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魔法学校で魔女と姿を入れ替えられて無実の罪で追放された私ですが、突然現れたドラゴンを下僕に従えて無双できました  作者: 秋名はる
第二章

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32/50

表彰式で

戦いを終えたその夜、学園のホールでは盛大な宴が開かれていた。

寮対抗試合の結果を祝して、生徒たちは正装に身を包み、煌びやかなホールへと続々と集まってくる。


フローレンスもそのひとりだった。

彼女が今夜選んだのは、深いシルバーのイブニングドレス。

クリスタルが散りばめられたそれは、彼女の気品を引き立てる美しい装いだった。


このドレスは、自室のクローゼットから見つけたもので、おそらくヴィオレッタの私物だろう。

本来なら気が引けるところだが、他に着るものもない。フローレンスは少し迷った末、それを身に纏うことにした。


それを知らぬ周囲の生徒たちは、フローレンスとその隣に立つ黒髪の青年――ニグレスの姿に目を奪われていた。


「ニグレス様とヴィオレッタ様って、本当にお似合いよね。」

「まさに、お互いを引き立て合っているという感じですわ。」

「ニグレス様のスーツ姿、凛々しくて素敵……!」


そんな声があちこちから聞こえ、フローレンスは思わずたじろいだ。

そのとき、ふと顔を上げると、会場の奥からラファエルとヴィオレッタが入場してくるのが目に入った。


彼女――かつての自分の姿をしたヴィオレッタもまた、見慣れぬ高級そうなドレスを着ていた。

明るいイエローのフレアスカート。

その華やかさと気品に、フローレンスは目を見張る。


(……綺麗)


無意識にそう思った瞬間、隣で微笑みかけるラファエルの姿が視界に入り、フローレンスの心にわずかな痛みが走った。

まるで、あの頃の思い出を踏みにじられるようで――。


 


「寮対抗試合に出場した生徒は、一度控え室へお集まりください。これより、表彰式のリハーサルを行います。」


ホールに響いたアナウンスで我に返り、フローレンスはニグレスと別れて控え室へと向かった。


 


「では、表彰式が始まりましたら、先ほどの段取り通りお願いしますね。」


学園長との打ち合わせを終え、控え室を出ようとしたそのときだった。


「ヴィオレッタ、ちょっといいかな?」


振り返ると、そこにはラファエル大魔導士が立っていた。


「……なんでしょうか。」


「君は本当に、あのドラゴンと契約したのか?」


「はい、そうです。彼は私の僕です。」


フローレンスは手元の指輪を示した。そこには、ニグレスとの魔法契約を象徴する魔法石がはまっている。


「本当なのだな……しかし、ドラゴンは時に野蛮で危険な存在だ。君は確かに優秀な魔導士だが、そのくらいの分別はあると思っていたよ。――ドラゴンと契約したからといって、君の罪が消えると思うのは早計だ。」


その言葉に、フローレンスの胸に怒りが湧き上がった。


「ラファエル様……どうして、わかってくれないのですか。」


抑えていた感情が溢れ出す。


「私は何度も訴えました。私は無実です。私はヴィオレッタではありません。そして、ニグレスはそんな私を助けてくれたのですよ。」


「……その話は、もう済んだはずだ。再び私を惑わそうというのか?」


「どうしても、信じてくださらないのですね。」


ラファエルは険しい表情のまま首を振る。


「目を覚ますべきは君の方だ。ドラゴンのような強大な魔力を持つ存在との契約は、常に大きな代償を伴う。私は、そうやって闇堕ちしていった魔導士たちを何人も見てきた。――手遅れになる前に引き返すなら、今のうちだ。」


その言葉に、フローレンスは耐えきれず語気を強めた。

「……余計なお世話です。真実が見えていないあなたに、言われたくありません。」


フローレンスはラファエルを睨みつけ、踵を返した。

その背に彼の言葉が追いかけてくることは、なかった。

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