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ダンジョンだからって戦わなきゃいけない決まりはないと思う  作者: テケリ・リ
五章 冒険者パーティー【揺籃の守り人】
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第二話 後片付けは大事だよね。

大変遅くなりました。


楽しみにしてくださっている読者の皆様、申し訳ありません。


なんとかペースを取り戻したいと思いますので、どうぞ見放さないでくださいm(*._.)m



良ければ、感想、評価、ブクマをお願いいたします。




〜 ユーフェミア王国 とある山中の廃砦 〜



うーむ。

どうしてこうなった?


いや、アザミさんにシュラさんよ。

そんなジトッとした目で睨まれましても……


「「「「ご主人様、何をいたしましょうか?」」」」


いや、なんにもしなくて良いんですけど?!


っていうか、俺がご主人様なの!?

君らのご主人様、まだ生きてますよ!?


「主様よ……些か、節操が無さ過ぎるのではないかのう?」


「マナカ様。これは流石に抗議したく思います。」


いや、だから2人共さ!?

ちょっと落ち着いてくれないかな……?!


「待ってくれ2人共。これには海よりも深く、山よりも尚高い理由(わけ)が在る筈なんだ。取り敢えず落ち着こう。落ち着いて、先ずは話し合おうよ!」


頑張って説得を試みるものの、俺の周りにはベッタリと元首領の奴隷だった女性達が……


「うぅむ。どうやら話し合いの余地は無さそうじゃのう。」


「そのようですね。シュ……ウズメ、家に連絡をお願いできますか?」


ちょっと待って!?

そんな、一面だけで判断しないで、せめて事情を鑑みてくれないかな!?


俺自身も良く解ってないけどね!!




俺達は、冒険者パーティー【揺籃の守り人】として、この廃砦の制圧と、虜囚の解放に乗り出した。


そして雑魚の構成員の無力化、幹部達の捕縛、首領の生け捕りに、囚われた女性達の救出と、3人で、そりゃあ頑張ったんだ。


因みに、首領以下盗賊団の生き残り達は、全員縄を打ち拘束してから、結界に捕らえてあります。


で、現在救出した女性達と、捕らえた盗賊達を外に連れ出しているんだけど……


何故か首領の奴隷にされていた女性達が、俺のことを主と言い出したんだ。


俺はただ、首輪が隷属させていることに気付いて、首輪に魔力を通して術式を破壊して、外してやっただけなんだけど……


「でもまあ、これじゃ埒が明かないし、アネモネに訊いてみるか。」


ダミーコアを取り出して魔力を注ぐ。


繋ぐ先は、勿論我が家のダンジョンコアだ。


『お兄ちゃん?なんかあったのー?』


我が愛しの妹の声が聴こえてくる。


今日も可愛い声だな、マナエ。


「んー、問題っちゃあ問題発生だな。アネモネって手空きかな?」


『呼んでくるよー。待っててね〜♪』


待つこと数秒……


『お待たせしました、マスター。』


うん、全然待ってないからね。


「忙しいとこごめんよ。実は……奴隷にされてた女性達を解放しようとして、術具だろう首輪を術式ごと破壊したんだけど、そしたら何故か女性達が俺を主と呼び始めたんだよ。なんでか知らない?」


事情を話して知恵を乞う。

アネモネの固有スキル【叡智】ならば、この不可思議な現象の原因も分かるだろう。


『……マスター、彼女達の様子はどのようなものか、映像を見せていただけますか?』


「ああ、分かった。」


ダミーコアを操作して、ダンジョンコアとの通信を、音声だけでなく映像もやり取りするよう操作する。


アネモネには、彼女達が生気のない瞳で並んでいるのが見えているだろう。


『……なるほど。マスター、恐らく彼女達は、自我が薄れてしまう程の調教を受けています。そしてその薄れても辛うじて残っていた自我を、その首輪の術具で抑え込み、強制的に従わせていたのでしょう。しかし、マスターによってその自我を抑えていた術式が破壊され、急速に自我が目覚めさせられた、という状態ですね。』


うんうん。

抑制されていた自我が目覚めたなら、良いことだよね。


『ところが、その薄弱な自我では生きてはいけないと、生存本能のようなものが働いたのでしょう。彼女達はマスターに、本能で庇護を求めているのです。』


お、おおう?

あれかな、腹を見せて群れに加えてもらって守ってもらう的な感じなのかな?

