re.cord {ninety-six}
なんて、麻雀トークをしていたら私のスマホの着信音が鳴った。結憂さんからのLINEの無料通話だった。なんで私に掛けてきたんだろ?戦争のことに関することなら優香に電話すればいいと思うのに。
もしかして………さっきまで祐が話していたことが絡んでいるのか。
「誰から?」
「結憂さんから………もしもし」
優香と祐は無言になった。何かを察した模様。その察したことが当たったのか。結憂さんは「優香は近くにいる?」という確認をしてきた。
なるほど、やっぱり優香には言えない何かを私に伝えるつもりなんだな……
私が優香側だっていうのを分かっていないのかな?ママの娘で、ママが総督府側っていうのがあるから、娘の私も総督府側だと思ってるのかな?
親子だからって何から何まで同じわけないでしょうよ。自分の娘を見ても、そういう思考を持っていることがちょっと浅はかだよね。
「優香は居ないですよ」
『なら良かった。ちょっと機密事項だから。あまり周りに悟られないように上手く聞いてほしいな』
「分かりました」
と、言いながら優香と祐には声を出さないようにジェスチャーで伝えてからスピーカーにした。
何にも分かっていなくてすみませんね、結憂さん。
『今、どこ?』
「喫煙所です。大学の」
『なるほどね。だったら大丈夫か。誰か入ってきても問題は無さそうだね。誰か入ってきても、何となく気配とか分かるから安心して』
「は、はい……分かりました……」
結憂さん、既に2人居るんですけどね。
上手いこと結憂さんに分からないように気配を消している2人。姉妹で同じ名前で考えてることもシンクロしている。
クローンなんじゃないの?この2人は。
「はふっ…………」
「優姉ちゃん、笑っちゃ駄目」
「大丈夫。気配と一緒に声も消えてるから。私達の存在は千春以外には分かんないよ。だから、喫煙所に誰か入ってきたら体当たりされるかもしれないけど。見えてないようなもんだから」
「ちゃんとデメリットあるんだね」
「誰も来ないでしょ。多分」
うるさいな………ちょいちょいクスクスするなよ。
私まで笑っちゃいそうになるじゃん。流石に笑ったら怪しまれる。こらえんるだ、鷹山千春。
『優香と、異界貴族九刃の手越祐佳。2人のことは動向とかって分かる?ずっと2人の近くに居るのは知ってるから』
「あっ……まぁ……それとなく?」
『それとなくでいいよ。あの2人の動向は全然掴めないから。私ですら優香のことはよく分からない』
「喋んな、毒親。そもそも見る気無いくせに急に母親面すんなってーの」
声聞こえないからって言いたい放題やな。
「優香と手越祐佳に関してはどういう対処を考えてるんですか?」
『未開の世界………と言われているんだけど、情報だとクババが作り出した世界がある。ヴァルドヘイムから見ても異世界にあたる世界だね』
「あっ、神聖都市”アヌンナキ”か。初回の転生前の私が作った世界じゃん」
「えっ?祐って前世クババなの!?」
「違うけど……多分、伝承の過程でどっかよじれたんだろうね。多分、故意だと思うけど」
「神話も伝承も闇深いな」
「人間なんていつの時代もそんなもんだよ。結憂さんみたいなの沢山見てきたから」
「ポンコツ畑だな」
…………優香の言葉選び、どうにかならんかな?笑っちゃうんだってば。




