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黎明
とても静かな…静かな朝だった。
まだ明けきらない空は、霧が立ち込める早朝の畑に光と影を映し出す。
鳥たちが囀り始め、山の神様の祠の上に薄っすらとした朝日が昇ると、より一層の静けさが押し寄せる。
「鳥の囀りや虫が鳴く音が聞こえているのに、静かだと感じるなんて…なんだろうね…。」
明日は秋分。この季節の区切りを、まるで世界の切り替わりのように生々しく受け取っているのかもしれない。
自分の担うべき役割は見えた。
この新たな世界を、次の世代に繋ぐ為の礎になる。
残りの命の使い道としては、そう悪くもないな…。
次第に高くなる朝日を眺めながら、今迄の人生を振り返ってみる。
何とも波乱に満ちた時を生きてきたものだと溜息が出る。
そして、それはこれからも続くのだろう。
たった一つの…約束された地に辿り着くその日まで…。




