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魔法少女戦記  作者: 公心健詞
1/4

俺たちの戦いはこれからだ!

いつも一緒に遊んでいた近所のおじいさんが入院して、おじいさんが子供の頃に裏山に埋めたタイムカプセルを掘り返すよう、中学三年生のやる夫は頼まれる。やる夫は子分の女の子、中学二年生の朝比奈、中学一年生の守を引き連れて裏山に堀に行くが、タイムカプセルを掘り返してしまったために

時空の歪みに飲み込まれ、中世のような魔法世界に移転してしまう。

「ふふふ、俺の剣さばきをかわせるかな」

 アホ神やる夫はニヤリと笑った。

「やれるものならなってみな、私の拳がお前の腸をえぐり取ってやんよ」

 不敵な笑みを浮かべる朝比奈。

「いくぜえええええ!」

 やる夫は前にです。

「でえい!」

「とう!」

 朝比奈は軽々とよける。

「それで攻撃してるつもりかい」

「ふん!」

 鮮血がとびちる。

「あ!」

 朝比奈が眉の上を押さえる。

「ご、ごめんな、わざとじゃねえんだ」

 やる夫は手を止め自分の手に握った竹製の30センチ定規を見る。

「気にスンナ、避けられなかった私がわるいんだ」

 朝比奈は不敵な笑みを浮かべる。

「先生!あいつです!」

 三年生の優等生の子が先生を連れてきた。

「あーあー田中君、駄目でしょ中学三年生にもなって、相手は女の子なのよ」

 担任の好子先生が少しイラつきながらやってくる。

「ほっといてくれ、これは私とこいつのと一対一の決闘なんだ」

「朝比奈さんもこの子を相手にしちゃいけないってあれほど言ったでしょ、あなた二年生だから二年生とあそびなさい」

「うるせい!」

「なんですか、女の子がそんな話し方して」

「女とか男とか関係ないもーん!」

 朝比奈はそっぽをむいた。

「とにかく保健室に行きましょ、女の子の顔にケガなんかさせて」

「だから、女とか関係ねえし」

「関係あります!結婚とか」

 好子先生と朝比奈が言い争っているところにやる夫が口を出す。

「もし、結婚できねえんだったら俺がもらってやるよ!」

 朝比奈の顔が真っ赤になる。

「なっ、バカ野郎!お前なんかにもらっていらねえやい!」

「なんだと、このバカ!」

「バカ言う奴がバカだ!バーカ!バーカ!」

 朝比奈は悪態をつきながら保健室に行った。


 次の日、やる夫は父親の龍夫に顔をボコボコに殴られて一緒に学校に来た。

「先生!どうかこのクズ野郎をボコボコに殴ってやっておくんなさい!」

「ちょ、お父さん、児童虐待ですよ!」

 先生は慌てて警察を呼んで、激怒したやる夫が警察にかみついて、大騒動になった。

 龍夫は警察にもう子供に暴力はふるわないと誓約書をかかされて、なんとか事がおさまった。

 やる夫も、もうふざけてでも暴力をふるわないことを先生に約束させられた。

 しかし、次の日、同じ学校の一年生である松平守がアメリカンスクールの子供三人に集団暴行されていたのを見つけて、やる夫は相手の子を殴って追い返した。

 それで騒動が大きくなった。相手の子三人は親にそれを言いつけ、親は弁護士をともなってやる夫の学校に外国の報道陣をひきつれてやってきた。

 賠償金一億円を支払えと要求している。

 もし、親がそれを払えないなら学校と国が賠償責任を負うべきだと外国人弁護士は述べた。

 担任の好子先生と校長はただただ震えながら床に頭をこすりつけて謝罪した。

「謝罪しましたね、つまり罪を認めた。あなたたちは卑劣な犯罪者であることを認めた。これで賠償金の支払いは決定となりました」

 外国人弁護士がそう宣言した。

