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闇の暗殺者と幼き少女。  作者: 博多っ子
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第13話《北と死神》

―ー時がもし違っていたら


―ー私はこれほど不幸ではなかったであろう


―ー時がもし存在しなかったら


―ー私は憎しみを抱く事はなかったであろう





暗く…闇の黒色が広がる島、その地の名は死島。


説明はいらない。その名の通りの島だから。そこの地には生がない。植物は枯れ、動物は全く見当たらない。理由は謎のまま。


そこに存在するのは、一面に広がる廃墟と化した人間の家のみ。それはまるで何十年前まで人々が幸せに過ごした時間を見ているようであった。


だがそれは過去の話である。未だ謎に包まれているこの島はほかの世界へとは完全に遮断されている。誰も寄り付かず、誰も名に触れず、世間からは忘れさられてしまった孤独な島。


その島の中央に僅かに残る建家の存在。昔はマンションかアパートだったのであろう。今では周りにツルや雑草が絡み付き横向きに倒れかけ無惨な姿となっている。


そして、その中から女性の声が反響してきた。


「出してよ!ここら出して」


建屋の一階、ちょうどその中央に鳥籠のような牢に入れられた女の姿があった。


「こらこら、あまり騒がないでくれ。キレてその美しい顔を台無しにしてあげようか?暗殺者、中原美沙」


椅子に座りながら笑みを浮かべるこの男。仮面を付け黒マントに身を包むその姿に美沙は叫ぶ。


「出せって言ってるのよ!暗殺者に脅迫が通じると思ってるの北の殺人凶」


「くすくす、本当にイラつく娘だな。シン・ハザードがここに来た時にお前の死体を見せるのもまた一興だが」


北の殺人凶は椅子から立ち上がりゆっくり美沙のもとへ歩み寄る。


「暴れても無駄だよ。その牢は暗殺者専用の監禁道具の一つだからね。お前の暗殺術のワイヤーでも切断する事は出来ない。だから黙って大人しくしといてくれ。私の殺意が低いうちに」


不気味な笑顔で美沙の顔を見上げ再び椅子に座る。


それと同時にコツコツと足音をたて奥の暗闇から1人の少女が近づいて来た。


「北の殺人凶である私の背後に立つなと言ったはずだよ、可愛らしい死神さん」


少女の無表情な顔、無意識な殺気、無防備な華奢な身体。全てが異質のようなその少女《古川千夏》は北の殺人凶に向かい静かに口を開く。


「あなたは…少し静かにして…うるさくて…私があなたを…殺してしまいそう」



「ふふふ、面白い事を言う死神だ。哀れで恐れを知らない死神よ、言葉に気をつけろよ」


強烈な殺気を千夏に向け放ったがまるで何事もなかったように彼に歩み寄る。


「あなたは…なかなか強い。でも…私より…弱い」


その言葉に北の殺人凶の目がギラリと見開かれる。


「よほど死にたいと見えるな死神。東の殺人凶の言葉で一時組んだが破棄にしてお前をまず殺そうか」


北の殺人凶は右腕の皮膚を剥ぎとり中に隠されていた短剣を千夏に突きつける。


「偶然にも今この島に東の殺人凶はいない。私を怒らせる者は敵だろうと味方だろうと容赦はしないよ」


北は《抹消》を示す。相手が誰であれ必ず地獄に葬る。彼はその言葉に一番適している存在だと言える。故に選ばれたのだ。北の称号に…


「さあ!楽しい殺し合いを開催しよう」


死歩を使って一気に千夏めがけて短剣を刺そうとする…が!


千夏はすでにその場にいなかった。前、後、上、下、全てを一瞬で確認したが千夏はどこにもいない。


「この私が見失うだと。バカな!どこいった」


「ここです。北の殺人凶」


耳元で囁く死神の言葉。ゆっくりと、しかし確実に恐怖を植え付ける不気味な囁き。


「ふ、さすがだね。肉眼じゃ見失う速さだ」


素早く千夏から離れ、北の殺人凶は黒マントの中から医療用のメスを取り出す。


「私はこれでも元、医者でね。殺人凶になったきっかけはこのメスなんだよ」


左手を使いメスを複数投げつける。と同時に右手の短剣で千夏の心臓を狙う。その光景にもまるで動じない千夏は無表情で呟く。


「ワンピースが汚れちゃう。もう…遊ぶの…やめよ」


先程は両手に何も持ってはいなかった。しかし、いつの間にか右手には黒色の鎌が握られていた。


「ふふふふふふ!!!やはり強者との闘いは面白くて仕方ない」


「抹殺します」




強者同士との闘いを見つめる美沙。今、北の殺人凶と戦っている少女に美沙は見覚えがあった。


「あの子、確かダー君と一緒にいた女の子」


なぜ彼女が?


なぜここに?


美沙は訳が分からなかった。さきほど北の殺人凶が東の殺人凶と組んだと言っていたが彼女はどんな関わりを持っているのか。色々な考えが美沙の頭を不安にさせた。

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