しかも薄い自我で。


「ええ……そんな状態じゃあ、下手に人里に返しても受け入れてもらえない……よね……?」


『そうですね。一旦収容施設で預かり、自我が充分に回復し、保てるようになるまで、療養させるしか無いと思います。盗賊の討伐報告の際に、その旨を提案なさると良いでしょう。』


本来であれば、盗賊に囚われた者達は、家が在るのなら帰してやるのが妥当な処置だ。


一度、彼女達の気持ちを訊いてみた方が良いかな。


「分かったよ。彼女達に確認して、それでもついて来ると言う人は住民として受け入れよう。また報告が済み次第、連絡するよ。」


『かしこまりました。マスター、お気を付けて。』


そしてアネモネとマナエに礼を言い、通信を終える。


どっちみち、一度はギルドに届出ないといけないな。

そしてこの大所帯……まともに連れて歩いても時間が掛かり過ぎるよな……


「よし。先ずは移動手段の確保だな。シュ……ウズメ、周囲の樹を10本くらい倒して集めて置いてくれ。タマモは、その樹を魔法で乾燥させといてくれるか?俺はその間に、捕まっていた女性達が今後どうしたいか、訊いてみるよ。」


仲間2人に指示を出し、俺は女性達に向き直る。


先ずは、新たに捕らえられた女性(ひと)達だな。


彼女達は商隊(キャラバン)の商人と、その護衛に雇われた冒険者だったかな。


「改めて自己紹介しよう。俺はマ……クレイ。Cランク冒険者で、【揺籃の守り人】っていうパーティーを率いている。貴女達のお仲間は、残念だったね。お悔やみ申し上げるよ。辛いところを申し訳ないけど、今後どうしたいか、身寄りは有るのか、教えてくれないか?勿論、俺で力になれることが有れば、出来る限り助力するよ。」


先ずは商隊の一員であろう女性に話を振る。

彼女は今も、一緒に救けられた少女と、もう1人の少し歳上っぽい女性を抱き、宥めている。


「救けていただき、ありがとうございます。わたくしは、行商人一家の主として家族で商隊に参加していました、【ルージュ】と申します。この子は亡き夫の連れ子であった【エヴァ】。この女性は、使用人として雇っていた【カリナ】といいます。」


立ち上がり、腰を折って丁寧に挨拶してくれる。


ルージュさんは、れっきとした商人らしい。


行商人として旅をしていたが、逗留先で亡くなった同じく行商人をしていた旦那さんと知り合い、交流を深めた後に結婚した。


それからは、行商人一家として、旦那さんとその連れ子であるエヴァ、元々雇っていた使用人のカリナさんと、旅から旅の行商生活を送っていた。


当然、定まった住まいは持たず、残されたのは、盗賊に奪われた商いの商品と資金のみとのことだ。


「これからどうしようかは、正直決めかねています。このまま行商を続けるにしても、義娘(むすめ)にはもう怖い思いをしてほしくありません。しかしわたくし達のような根無し草には……」


悩みどころだね。

娘さんのためには危険な行商からは足を洗いたいが、一所に腰を据えるにしても、商いを続けて資金を稼がねばならない。


「なるほど。それなら、良い所を紹介しようか?そこは住民を絶賛募集中だし、商売のノウハウが有るなら、すぐに店も持てるだろうから。当面の資金も、多分街から助成される筈だよ。」


