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魔法学校で魔女と姿を入れ替えられて無実の罪で追放された私ですが、突然現れたドラゴンを下僕に従えて無双できました  作者: 秋名はる
最終章

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最終決戦

フローレンスと、竜に転じたニグレスは再び空高く舞い上がった。フローレンスはあらかじめ自分の体に保護の呪文をかけて、ニグレスの硬い鱗から身を守った。更に彼に振り落とされ無いように、ニグレスの体に吸着呪文を唱えておいた。肌のどこか一部が触れ合っていれば、たとえ強風などにさらされても、お互いは引き離されない。


ニグレスはフローレンスに万一のことがあってはならないと、細心の注意を払って空に舞い上がったが、幸いなことに前回のように大騒ぎになるようなことはなくフローレンスは安定して二グレスの背に引っ付いている。空高く舞い上がれば、あたりはいつのまにか日が暮れて夜へ差し掛かっていた。


地上では、ラファエル大魔道士や他の先生方が総動員で、学園内の他の生徒達の避難を進めていた。闇属性寮にいた生徒達は未だ戻らないが、他の寮にいた生徒達はあらかた避難が終わり、学園内は静まり返っている。


当のヴィオレッタは、闇属性寮を襲撃してから、目立った動きを見せていない。

フローレンスとニグレスは、夕暮れの夜空を背に今や廃墟と化した闇属性寮へと滑空した。


「この辺りのはずよ。」


闇属性寮の頭上までくると、フローレンスが足元のニグレスに向かって声を上げた。

寮の建物はすでに半分崩れ落ちているが、人や他の何かが動く様子がない。


「降りて様子を見てみましょう。」


ニグレスが向きを変えて、ゆっくりと地上へと下降していったその時、建物内に再び大きな地響きが起きて、土煙を上げながら、何かがこちらに向かってきた。ニグレスが体制を変えて再び上昇しようと翼を広げたその瞬間、何か大きな影のような帯が一筋伸びてきて、ニグレスの後ろ足に絡みついた。


ぎゃっとドラゴンが悲鳴をあげて身を捩る。ニグレスはなんとかそれを振り解いたが、フローレンスは彼に振り落とされまいとしがみつがなければならなかった。


「_性懲りもなく戻って来たのね?

 探す手間が省けて好都合だわ。」


二グレスを捉えた黒い触手の先、土埃をあげてここからではよく見えないが、地上には見えない何か巨大な蛇のような魔物の形をした影が蠢いていた。その先端に、怪しく紫色にひかる魔法石を掲げて、ヴィオレッタが立っているのが見えた。


いまや、彼女の目は血走っていて、魔力を多く吸収したためか、纏う妖気は怪しげでただならぬものがあった。


「こんなもの、ドラゴンなんてもう必要ないわ。

 私の言うことを聞かないものなんて、みんないなくなってしまえばいいのよ。」


「ヴィオレッタ、こんなことはもうやめて。

 みんなを巻き込む必要はないはずよ。」


「笑わせないで。何もかもあなたが悪いのよ。私の邪魔ばかりするから。

 あなたもその忌々しいドラゴンも、皆魔物の餌食になってしまえ。」


ヴィオレッタは彼女は血走った目を見開いて叫んだ。

ヴィオレッタは魔物に命じて、更に黒い触手を何本か放った。すかさずニグレスは再び空を掻いて、這い出る触手の隙間を縫うように旋回して回避した。


「そうやって逃げていられるのも今のうちよ。

 あなたはもう二グレスに命じて攻撃を繰り出すことができない。そうでしょう。私にこの姿を明け渡したときに、契約の効力も失われてしまった。そのドラゴンはもうあなたの下僕でもなんでもないわ。」


ヴィオレッタはせせら笑った。フローレンスは唇を噛んだ。確かにヴィオレッタの言う通りだ。フローレンスは今までのようにニグレスに命じて彼に攻撃を司令することができない。


そうしている間にも、ヴィオレッタは追撃の手を緩めることななく、更に魔物が襲いかかってくる。対応する二グレスにも疲れが見え始めていた。


「フィフィ、このままでは埒が明かない。一旦退避して、どこか安全なところへ戻ろう。」


そういうと、ニグレスは大きく旋回してその場から離れた。



* * * 


ニグレスは再び学園の城壁の上まで戻ってくると、人の姿に転じてフローレンスのそばに駆け寄った。


「フィフィ、やはりここは危険だ。

 このままでは僕は君を守りきれない。僕が時間を稼ぐから、君だけはここから逃げて。」


二グレスの言葉には悲痛な思いが込められていた。


フローレンスは答えに窮していた。どうしようかと苦慮していると、ふと制服のポケットの中に、洞窟の中で本物のヴィオレッタであるカエルの魔女にもらった指輪があることに気がついた。本当であれば、この指はヴィオレッタの制服のポケットにあったはずのものだが、姿を入れ替えたあとも、何故かフローレンスの方についてきていた。


「これ、これを使えないかしら。」


フローレンスはカエルの魔女から預かった指輪を取り出した。それぞれの属性の魔法を繰り出すには、それぞれの属性の宿った魔法石を用いなくてはならない。闇魔法なら闇色の石。対応する属性の石を用いなければ魔法は発動しない。


「これは、確かに。

 でもフローレンス、君は闇魔法なんか使えるのか?」


「わからないわ、でもやってみないと。」


「さっきあなたの背に乗ってみて気がついたの。

 この姿に戻ってすぐの時は、あんなにもあなたのことが怖かったけれど、今はなんとも無いわ。」


光と闇属性は、本来相容れないものだ。

しかし、彼と触れ合うことで、少しずつフローレンスの身にも変化が起きているのかもしれなかった。


「どうだろうな、僕は自信がないけれど。

 でも、確かに君と一緒なら僕も出来るような気がして来たよ。」


ニグレスはそう言って、フローレンスが待っていた闇の指輪を取り上げると、それをフローレンスが元々持っていた光魔法の指輪がない方の手、左手の指にはめてあげた。そしてそのままフローレンスの顎をあげて、フローレンスの方を見つめる。


「たとえ何があろうとも、僕はこれから先、君の元を離れず君を守ると誓うよ。」


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