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第36話 起こせ!食文化大革命!?


 俺のターン!

 俺はデッキから『RTA要素』を回収し場に出してターンエンド!




 あれから、俺へのメイちゃんの態度が柔らかくなった、気がする。

 廊下でばったり会っても、睨んできたり逃げようしたりとしないし、俺の質問にきちんと答えてくれるようにはなった。まさか、俺、何かやっちまってるかな。もしそうだとしたらすぐにでも名誉返上したい。あれ、汚名挽回だったかな?

 メイちゃんの態度が軟化した原因は未だ調査中。


 調査といえば、もちろん、この間に遺跡の場所の調査も行っている。なんでもこの国は古代文明の遺産研究が盛んで、その産物の結晶がサイバーチックなハイテクグッズなのだとか。

 だとしたら、俺が探してる遺跡も既に隅々まで調査されている可能性が高い。エルツォーンの碑文と同じように、どうにかして閲覧できないだろうか。


『エルツォーンでは本当に幸運だったわね。一国の権力者と知り合いだったんですもの』

「分かったッス! 今回もこの国の首相と知り合いになればいいッス!」

「ちょい待ちサヴァちゃん。ミロアさんがこれまでにないくらい厳重に扱われた国なんだぞ? そんな簡単に出会える筈が無いって」

「でもいい加減この国を出たいッス! 栄養だけで他は何もない食事はもううんざりッス~!」

「それは分かるなぁ」


 この国に来てからというものの、栄養ブロックかエネルギーチャージゼリーじみたモノしか口にしていないのだ。俺も、とろけるチーズ乗せハンバーグカレードリアが恋しい。


『という訳であなたの意見を聞きに来たわ!』

「正直言って個々の料理には華が無いッス! おかしいと思ったことは無いッスか!?」

「別に……あれくらい普通でしょ?」

「いやグラージュでポテトフライ食べてたでしょ!? 何とも思わなかったの!?」

「即効性の高い栄養食にしては塩気が利きすぎてるんじゃないかしら、としか」

「それだけ!?」

「……うん」


 参ったな……これはかなり根深い問題っぽいぞ。

 ここで賢い俺は閃いた。メイちゃんに料理を作ってもらって、問題点を洗い出してはいかがだろうか!


「メイちゃん! 料理作ってくれる!?」

「何よ急に元気になって……まあ、作ってあげない事も無いけど……」

「あざーーーっす!!!」


 フカミ邸の台所へ移動した俺たちは、そこでとんでもない光景を目にするのだった……。


「今回は野菜炒めで優勝していくことにするわね」

「えーと、ではメイさん。それは?」

「どれも遺伝子から人工培養された食材よ」


 この思いっきり作画崩壊してるような食材がメインだって!? あのキャベツらしき物体がまさにそうじゃないか!


「このお肉は脂肪が糸のように縫い付けられているわ」

「え!! そんなお肉で野菜炒めを!?」

「調味料はこれよ。全部合成添加物で、誰でも同じ味付けになるの」

「そんな味付けで大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」


 そんなに断言されると、すでに不安しか感じないんですが……。救いは無いんですか!?


「そして炒め終わったら、この筒に入れて圧縮するわ」

「なんでそんな事するんですか?」

「吸収効率を上げるためよ」


 出てくる料理が全部ブロック状なのはこれが原因か! おのれ、よくもこんなキチガイ道具を!


「最後に熱量充填の寒天も添えれば優勝ね……」


 そうして出来上がったのは、料理と表現するには烏滸がましいほどの悍ましい物体X群。

 ほう、効率重視の食事ですか。オイオイオイ、死ぬわ俺。


 俺は激怒した。必ず、かの邪知暴虐の文化を除かねばならぬと決意した。

 俺には政治がわからぬ。俺は、日本の学生である。学び務め、友と遊んで暮らしてきた。けれども美味しい料理に対しては、人一倍に敏感であった。


「もういい! モウ=タクサンだ! この国の食文化を破壊する!!」

「どうしたのよそんなに息巻いて」

「止めてくれるなメイちゃん! 俺は計画を実行せずにはいられないんだ!」

「やってみせろッス、ハルさん!!」

「何とでもなるはずだ!!」

『料理ですって!?』




 それはそれとして。俺には作戦があった。街の掲示板で見つけた、このお知らせ。


『御膳試合……?』

「そ。この国の一番偉い人の前で、料理を振る舞って競い合うんだって。これで優勝できれば、遺跡の碑文もゲットできるって訳さ」

「つまり優勝すればいいッスね! 大陸随一の美食の国コートクラン出身の自分に任せるッス!」

「ちょっと砂押くん呼んでこようか。大陸の反対側だけど、マッハで飛べばすぐでしょ」

[人使いが荒い……]


 驚くなかれ。砂押くんは駅前の高級ホテルで厨房の手伝いをしているのだ! そんな彼の力も借りれば、優勝だって夢じゃない!