貴重な人材だもんね。

しっかり勧誘しておこう。


「それは……願ってもないことです。ですが、本当にそのような都合の良い事が……?」


流石商人だね。

美味い話の裏を探ってくる。


「ちょっと特殊な事情の有る街でね。聞いた事無いかな?王国と友好条約を交わした迷宮の話を。」


ハッとするルージュさん。

情報はしっかりと手に入れていたようだ。


「俺はその街の偉い人に伝手が有るから、力になれると思う。どうかな?エヴァちゃんやカリナさんと一緒に、心機一転、新たな生活を始めてみない?」


顎に手を当て、黙考する彼女だったが、やがて手を下ろし、決意を秘めた瞳で俺をしっかりと見た。


「お言葉に甘えさせていただきたいと思います。どうか、お力をお貸しください。」


そう言って、再び腰を折って頭を下げたのだった。


続いて、残り3人の女性達へと向き直る。


彼女達はそれぞれ違うパーティーに所属していた冒険者らしい。


「Dランク冒険者の【ベレッタ】だよ。熊の獣人で、パーティーでは前衛で戦士をやってた。」


「同じくDランクの【ミーシャ】です。わたしは斥候をやってました。剣と罠の扱いは得意です。虎の獣人です。」


「Dランクの【ミラ】。見ての通りエルフよ。武器は弓と短剣で、精霊術を使えるわ。元のパーティーでは中衛と後衛を担っていたわ。」


それぞれ自己紹介をしてくれる。


全員Dランクか。

みんな違うパーティーだと言うから、3パーティー合同での護衛任務だったんだね。


「それで、君達はどうする?行く宛が無いのなら、勿論君達も街へ案内するよ?ギルドの誘致も進んでる筈だし、街に根差した冒険者になってくれれば、俺も嬉しいし。」


未だに俺の街には、冒険者が居ないからな。

ダージル達【火竜の逆鱗】は、出来れば残ってもらいたいけど、無理強いする訳にもいかないし。


そんな打算もあって、俺は3人を勧誘する。


これで上手いこと街に来てくれれば、仮に冒険者を辞める決定をしても、街の治安維持にも協力してもらえるかもしれないしね。


「私は……もうパーティーの仲間も居ないし、正直行く宛は無いわ。それに、アナタにも興味があるし。」


え、俺に興味ってどういうこと?

思わせぶりな視線で流し見られ、思わずドキッとしてしまう。


「わたしも、身寄りも無いし、ついて行きたいかなぁ。」


「オレもだな。アンタさえ良ければ、世話になりたい。」


エルフのミラがそう言うと、虎獣人のミーシャと熊獣人のベレッタもそれに追随した。


「ていうか、アナタ達本当にCランクなの?たった3人で【黒縄蛇】を壊滅させたのもそうだし……」


意味深な微笑みを浮かべて、ミラが俺に近付いて来る。


そして、俺の耳元に顔を近付け、俺にしか聴こえないような小声で。


「(アークデーモンが冒険者をやってるなんて、どんな事情が有るのかしらね?()()()さん?)」


一瞬、何を言われているのか理解が遅れたが……

正体を看破された!?


「私は、出来ればアナタ達のパーティーに加えてもらいたいわ。強くなれそうだし、色々と楽しめそうだもの。」


そう笑みを浮かべながら、ミラは俺から離れる。


「あ!それならわたしも一緒に入りたいです!」


「おい、ズリィぞ!?オレも仲間に入れてくれよ!」


あらら。

あとの2人もその気になっちゃったよ。


ミラがどのようにして俺の隠蔽を突破し、正体を暴いたのかは不明だが……

手元に居てくれるってんならまだマシか?


「あー、パーティー加盟云々は一旦保留させてほしい。取り敢えず、俺達について来てくれるってことで良いんだよな?」


俺の提案に、3人は頷きを返してくれた。


そうであるなら、俺の正体や目的を打ち明けた方が良いだろう。


でもそれより先に、先ずは他の女性達の処遇と、盗賊達の引渡しだな。


「それじゃあ、君達は悪いけど、保護した女性達の面倒を見てやっててくれないかな?出来れば、身寄りのある娘は家族の元に帰してやりたいけど、それとなく訊いてみてくれないか?」