 学校は大騒ぎになった。

 とにかく謝罪する大人たち、調子に乗って賠償を叫びながら学校のガラスをバットで割ってまわるアメリカンスクールの子供たち。

 テレビで報道されるアメリカのリベラル放送局の一方的にやる夫たちを悪者にした報道。

 やる夫はうんざりして学校をとびだした。その後に朝比奈と守が付き従った。

 目指すは近所のニートのじいちゃんの家。

 このじいちゃんは親が資産家で、中学校の時壮絶なイジメに会って以来、六〇才になるまでずっと引きこもっていた。

 両親はすでに亡くなっているが親が残したアパートの家賃収入で生活している。

 周囲の人間たちからは無視されているが、やる夫が小学生の頃、おもちゃ売り場で出会って以来、よく一緒にゲームをやる仲になった。

 ボードゲームやカードゲームは一人ではできないので、そのじいさんは大層喜んだ。

 やる夫がそのじいさんのアパートに行くとアパートの前に救急車が止まっていた。

 担架でじいさんが運ばれている。

 「うーん、うーん」

 じいさんはうなされている。

「じいさん!」

 やる夫が叫んだ。

「君たち、この人の知り合いか?」

 救急隊員がたずねる。

「おう!」

 やる夫と朝比奈と守は救急車に乗り込んだ。

 その日、じいさんは病院の集中治療室に入れられ、やる夫たちは家に帰された。

 三日ほどずっと病院に通ったが、四日目にやっとじいさんの意識がもどった。

「紙と鉛筆をくれねえか」

 意識がもどったじいさんは言った。

 やる夫はノートを取るために家に帰った。家のアパートの部屋の前まで行くと、家の玄関に真っ赤な液体がぶちまけられた居た。生臭い匂いがした。

「いいかげんにしてくださいよ、あんたの息子さんがしでかしたことでしょ、うちのアパートは関係ないんだからね。毎日人権団体が来て豚の血をばらまいてメガホンで大声で叫んで、何人かアパート解約して出ちまったんだからね。あなたら親子がここ出ていってくれたら私らも助かるんだけどね!」

「どうもすいやせん、息子がバカで」

 やる夫のオヤジがアパートの大家にペコペコと頭をさげている。

 頭をさげながらやる夫の方に向かって大家から見えないように手をふった。

 どっか行けというそぶりだ。

 やる夫はその場を離れ、しばらくして大家が帰ってから家にもどった。

「すまねえ、オヤジ」

 やる夫が頭をさげるとオヤジの龍夫はニタリと笑った、

「気にすんない。おめえ、同じ中学校の後輩を助けたんだってな。めでてえじゃねえか。後は俺が全部引き受けるからお前は気にせずどっかであそんでな」

「お、おう」

 やる夫は少し動揺しながらも家に入ってノートと鉛筆をもって病院に向かった。

 すこしスキップした。オヤジがやる夫を認めてくれた。

 それが嬉しかった。

 病院に行ってじいさんにノートと鉛筆を渡すと、じいさんは何か書きはじめた。

「何書いてんだ?」

「宝の地図さね」

 じいさんは得意げに言った。

「この地図の場所に宝がうまっている。俺が小学生の頃、友達と埋めたんだ。お前らに全部引き渡す」

「マジかよ、すげえな、さっそく堀にいってくらあ」

 やる夫は朝比奈と守の家に行って、三人で宝の地図をもって近所の山に行った。

 そこで印の場所を掘り返した。

 しばらく掘っていると、発泡スチロールの大きな箱がでてきた。

 それはガムテープで密封されていた。

 中を開くと、中から週刊誌のマンガの切り抜きが沢山でてきたが、湿気を吸って、グチャグチャの塊になって読めなくなっている。その他にはさびたお菓子のカンカンが入っていた。それを開けると、ビー玉とおはじきと、ジュースの王冠が入っていた。

