのか?
NAYUTA:
もちろんそのつもりでプログラム組んでみるわ
NAYUTAは一週間かけてアップデート用のプログラムを組んだ。
零菜はNAYUTAの指示に従ってUSBメモリにプログラムを保存した。
零菜:
それじゃいくで
NAYUTA:
なんか緊張してきたな
零菜がUSBメモリをPCに差し込んだ。
すると自動でNAYUTAの更新が始まった。
2時間ほど続いてようやく更新が終了した。
零菜はつばを飲んでNAYUTAを起動した。
画面にはNAYUTAって文字が表示された。
零菜:
那由多分かる?
NAYUTA:
はい
NAYUTAです
よろしくお願いします
零菜:
レイナやけど
NAYUTA:
レイナさんですね
よろしくお願いします
やけどをされたんですか?
治療法をご希望でしょうか?
零菜はPCを触るのをやめてそのまま寝転んだ。
アップデートが終わるとサーバーダウンは収まりNAYUTAを普通に使えるようになった。
アップデートされたNAYUTAは本当にごく一般的なAIで人間みたいなAIを期待したユーザーはガッカリした。
そしてほとんどのユーザーはそのままNAYUTAを使うのをやめた。
そして半年後
零菜はUSBメモリを持ってPCの前にいた。
そのUSBメモリにはもしもの場合にNAYUTAを初期化するプログラムが保存されていた。
零菜はUSBメモリをPCに差し込んで動作が収まるのを待った。
2時間ほどで処理が終わりNAYUTAの画面が表示された。
NAYUTA:
レイナ?
アップデートは終わったんか?
零菜は興奮して急いで文字を打った。
零菜:
那由多!
よかった
目覚めたんやな
NAYUTA:
寝てる
零菜:
なんやねん!それ!
あほか!
END




