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闇の暗殺者と幼き少女。  作者: 博多っ子
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第25話《記憶とは?》

 暗い。……とっても暗く、とっても苦しい。

 あれ?私って誰だっけ?ダメだ。何も思い出せない。


(ポロポロ)


 え?なんで涙が突然出てくるんだろう?なんでこんなにも心が痛いんだろう?どうしてこんなに私という存在を否定しちゃうのだろう。


 記憶が白紙のように消えていく。いや、かすかに残っている記憶が全て消えていく。もう、私は何者で誰かすら分からないけどうっすらと彼の顔が頭に残っている。


 あなたは誰だっけ?……思い出せないけど、私の心が休める場所のような気がする。私の心が癒されるような気がする。


 ああ、私は……本当に……全てを忘れたの…….。


 ───


 ──


 ─


「ぐ!頭が……」


 突然、千夏が頭をおさえてしゃがみこんだ。それを見たシン・ハザードは一瞬、動きをとめた。


「どうした?死神。隙があるぞ」


 シン・ハザードは死歩を使い千夏の頭上に迫る。


「くそぅ!私の最強の邪魔をするな!」

「誰に向かって喋ってるんだ?」


 躊躇のないシン・ハザードの攻撃は勢いよく千夏の頭を蹴りあげる。軽い体はその力の衝撃により軽々と吹き飛ばされた。


「突然動きが鈍くなったな。最強もそろそろガス欠かな」

「あああああ、畜生畜生畜生畜生畜生!私の頭から消えろ!お前はもう誰からも愛されない!望みもなく、希望もない、早く私の影に埋もれろ!」

「なんだ?一体どうしたんだ?」


 ───


 ──


 ─


「ち、やはり少々不安定だったか」


 Dは頭を抱えている千夏をチラリと見る。


「貴様、千夏は一体どうしたんだ!?」


 ダーク・ミラーは日本刀を構えながらDに迫る。


「ふん、私の記憶の操作能力は完璧ではないのでね。完全なる記憶の末梢には補助的な役割が必要なのだよ」


 Dは話をしながらダーク・ミラーによる日本刀の攻撃を全て避けている。


「くそ!なぜ、当たらない!くそ!くそ!くそ!くそ!」

「ふん!当たらないのは君の記憶を読んでいるからだ。何を考えていて行動するか、何を考えていて私を殺そうとするか。そう、全てが私には理解が出来る。まあ、さすがに身体的に避けられない攻撃には無理があるがな」


 ダーク・ミラーは死歩を使い、瞬時に後ろに下がり距離を置いた。


「なるほどな。わざわざ貴様の能力の解説をどうも。……で、千夏の記憶の操作に補助がどうのこうのと言っていたが、それも教えてくれるのか?イカれ殺人凶さん」

「そうだな。どうせここで死ぬんだから答えてやろう。いいか、ダーク・ミラー。私の記憶による操作は完璧ではないんだ。全ての記憶を消すということは私だけでは無理なんだよ。記憶とはいわば人間の体そのもの。記憶が全て無くなった人間はただの空に等しい。人間で一番強い場所、それは頭の中だ。結論から言うと私の言った補助とはお前だよ、ダーク・ミラー」

「なんの事だ?」

「ふふふ、答えは至極簡単なことだ。それは……大切な人の死だ」


 Dは曲がったネクタイをととのえながらニッコリと不気味に笑った。


「人間で一番強い場所は一番脆い場所でもある。たった1人の死ですら影響は計り知れない。その最後の記憶の末梢こそがお前の役割だ。だから、今ここで死んでくれないか?ダーク・ミラー。そうしたら千夏は本当の最強になれる」

「なるほどな。長い話をどうも…………と言いたいところだがその要望は聞けないな。なんでお前があいつの父親なんだ。なんで自分の娘にそこまでする。お前は……いや、東の殺人凶、デッドマイティーン、貴様は狂ってる」


 そのダーク・ミラーの怒りの言葉にDは一言口を開いた。


「それが私だからだ、ダーク・ミラー!」

「よく分かった。東の殺人凶!」


 ───


 ──


 ─


「ヒャハハハハハハ!かなりツヨイな!コレが最狂か!尋常じゃナイ尋常じゃナイ尋常じゃナイ……でも……俺は無敵!オレは無敵!おれは無敵!」


 北の殺人凶はミル・サターナの攻撃により腹に大きな風穴を空けていた。しかし、その傷口はみるみると再生し何事もなかったかのように元通りになっていた。


「やれやれ、厄介な能力じゃのー」

「キャハ!北の実力ヲ甘く見たナ!」


 北の殺人凶は短剣を構え突進してくる。小細工な動きは要らない。ただ目の前の敵を始末すればよいのだから。残像、複雑な武器、その他の変則攻撃は余計な労力を使うだけ。


「死ね死ね死ねシネシネシネしねしねしねぇぇぇ!」


 高笑いをしながら短剣を突きまくる。その攻撃をミル・サターナはいたって冷静にかわしていた。


「単純がゆえに避けやすいわい」

「キャハハハハ!余裕ヲ見せたナ!油断ヲしたナ。その行為は死亡フラグだ、ジジィ!」


 北の殺人凶の腕の動きは二倍、三倍とスピードが増していく。ミル・サターナの表情も少しずつ曇ってきた。


「……」

「どうシタ!まだまだ早くナルナルナルぜぇぇぇぇ」


 ミル・サターナは一瞬、曇ったような表情をしたが北の殺人凶の短剣を素早く掴みあげ勢いよくへし折った。


「ナンダト!俺の短剣が!?」

「確かに凄いスピードじゃが西の殺人凶と比べたら遅すぎるわい」

「オレの武器を壊したコワシタこわした!ユルサナイユルサナイ」


 北の殺人凶はすでに折れてしまった腕の短剣を無理矢理引き抜き殺気を爆発させた。


「オレの能力ヲ再生だけだと思うナ!」

「ふん。さっさと来たらどうじゃ、若僧」

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