31.まあなんでもうまけりゃいいんじゃない?
「ここがメルティジュエル?」
「おう。」
「……カフェじゃなくて?」
「中華料理屋だな。」
「……めっちゃオシャレじゃん!!」
「みっきー、写真あるけど見てみる?」
「ん〜、気になるけど入るまでの楽しみにしとこっかな。ありがと、ゆいち。」
「じゃあ楽しみにしててね、とだけ言っておくね。」
「ほんとに顎外れるよ〜!」
「驚きすぎてってこと?あたしとしては顎が外れる店よりも、ほっぺたが落ちる店がいいんだけどな〜。」
「顎外れてほっぺた落ちるよ!!」
「え……最高じゃん!!」
「最高か!?店出たらたぶん顔すごいことなるぞ。」
「「いえーい!」」
「それはなんのハイタッチ?」
「まあ店の前で騒いでもよくないし入ろうよ。」
「たしかに。」
「入ろ〜!」
「入ろ入ろ〜。」
「待って、店内もこんなにオシャレなの?」
「ね〜!中華料理屋なのに床きれい〜!」
「お前そこそこ失礼な偏見もってんな。」
「味もいいからオススメだよ。」
「もうこの内装見ただけで期待マシマシだよ〜。」
「いらっしゃいませ。奥のお好きなお席にお座り下さい。」
話していたら奥から店員さんがやってきた。
「ありがとうございます。」
「あいざいます!」
「まー。」
「んす。」
「どこのコストをカットしてんの?」
「最後にございますがつく言葉は『ざいます』だけ言ってれば通じる。」
「日本の察してちゃん文化が作った悪だ。」
「悪!?しばかなきゃ!」
「自分のおしりでもペンペンしてんだな。」
「累もね。」
「じゃあまっきーもだな。」
「ちょっとおしりペンペンするから、ゆいちは先に席座ってて。」
「私カウンター座るから3人はテーブル席座ってね。ちょっと自分のおしりペンペンするような人と一緒に座りたくない。」
「冗談ですやん。一緒に座ろーよ。隣通し、中つむまじくさ。」
「……とりあえず奥のテーブル座ろうか。」
「さっすが。」
「じゃあみっきーは結衣の隣ね〜。私左側の席予約!」
「はいよ。」
「もし肘がぶつかってもいいのなら左に座ってもいいよ。」
「めんどくせえ左利きアピールすんな。」
「左利きって天才多いらしいよ?」
「ほーん。まあそういう話聞くな。」
「そう!ジョン・ディリンジャーとか、ボストン・ストラングラーとか」
「ん?」
「ウーサマ・ヴィン・ラーディンとか。」
「あ?」
「切り裂きジャックもさ、傷口から左利きだって言われてるよ〜?」
「全員バチくそ激ヤバ犯罪者じゃねえか!!!!」
「左利きって人口の10パーセントくらいしかいないんだよ!?それで天才が多いってもう選ばれし民じゃん!!!!」
「ゆいちはこのお店来たことあるんだよね?」
「うん。」
「その時はこの店中華って知ってたの?」
「そんなん左利きの俺少数派でかっこい〜とか思ってるだけだろ。少数派の人間ってなんで少数派でいられるかって全部プライドのみで成り立ってるからね。左利きの人間なんてみんな揃って思想も左だ!」
「え?なんなの?僻み〜?」
「正直カフェだと思ってた。累を誘って行ったんだけど、累の目めちゃくちゃ丸くなってたよ。」
「お前ら左利きっていつもそうだな!!ただ左手で飯食って文字書くだけで、自分の方が偉いと思うなよ。」
「いやいや、それはさすがにスポーツエアプ。スポーツ界の左利きってマジで重宝されるから。」
「そんなん部活終わったら何の役にもたたんだろ!!お前インドとかイスラムの文化で左手って『不浄の手』って言われてんだよ。汚いもの上手に使えますって畑の堆肥でしか聞いた事ねえぞ!」
「ていうかあの二人大暴走だね。」
「あー……波長が合うのかなあ、お互い共鳴?しやすいんだよね。そろそろ止めるよ。」
「いやいや!それはインドで、よそはよそ!鬼はうち!!」
「鬼は外だろ!!招くな!!」
「はいはい、ストップストップ。二人であんま盛り上がりすぎないで。」
「たしかに、すまん。」
「まったくもう〜。」
「これだから累は。」
「まあまあ、とりあえず注文選ぼうか。」
「私レバニラ〜!」
「一見さんはメニュー開いてから決めろよ。」
「そういえば気になってたんだけど一見さんお断りってある店ってどうやってはいんの?」
「あれは紹介で入れるようになるらしいぞ。」
「おすすめってある?」
「天津飯がすごく美味しいよ。」
「へ〜!じゃあ私ゆいちと同じもの頼も〜。」
「聞いた意味。」
「紹介された人しか入れないって、じゃあ店主の仲良い人とその仲のいい人しか入れないってこと?」
「そう、やってることは出演者も客も仲良ししか呼ばない身内ノリに溢れたライブと一緒。」
「なんとも言えない気持ちになった〜。」
「ゆいちは何頼むの?」
「私は同じものあんまり頼まないから天津飯食べられないよ?」
「え〜!そうなの?」
「ていうか飛跳レバニラ好きだよな。」
「三度の飯よりレバニラ好き〜!!」
「それは三度の飯に含めろよ。」
「だから、同じものを頼むんじゃなくてさ、好きな物頼んで1口交換しない?」
「天才!!」




