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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は恋も運命も乗り越えます!  作者: 栗栖 龍


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プロローグ

※本日一本目です。今日中にもう一本上げます。

 ガルンラトリ歴二〇三七年六月、ガルンラトリ王国は未曾有の災厄に見舞われた。

 一万年前にこの世界を滅ぼそうとした神の一柱、闇と悪意の神であった魔王マルキュ・モンマエルが復活をもくろんだのだった。

 それを防いだのは一万年前に生き延びた神々のうちの二柱――国のある大陸の守り神である火山と業火の神・聖竜インフェラ・ファジーロと愛と慈悲の女神ディノ・アモルーモ――から祝福や加護を頂いた者たちだった。

 聖竜の剣であり盾である戦士、リュドルク・ドラコミリ。

 聖竜をたたえる聖ドラゴン教のトップの大司教、セティオ・K・バルセロノ。

 聖竜に直接仕え、聖竜の直轄地を守る領主姉弟、フィオラ・カリエラ・シニョラ=ドラコメサとフォルト・オルストロ・シニョロ=ドラコメサ

 この者たちは聖竜の最大の守りである加護をその身に受け、さらに大司教と領主の姉はある事情から女神の最大の守りである祝福も得ていた。


 一万年前……人々の悪意を食らうことで力を付けた闇と悪意の神マルキュ・モンマエルは自ら魔王と名乗り始め、信徒を増やし、その中から魔人を作り出し、獣を越えた獣・魔獣を引き連れて人々に、そして他の神々に戦争を仕掛けた。

 この世のすべてを滅ぼすために。それは泥沼の闘いとなった。

 しかし神々同士で闘うのは神々の(ことわり)を犯すこととなり、人類未踏の大地にいて戦いに参加しなかった聖竜以外は、最終的に眠りにつくことになった。

 その中で女神は最後の力を振り絞り、聖竜が人間の住める環境に整えた場所に“悪意を持たぬ者”のみを送り込んだのちに同じく眠りについた。

 それから五千年後、人々の助けを求める声に目覚めた女神が国を作った。

 さらに三千年後、聖竜も大国が四つとなった時に人間たちに『それ以上の争いは止めよ』と啓示を出した。

 そんな中、人間が増えるとともに悪意も増え、魔王を称える国も出来てしまった以上、いずれ魔王が復活してくるのは明白だった。

 そしてそれは訪れた。


 今から二十年ほど前に魔王は目覚め、力を溜めると自身の復活のカギとなる駒をこのガルンラトリ王国に誕生させた。

 魔王はこことは異なる世界から自分好みの魂を取り寄せ、当時の堕落したドラコメサの血筋にそれを入れることで大いなる魔力を手に入れさせることに成功した。

 ついでに本来のドラコメサの跡継ぎである姉弟の力を弱めることにも成功し、紆余曲折あり姉の王立高等学園卒業後のパーティーで、異母妹()が王太子の婚約者の座を奪うという愚行に及んだ時に姉は全力で立ち向かったが、それがトリガーとなり魔王がそこで復活してしまった。

 弟に庇われ生き永らえた姉が見たものは、魔王に滅ぼされた王都と聖竜に向かって、つまり領地の方へと進行していく魔王たちの後ろ姿だった。その時同じく様子を見るしかできなかった大司教と共に魂が異世界に飛ばされた、聖竜と女神によって。

 姉の魂は異世界の赤子の中に宿り、すくすくと三十歳を迎えるまで平凡に生きていた。前世の記憶を一切なくした状態で。

 大司教の魂はゲームのシナリオライターに憑依する形で異世界にとどまり、自分のいた世界をゲームという形で甦らせ、たまたま姉もそのゲームに熱中し楽しんでいた。

 姉がヒロインの“竜ダリ”と異母妹がヒロインの“乙ダリ”。その世界とゲームの知識を携えたまま姉たちの魂は元の世界の二十年前に呼び寄せられ、元の魂と融合させられた。

 そして姉は前世の知識も駆使して弟も失わず、前回よりも力を付けたドラコミリと大司教と共に魔王を打ち倒し、再び眠りにつかせることに成功した。

 そうして手に入れた平穏な世界。


 卒業式の出来事で学園の講堂棟が全壊してしまったものの、犠牲者を一人も出さずに済んだので、今は責任を取らねばならなかった者以外はみんな幸せな日常を過ごしている。

 姉は常日頃から「弟の婚約者を決めて、その人をドラコメサの女主人として仕込んでからじゃないと、自分の婚約のことなんて考えられない」と公言しており、魔王を退けた功績で国王陛下に程よい相手を見繕ってもらおうと思っていたのだが、当の陛下や友人たちから「あなたは好きになった人と添い遂げる権利がある(つまり自力で探せ)」と言われてしまい、貴族の定石である政略結婚をあきらめなければならなくなった。

 そしてここで問題が一つ。

 姉ことフィオラには恋愛スキルが皆無どころかマイナス補正が入っていると思われるほど恋愛事に疎く、前世を思い出してみてもロクな恋愛をしていないどころか、不器用この上なかった事実しか浮かんでこなかった。

 それに絶望したフィオラはついうっかり叫んでしまった。


「女神さまも聖竜様も、頑張ったご褒美に恋愛スキルを上げてくれたってよかったじゃない!!!」


 そんな彼女の耳に『知らんがな』という男性の嘲笑と、『ふふっ、自力で頑張って』という慈愛に満ちた女性のエールが届いたのだった。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

リアクションの方もよろしくお願いします!

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


フィオラの新しい物語が始まります。

よろしくお願いします!

一部短編の「ラ・ラスタ・パンゲオの伝説といま」と重複していますが、どちらも削れなかったのでしょうがなかったとご理解くださいorz

今度は恋愛中心の物語になりますが、よろしくお願いします!


前作はこちらです。

【ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!】

https://ncode.syosetu.com/n4604ho/

世界観を紹介するためもあって、うんちくたっぷりの長編になっています。

こちらもよろしくお願いします♪

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