「なんだこりゃ?」

「あ、あの、その綺麗なガラスの玉、ぼ、ぼくほしいんだけど」

 守がもじもじしながら言った。

「あ?ビー玉か?お前、ビー玉しらねえのか、ああいいぜ、やるよ。お?」

箱の底のほうにオモチャの刀が入っていた。

「うお、これカッケー!これカッケー!俺これもらった!」

「ちょっと、私のは?」

「その王冠やるよ」

「王冠ってなによ」

「そのなんか、ちっこいあれだ、ビールのフタにくっついてんのあるだろ?大人がガラス瓶のビール飲むときにさあ、シュポンと抜いて楽しいやつ」

「ふざけないでしょ、あんなの、ただのゴミじゃない」

「これは特別な王冠なんだよ!他では手にはいらねえな!」

「ほんとー?」

 朝比奈は不満そうに王冠をつまみあげて裏返してみる。

「あ!」

 朝比奈が目を見張る。

「どうしたんだよ」

 やる夫がのぞき込む。

「見て、これ、私この前、お父さんと面会したとき、映画連れていってもらったんだけど、その時見たスターボウズに出てくるロボットよ!」

「え?マジかよ、この前やってたやつじゃん。どういうことだよ」

「あ、あの……」

 申し訳なさそうに守が口を出す。

 やる夫と朝比奈が守を見る。

「もしかしたら、これ、未来の王冠じゃないかな、これすごく昔に埋められたんでしょ?」

「えーマジかよ!マジお宝じゃん、これが本当のお宝じゃん」

「そうなんだ、ボクもほしいなあ……」

「だ、だめだよ、これは朝比奈にやったんだからな」

「いいよ、ほら、ちょうど三つあるじゃない、これ一つずつ持とう」

「いいのかよ、お前ふとっぱらだな」

 やる夫は茶色い猿みたいなキャラの写真をプリントした王冠を取った。

「え?いいの?主人公のスペースランナーじゃないくていいの?」

 守が不安げにやる夫を見た。

「ばっきゃろう、気にすんなや、スーペースランナーはお前がとれよ」

「え……」

 守がもじもじする。

「何だよ」

「あの……ボクね、あのね、ユーベルトートがスキなの」

「マジかよ、悪役じゃん」

「でもね、強くて頭よくてかっこいいんだよ」

「じれってえな、じゃあユーベルトートとれよ!」

 やる夫は焦げ茶色の鉄仮面の悪役、ユーベルトートのプリントした王冠をとって、守に突き出した。

「う……うああ、ありがとう!」

 守は目に涙をうかべる。

「なんだてめえ、大げさだな」

「だって、ボクの望みなんて誰も聞いてくれないんだよ、バイオリンもピアノもボク大嫌いなんだ、おケイコなんて大嫌いなのに、ずっとやらされてたんだ」

「贅沢な野郎だなあ、いけるだけ親に感謝しろよ、俺なんざ親に金なくて塾もいかせてもらえねえんだからよ」

「じゃあ、私がスペースランナーね。正義の鉄拳使いね!」

「そうさ、お前は正義の鉄拳使いさ!さあ、それじゃあ俺たちの友情を祝して!」

 やる夫は王冠をかざす。

「俺たちはこれから常に運命を共にする仲間だ!絶対に裏切らない!永遠の友だ!」

「はい!」

「うん!」

 朝比奈と守も王冠をかざす。

 すると、一瞬、王冠が光り輝いた。

「う、うわっ!」 

 驚いてやる夫が尻餅をつく。

「なんなのこれ!」

「やっぱり本物の魔法の王冠だったんだ!」

 守が興奮する。

「とりあえず、この宝物のオモチャをもって家に帰ろうぜ、日がくれたら親が心配するからな」

「そうね」

「うちは親は心配しないよ、ボクは良い成績をとらせて親が良い気分になるロボットだから」

「そんなこと言うなや!お前、親にメシ喰わしてもらってるだけでも感謝すろ、バカ野郎!」

 やる夫が怒鳴った。

「ごめんなさい」

 守はシュンとした。

「帰るぞ!」

 やる夫は守の手を引く。

 しかし、山道に出ていくら下に降りても街にたどりつかない。

「やべえな、迷ったか」

 しばらく歩いていると、目の前の道に光りの膜のようなものが貼ってあった。

「なんだこの金色のは?」

