第3話《運命》
私の日常が変わった 。
父が母を殺した日から。
いや、仮の父と言うべきか?
いや、偽の母と言うべきか?
でも楽しかった。
凄く凄く楽しかった。
普通の日常に私はとても感謝した。
でも運命は私を退けた。
私は普通の家庭で楽しく生きていきたかったのに。
―ー私は呪った。
―ー私は恨んだ。
―ー私は悔やんだ。
でも父に殺されそうになった時、それは私の前にいた。
血飛沫に染まりながら彼は私を見た。
職業は暗殺者。
闇の人間。
最初は怖かったけどとても暖かかった。
彼の眼差しはいつも悲しそう。
お願いだからそんな顔をしないで。
私も悲しくなる。
でもこの人だったら…いや、このお兄ちゃんだったら私に光を与えてくれそうで嬉しかった。
でも運命はそんな私をまた退けた。
私の本当の父の姿。
東の殺人凶の一人
名はデッド・マイチィ―ンと言うコードネームだけ。本当の名は知らない。
実の父に私はまた全て奪われたんだ。
私は何もしていないのに。
私はただ普通に生活したいだけなのに。
なぜ運命は…なぜ運命は…
私を拒むのですか?
―ーもう涙は枯れました。
―ーもう運命に飽きました。
―ーもう世界が暗くなりました。
―ーもう笑顔が出来なくなりました。
―ーだからもう嫌になったんです。
―ーだから全てを憎む事を選びました。
―ーだから全てを壊す事を選びました。
―ーだから全てを終わらせます。
私に光をくれない世界は嫌です。だから壊します。だから終わらせます。
世界を破壊させる事は無理でしょう。なので日本を破壊します。
―ー母を破壊します 。
―ー父を破壊します。
―ー娘を破壊します。
―ー息子を破壊します。
―ー家族を破壊します。
―ー家庭を破壊します。
―ー人生を破壊します。
みんな死ぬ事を私は願います。それがきっと私の幸せだから。
ね、そうでしょお兄ちゃん。
私だけ不幸って不公平だよね。平等じゃないよね。
―ーもっとお兄ちゃんを抱きしめたかった。
―ーもっとお兄ちゃんと遊びたかった。
でも次に会う時は私は変わっています。
きっとあなたを殺すでしょう。
なぜ?という質問はだめです。もう私の心は壊れてしまったから。殺人凶の血が沸騰してしまったから。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
こんな卑劣な思いなのに謝ってしまう自分が分かりません。
なぜですか?
なぜですか?
……ぐ!…頭が痛いですお兄ちゃん。
とても…恐いですお兄ちゃん。
私は………また………あなたと一緒に……笑って過ごせる……かな……