冒険者の3人と、商人一家のルージュさん達に頼み、俺はウズメ達が用意してくれた木材へと近付く。


「2人ともありがとう。これだけ有れば充分だな。」


最寄りのギルドが在る街まで、一般人の足で徒歩3日ほど。


加えて此処は山の中で、女性達に歩かせるのは偲びないことこの上ないからなぁ。


俺は木材に魔力を浸透させ、念動で宙に浮かべる。


続けて頭の中でイメージを固めて……


「造形魔法【想造工房(イマジンワークス)】発動。」


ただの丸太に、形と役割を与える。


丸太は寸断され板材やホゾへと加工され、俺の想像した通りに組み合わされ、組み立てられ……


一艘の巨大な屋形船へと姿を変えた。

まあ、障子も畳も無い、船に小屋が乗っかってるだけの代物だけどね。


ダンジョンなら、イメージしてDP払うだけでポンと出来るんだけどなぁ。


結構な魔力を消費して、俺は女性達を運搬するための乗り物を造り上げた。


「こんな……!魔法だけで舟を造ったというの!?」


それを見たミラが、驚愕の声を上げて呆然としている。


「ふわあー!!クレイさんって、やっぱり凄い人だったんですね!!」


「っていうか、何で陸で舟?」


ミーシャとベレッタも驚いている。


ルージュさん一家は声も出ず、ただただ固まっていらっしゃいます。


「盗賊の貯め込んだ品物や、みんなを乗せるには荷車じゃあ負担がデカいからね。これならみんな乗っても余裕も有るし。」


タマモとウズメに頼んで、廃砦の中からシーツ類なども持ち出してもらってある。


それらを水の球体に放り込み、火魔法でぬるま湯程度にしてから、激流を上下左右に発生させてお洗濯。


取り出した布に火魔法と風魔法を併用した温風を吹き付け、一気に乾燥させてから、船の小屋の中に敷き詰める。


これで板の床面でも多少はマシだろう。


「さてと。ルージュさん達は、女性達をこの船に乗せてあげてください。冒険者組は、盗賊共の略奪品を運び込んでくれ。」


結局、砦に元々捕らえられていた女性達は、皆ついて来ることになったようだ。


それならば、彼女達が己を取り戻し、人並みの生活が送れるようになるまで、しっかりと街で保護してやらないとな。


全員が船に乗り込み、ウズメを船首に立たせて見張り番にする。


どっちみち後で正体を明かすんだし、出し惜しみは無しだな。


「それじゃあ、最初は怖いかもしれないけど、じきに慣れるから我慢しててね。」


そう言って俺は船を包み込む巨大な結界を張る。


捕らえて一纏めにしていた盗賊達も、もうひとつの結界で包み込む。


そして結界をさらに魔力で包み込み、念動を掛ける。


「相変わらず無茶苦茶するのう、クレイよ。」


「流石です、クレイ様!」


「うそ……これだけ巨大な舟が……浮いてる……?」


「いやー!?高い!怖いー!?」


「オレ、夢でも見てんのかな……?」


屋形船は、それを包む結界ごと宙に浮き上がり、みるみるその高度を上げていく。


盗賊達も結界に閉じ込められたまま、空へと浮かんでいる。


「こうやって、街の近くまで運んでくからね。着くまでは、船の中で休んでて良いよ。それから……タマモ。」


俺自身も飛行魔法で空へと上がり、同じく飛んでいるタマモへと指示を出す。


「はい、クレイ様。全力でよろしいのですね?」


「うん。残しといてもまた魔物か盗賊の根城になっちゃうだろうからね。全部壊しちゃってくれ。」


そう。

最後にこの打ち捨てられた廃砦を、二度と悪用されないように破壊するのだ。


「それでは、参ります!」


タマモ――アザミの魔力が急速に膨れ上がる。


彼女の周囲の空気が帯電し、頭上には分厚い黒雲が生まれる。


黒雲はどんどん密度を増し、溢れ出る魔力が紫電となって空気中を荒れ狂う。


「【万雷散華】。」


静かに発せられた言霊により、黒雲の魔力は臨海を迎えて、地上へと降り注ぐ。


一瞬の、目も眩むような閃光が疾走(はし)ったかと思えば、次いで耳朶に叩き付けるような轟音が響く。


光の去った跡に残るのは、先程まで建っていた砦の、黒焦げとなった残骸だけだ。


って、ちょ!?

周りの樹に火が点いちゃってるよ!?


「……やり過ぎました。す、すぐに消火します!」


慌てて水魔法で消火して回るタマモを、呆れ半分、頼もしさ半分に見届けて、俺は船の面々を確認する。


「「「「…………………………」」」」


うん。

驚き過ぎて声も出ないみたいだね。


「さて、これでここにもう用は無いね。それじゃ、街へ向かおうか。」


消火活動を終えたタマモを迎えて、俺は念動で結界を操作して、街へと向かい飛び始めたのだった。





ミラ「信じられない……こんな大規模な魔法を維持するだけでなく、移動まで……」


ミー「わたし達、とんでもない人について行こうとしてるのかな……?」


ベレ「オレはあの人がどんな事情持ちでも、絶対ついてくぞ!」


エヴ「ママ、あのお兄ちゃん凄いねぇ!」


ルー「そ、そうね。ああ!?危ないから走り回らないの!!」


シュ「平気じゃぞ?この船は結界に覆われておるからの。落ちても結界が受け止めてくれるのじゃ。」


エヴ「ほんと!?アタシ、真下も見たい!」


シュ「おお。元気な幼子じゃのう。どれ、儂が抱いて下に連れて行ってやろうかの?」


ルー「いえ、そんなお戯れを……!こらエヴァ!街に着くまで大人しくしていなさい!」


エヴ「えー!!ぶぅ。ママのいじわるぅ!」


シュ「これは……また主様が、妹が増えたと言い出しそうじゃのう……はぁ……」




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― 新着の感想 ―
[一言] エヴァ... エヴァンなゲリオンが一番最初に脳をよぎりますね。
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