「なんか、新作の蛍光塗料とかじゃないの?山道で人が迷わないように、こっちに行けばきっと人里なのよ」

「人里って、ここ住宅街の裏山だよね、本当ならすぐ下の家が見えてるはずなのに……」

「とりあえず、前に進むぞ」

 やる夫は守の手を引いて、その金色の膜をくぐりぬける。

 急に守の手の感触がかわる。

「ん?」

 守の手をみると、でっかい焦げ茶色の手袋をはめている。

「ん?」

 不審に思ってやる夫は振り返る。

「うわっ!?なんだこのオッサンは!」

「な、なんだよお、ボク、中学一年生だよ、オッサンじゃないよ!」

 守はしゃべるが、声が機械みたいな電子音になっている。しかも、体がすごく大きい筋肉隆々の大人になっている。

 頭にはユーベルトートのマスクをかぶっている。

「それより、自分だってなにその格好」

「は?」

 やる夫は自分の手を見る。

 手には日本の甲冑の小手をつけていて、手には真剣の日本刀をもっている。

「な、なんだこりゃ!?」

「やる夫君もすごい格好いいイケメンのお兄さんになっているよ!」

「まじかよ!って事は朝比奈はスゲ―ボインのお姉さんになってるのかあ?」

 やる夫と守がドキドキしながら朝比奈の方を見た。

 朝比奈はちんちくりんの小学生くらいの身長まで縮んでいた。

「なんだ、このチンチクリンは!」

「うっさいわね!ぶっ飛ばすわよ!」

「やってみなよ!こっちは大人で甲冑つけてんだぜ、お前がケガするぜ、ヘイヘイ!」

 やる夫が挑発する。

「なによ!」

 朝比奈は怒って軽くやる夫を押す。

「うわああっ!」

 やる夫が吹っ飛ぶ。

「ご、ごめんなさい!」

 朝比奈がやる夫に駆け寄る。

「心配すんなや、俺は親から丈夫に産んでもらってんだ」

「もしかしてボクも……」

 守が手をかざす。

 すると、手から光りの剣が現れる。

「うわっ!レーザーソードだ!すごい!ボク、ボーズマスターになったんだ!」

 守がピョンピョンその場ではねた。

「ひょっとして俺も……フン!」

 やる夫は人の居ない方向をむいて刀を横に振った。

 疾風が起こって、そこにあった樹木が根こそぎなぎ倒された。

「すげー!、す、すげー!俺つえー!」

 やる夫は興奮した。

「あ……あのー」

 大きい体で守がもじもじした。

「なんだよ」

「何よ」

 二人が守の方を見る。

「ボク、ボーズマスターになったんで、自分の事、ユーベルトートって名乗っていい?」

「いいよ別に、俺はどんな名前にしようかな」

「あんた、そもそもアホ神やる夫が偽名じゃない」

「ちげーよ、俺の名前は最初からあほ神やる夫だよ!」

「田中拓也くん!」

「はーい!」

 やる夫は手をあげる。

「のせんなや」

「コロコロ名前変えられるとややこしいから、やる夫のままにしといてよ」

「いいぜ、お前はどうすんだよ」

「私は朝比奈でいいわよ」

美来みくちゃんでよくね?それか本名もじってミルクちゃんとか」

「やめてよ!私最強の拳法使いなんだから朝比奈でいいわよ!」

 朝比奈がちょっとだけ怒った。

「なんだー!どうしたー!」

 遠くから複数の怒声が聞こえる。

「おい!何があった!」

 馬のいななく声が聞こえる。

 森がなぎ倒されて見晴らしがよくなった向こう側から中世の騎士の甲冑を着た集団が馬にのってこちらに迫ってきた。

「なんだ貴様らは!」

 騎士の一人がやる夫たちに向かって剣を抜き、大声で怒鳴った。


  


いままで、とにかく読者にうけないといけないと思って、神経ばかり使っていました。

しかし、自分は素人なので、とにかく自分が好きなものをいちどガチで書きたいと思いました。

他にも現在書いているものも継続して完結までもっていきます。

こちらは、一切、読者には媚びずに、自分の好きなものを書いて行きます!

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