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魔法少女戦記  作者: 公心健詞
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堕落の都市

森をさまよっていたやる夫たちは地元の教会によって命を救われることとなった。

やる夫たちはしばらく森をさまよったが、しばらくいくとあぜ道を発見し、その道沿いに北に歩いて行くと掘っ立て小屋を見つけた。その古屋の横を歩いて行くとそこには真っ赤に塗った石灰で作った赤いモンスターの像が建っていて、その横には沼があった。

 黄色い角の生えたオーガの像の横には不均等に積み重ねられた巨大な岩の階段があり、その上のほうに

 教会らしきものが見える。

「あんたら、どげんしたとね」

 誰か後ろから声をかけてきた。

 それはシスターの格好をした白人だった。

「ボクが話すよ、相手が白人のほうが信用されるだろうし、ボクはクリスチャンだから」

 ボブがそういったので朝比奈がボブをかついでシスターの処まで行った。

「どっから来たとね。あんたらの服装みたら天から降臨した人らだっちゃね?よかったっちゃね、ウチが標準語しゃべれて。ウチが都会もんのヒューガーやったからよかったけんど、シーマーズやったら言葉が通じんやったところよ」

 シスターがベラベラ話す。

 ボブはやる夫のほうを見る。

「ごめん、何言ってるのかわからない」

「なんば言いよっとか、標準語が分からんと?しょんなかね、今通訳魔法石もってくるけん」

 シスターは少し怒ったような表情で怪談をよじ登っていった。

 そして息をきらして帰ってくる。

「さあ、これ吞むっちゃよ」

 シスターは何か虹色にきらきら光るビー玉のようなものを取り出す。

 やる夫たちはそれを吞んだ。

「さあ、これで言葉が分かるようになったわね」

 シスターの言葉が理解できるようになった。

「ここはどこですか」

 ボブが聞いた。

「ツマキリシマチャーチよ」

「ずいぶん大きな石で出来た石段ですね」

「ああ、これはオーガが一晩で作ったの。一晩で作ることができたら人間が何でもいうことをきくって約束でね。もし出来なければオーガは村から出て行く。そして、夜明け前に完成しかけてたけど、神父様が鶏の鳴きマネをして朝だと勘違いさせ他ので、オーガは自分が負けたと思って南に逃げていったって伝説があるわ。シーマーズはたぶんそのオーガの子孫にちがいないわ」

「ボクたちはそのシーマーズに襲われたんです、それでこんなケガを」

「それは大変ね。シーマーズでもキリシマシックスチャーチの人達はみんな良い人達だけど、ウオーリア―は気が荒いからね。すぐに助けを呼んでくるわ」

 シスターはそう言って、また息をきらせて大きな岩で出来た石段をよじ登っていった。

 教会に居た神父様の降りてきてくださり、やる夫たちを一生懸命介護してくれた。

 やる夫は感動し、この教会の信徒になると言い出した。

 この宗教はキリスト教ではなかった。この世界の宗教、クロス教という教えだった。棒が二つ、エックスの形にクロスした紋章がこの宗教のシンボルだった。

 神父様は喜び、傷が癒えるとすぐにやる夫は洗礼を受けた。そして自分が持っていた貴重なクロス教のネックレスをやる夫にくれた。ユーベルトートと朝比奈は洗礼を嫌がったが、神父様はむりじいしなかった。

 しばらくすると、シーマーズの兵がこの辺りにもやってきてやる夫たちの事を聞き回るようになった。 

 このため、やる夫たちはヒューガーたちの都ミーヤザッキーに行くことを勧められた。

 クロス教の馬車には特権があり、シーマーズの兵はそれを検閲できない。

 クロス教の馬車は一旦、南のシティージョーに向かい、そこで食料と水を調達して、北進した。

 シティージョーの国境線沿いの風景をやる夫は馬車のカーテンごしに覗いたが、おとなしくシーマーズについていった日本人たちが見せしめのために首を切られさらし首にされて槍の先につきさされて街道沿いにならべられているのを見つけた。

 何でも相手の言うことを素直に聞いてしまう日本人はよい餌食だ。

 ヒューガーの国はシーマーズより遙かに大きく、軍隊も整備されており、豊かな国だった。

 やる夫はこの国の首都で熱心に勉強し、神父になるための免許を取ると言い出して居た。

 だが、実際に首都に行ってみると、首都のヒューマーたちはやる夫の首からぶら下がっている

 クロス教のネックレスを指さしてクスクスとかみ殺したように笑った。

「今時、クロス教だってよ」

「時代遅れだねえ」

「神なんて存在しないのに、なんて全時代的なんだ」

「降臨人が宗教だって?なんの冗談だい」

 実は、ヒューガーたちは異世界から降臨した人間に毒されていた。

 日本人の思想、無神論が蔓延しており、宗教は価値がないものだという価値観が広まっていた。

 この世界は、やる夫のいた地域よりも、もっと日本の都会的だった。

 やる夫たちがミーヤザッキーに到着すると、ヒューガーの領主であるスケヨシ・イノーがやる夫たちを呼び寄せた。

 降臨人は彼らによって興味の魔都らしい。

 イノー公はとても穏やかな人柄の人で、やる夫たちにも好意的であり、今まで以上に国を開き、

 他国から移民を大量に受け入れ、積極的に他国から安いものを輸入すると言っていた。

「まってください、そんな事をしたらせっかくのヒューガーの美しい文化が無くなってしまうんじゃないですか?ヒューガーの人達はとてもノンビリしていていい人達なのに。シーマーズの人達が入り込んできたら、あっという間にヒューガーの穏やかな人達は排除されて、気性の激しいシーマーズに占領されてしまいますよ」

 やる夫はイノー公に意見したがイノー公はきょとんとしている。

「何を言っておる。我らが移民に開放的だからこそ、お前達は命をながらえたのではないか。シーマーズのように閉鎖的であったら、お前達は殺されていたぞ」

「それはそうですが、不用意に違う文化の者たちを入れるのは危険です。地方のツマキリシマチャーチを見てきて、この首都の人達を見てそう思いました。この首都の人達はあまりにも外の文化に毒されて骨抜きにされている。こんな事を放置しておいては、いずれ国が滅びます!」

「ほっほっほっ、大丈夫。いままでノンビリ開放しつづけてきて国が滅びなかったのだ。だからこれからも大丈夫」

「これまで大丈夫だったからと言って、これから大丈夫とはかぎりません!」

「まあまあ、そういうな、褒美をとらそう。今日は帰れ」

「しかし!」

「くどいぞ」

 イノー公が不快な顔をすると気をきかした王宮の兵士たちがやる夫の手をもってズルズルと外にひっぱって行った。

 



地方の心清らかな人達にくらべ、都心の人達には信仰心なく、堕落していたことにやる夫は強い危機感を持つのだった。

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