26.風向きが怪しいですね
「んじゃ、飛跳また後で。」
「また後でね。」
「バーイ!」
放課後、飛跳と別れて揺衣と部室に向かう。
「部活久々だね。」
「テスト終わってからしばらくサボってたからな。」
「サボりとは人聞きが悪い。」
「生徒会だろ?」
「もうそろそろ選挙だからね。忙しいものだよ。」
「書記も書記で大変そうだな。」
「まあ引き継ぎ資料作ったりもあるからね。正直選挙が忙しいと言うより選挙までに今あるものを可能な限り終わらせなきゃだから。」
「ほーん。乙。」
「もうちょっと労ってもいいんじゃない?」
「何?頭でも撫でてよしよししてやろうか?」
「頭痛がしそうだね。」
「こんにゃろ。」
「ふふふ(笑)」
「というか、次の選挙もでるんだろ?」
「んー……。正直、悩んでるね。」
「意外だな。人望もあるんだから次は会長狙ってるもんだと思ってたわ。」
「いやいや、私は会長って感じじゃないと思うよ?どちらかと言うと累の方が向いてるんじゃない?」
「それこそないだろ。俺になんの夢見てんだよ。」
「私が生徒会長になったら第二文学部はどうするのさ。」
「あー、そしたら俺が部長か……。他にいねえもんな。」
「でしょ?」
「でも勿体なくね?こんな部活のこと気にしなくていいだろ。」
「こんな部活とは、随分な物言いですね?累先輩。」
「……千葉。」
聞かれていたとは……いつの間にか部室の扉の前に着いていたから、そりゃ千葉も来るか。
「一華ちゃん、久しぶりだね。」
「お久しぶりです、大井先輩。」
彼女は千葉一華。第二文学部唯一の正式な後輩だ。
「それで、こんな部活……ですか?」
「いや、マジでごめんて。あのさ、まあ、生徒会に比べたらさ?部活って小さな話じゃん?ね?」
「……。」
「……言葉ミスったっぽいな。ほら、な?そんなムスッとしてたら美人が台無しだぞ?」
「ムスッとした程度で私の美人は崩れません。」
「おお、すっげえ自己肯定力。」
「一華ちゃんは可愛いからね。累が直視するのは恐れ多いよ。」
「俺そんな卑しい?」
「卑しいです、だから早く鍵開けて部室行きましょう。」
「因果関係わけわかんねえな。まあ開けるけどさ。」
財布に括り付けてた鍵で部室の鍵を開けた。
「ういーす。って誰もいねえや。」
「鍵しまってたんですよ?いるわけないじゃないですか。」
「一華ちゃん、累の頭は弱いんだよ。」
「お前よりはな。」
「ん?」
「なんでもねっす。」
「そ。」
「そうでした、累先輩。」
「ん?」
「先輩の作品読みましたよ。」
「え、まじ?」
「『中途半端だと最弱のレッテルを貼られた魔法剣士が前世の知識がある俺にとっては最高の最強職だった件〜バカにしてたやつを全員見返して俺のことが大好きな美少女ハーレムパーティーで全てのダンジョンを破壊する〜』でしたよね。面白かったです。」
「おい待てなんだその作品。俺が書いてるのは『CHAOS BREAKER〜最強への道〜』だ。」
「すみません、無意識に内容の要約をしてました。」
「くそ!だいたいそうだけど!!」
「多分こっちのタイトルの方が伸びますよ。」
「文字数は伸びるな!!」
「本心ですよ、Web小説ってあらすじが最初から表示されますか?」
「タップしたらされるけど。」
「そのタップに甘えるのはダメです。タイトルでもうあらすじを書くんですよ、そうしたら見た瞬間に自分が好きそうな内容かわかるじゃないですか。」
「そうだな。」
「ここ、バカにしちゃいけませんよ。堅苦しいタイトルの作品って内容も硬そうですよね?」
「うん。」
「でも先輩の作品って内容堅苦しくないですよね?むしろポップです。」
「馬鹿でも読めるが俺のコンセプトだからな。」
「だったら頭使う作品みたいな雰囲気出しちゃダメですよ。そうしたら頭使わない作品読みたい人は避けていきますし、硬そうな作品読みたい人はなんか違うなって思って離れていきますよ。」
「……。」
「先輩、タイトル変えましょうよ。」
「……。」
「変えた方がいいですよ。」
「わかったよ!!『中途半端だと最弱のレッテルを貼られた魔法剣士が前世の知識がある俺にとっては最高の最強職だった件〜バカにしてたやつを全員見返して俺のことが大好きな美少女ハーレムパーティーで全てのダンジョンを破壊する〜』にすればいいんだろ!!」
「なんですかそのタイトル。もう少し考えた方がいいですよ。」
「なんだてめえ!!!!」
「累、バカにされてるね。」
「いえ、本心です。」
「なおさら酷いわ!!」
「先輩の作品は内容はともかく、細かな設定の絡め方や会話のテンポはいいんですから、もっとそこを全面に出すべきですよ。」
「褒められてる気がするけど内容はともかくって普通に致命傷じゃね?」
「先輩の作品って内容は普遍的なので。」
「まあ凝った設定は思いついてねえからな。」
「それを先輩の技術でオリジナルにできていることはすごいと思います。」
「……ありがとう。後で千葉のも読ませてくれ。」
「嫌です。」
「私も一華ちゃんの小説読みたかったんだけどな……。」
「私の席に来ていただければ何時でも。」
「え、俺だけダメなん?」
「ふふふ、お先だね、累?」
「大井先輩は自分の執筆はどうなんですか?」
「う……書きます。」
「いろいろと忙しいでしょうが、活動はしていただけると。」
「そうだね……。」
2人揃って先輩風全然吹かないし、逆風だった。




