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プロローグ 四百年後
四百年が、経っていた。
海岸には、武器を突きつけられた獣人がひとり、頭を垂れていた。
足元には荷物と、二振りの武器が並んでいる。
自ら置いたのだろう。
ショートソードと、ダガー。
心臓が、早鐘を打つ。
彼女が選びそうな得物に、よく似ていた。
声が、震える。
「――おもてを、あげよ」
ゆっくりと顔を上げたのは、猫族の若い獣人の女だった。見たことのない顔。 澄んだ、大きな吊り目。ゆるく編まれた……三つ編み。
女の目から、涙が頬を伝う。
「……アーク」
アークは目を見開いた。
ぽたぽたと溢れる、彼女の涙は止まらない。
「……待たせて、ごめん」
「……っ」
アークは駆け寄り、女を抱きしめた。
「シオン……!!」
強く抱き合う二人を、遠巻きのエルフたちが、戸惑いながら見つめていた。




