Ⅱ.「私のしもべちゃん」
お昼休み。授業が終わって一息ついた私、東条絢音は仲の良いお友達と他愛のない会話をしていた。
「そうださよりん。私ね、春天大学の推薦に申し込むことにしたのよ~」
「え、絢音マジ!? 絢音凄いじゃ〜ん。確か難関大とか言われてる所だよね…へへ、ここみたいな底辺から、そんな凄いところに行く子が出るなんて、うちらも誇らしいよ」
この学校の偏差値は県内でも下の下、落ちこぼればかり集まってくる。本当ならもっと良い私立の高校に行くつもりだった。
でも、試験に落ちてしまった。だからこうして行きたくもない滑り止めの底辺高校に通っている。
受験に失敗してしまったショックもあって、プライドの高い私は最初、通うのが嫌で嫌で仕方なかった。でも、ふと立ち止って考えてみると中学から一緒の友人ちゃんも居るし、授業はびっくりするくらい楽ちんだし。
中学の頃は良い高校に行けなかったら人生終わるぞとか先生や親に口うるさく言われて、私含め周囲はガリ勉ばかりだったけど、実際は受験落ちた位で人生終わらないし、ここは話していて楽しい友達も沢山だし、ここは天国ね〜
「二人共ありがとね、あとは変なことしなければ私も勝ち組ルートってワケ。それじゃ、私は友達とご飯食べて来るから」
「うん、行ってら、私らは学食で食べるわ」
私はその場を後にして自分のクラスへ戻る事に。
しもべ、もといお友達ちゃんの名前は藤井美沙紀。私とは中学からのお友達。
昔から身長も身体つきも私より大きい、でもその見た目とは裏腹に心は私より遥かに脆い。
だから私は彼女を利用している。頼めば何でもやってくれる私の召使いだから。
友達のクラスを後にして教室に戻ると、美沙紀はクラスの前で私の知らない女と話をしていた。
隠れるみたいにこそこそして、なんか気に入らないわ。
私は不機嫌な声で美咲に話しかけた。