 今更感あるけど、俺たちのクラスメイト、キャラ濃すぎ……!?


「どうでもいいけど、どんなに料理の鉄人を呼んだところで、優勝は無理だと思うわ」

「どうしてそんなことが言えるッスか!? やってみないと分からないッス!」

「どうせ審査員の判断基準は『如何に効率よく栄養を摂取できるか』よ。香りや食感なんて、加点材料にはならないのよ」


 そうなのか……。碑文の全文が明らかになるとして、一文くらいなくても意味が通りそうな気がするけど、でもその一文に普通じゃ考えつかないような内容が書かれていたらと思うと、割と不安だ。

 俺が頭を悩ませていると、ミロアさんが自信ありげに発言してきた。


『優勝が難しいのなら、優勝しなければいいじゃない』

「???????」

「どういう意味ッスか?」

『私に策があるのよ! 勿論、メイの手も貸して欲しいわ』

「私でいいのなら、どうぞ」


 やっぱりデレてるよねメイちゃん。

 ともかく、俺たちはミロアさんの作戦に乗ることにした。


* * *


 そして数日後。快晴の空に花火が打ち上げられ、御膳試合が開催された。


『さァやってまいりましたエドーキョー御膳試合! 実況はワタクシ、タテイタ・ミクマリがお送りします!』


 会場の人々が拍手を打ち鳴らし、会場に響かせる。かなりの大盛り上がりだ。

 周りと比べて一際豪華な席には、ジャッポジアの首相が座っている。その周囲には大勢のSPが配属されており、厳戒態勢だという事が窺えるだろう。


『今回の参加人数は4名! この中で首相を含む3名の審査員からの得点がいちばん高い料理人が優勝だ! 参加者の紹介に移っていくぜェ!』


 会場のど真ん中には、参加人数に合わせた4つのキッチンスペースが設けられている。

 使用する食材と調味料、調理器具は全て統一。不正を無くすためだ。


『そして3番、コートクランから殴り込みだ! サヴァ選手!!』


「ここまで来たからには、絶対にやってやるッス!」


 と、御膳試合の会場が大いに盛り上がっていそうな頃、俺たちは碑文があると思わしき遺跡の入り口にやってきていた。


『読み通りだわ! 御膳試合の警備に人手が回されて、遺跡の警備はスッカラカンよ!』


 ミロアさんはこれが狙いだったのか。不法侵入だし気が引けるけど、バレなきゃセーフ理論で俺の意識を武装する。


『ここから見る限り、中は完全に人工物。植物が生えてる気配はなさそうね』

「それでも、行くしかないでしょ?」

「なるべく早く終わらせるわよ」

[ほな、行きましょ]

『私はここで待ってるわね。お土産話、期待してるわ!」


 さあ、遺跡探索のタイムアタックだ。

 俺たちは遺跡へと突入。俺とミロアさんはファルに、メイちゃんはヤタに跨って奥へ奥へと飛ばしてゆく。

 ファルには、道順を覚えてもらっている。そうしたら、帰り道も最速で突き抜けられるからだ。


《侵入者ヲ感知。自動迎撃ヘ移行シマス》


 遺跡内でそんなシステムボイスが流れると、壁や天井のあらゆる場所からレーザー系の兵器が俺たちに銃口を向けてきた。これ、記録として残っちゃうんじゃない?


「くっ……! 奇想転身!」

「っ! チェンジ・ダークネス……!」


 俺たちは身の安全のために魔法の力で変身する。かといって痛いのはなるべく避けないから、飛んでくるレーザーに当たらないようにしないと。かといってずっと直線で飛んでれば、動きを読まれて撃墜されてしまう。だから変則的な動きを心掛けなければいけない。


 左、右、真っ直ぐ、右、右、左。


 1度にたくさんの事を意識しっぱなしだったから、視野の確保が疎かになっていたのだろうか。ひっきりなしに飛んでくる赤いレーザーに車体後部をやられてしまった。


[主動力回路がやられた! このままでは墜落してしまう!]

「じゃあファルは戻って! 『ジェイルアンカー』!」


 条件・ファルの撃墜によりオリチャー発動! 自機の撃墜は本来なら再走案件ですが、この後全てノーミスで切り抜けられたらお釣りがくるので続行します。


 落下しつつある俺たちに、大量の兵器が顔を向ける。しかし俺は光の鎖を伸ばし、ヤタの後部に引っ掛け巻き取る事でレーザーの集中砲火を回避するのだった。


「ちょっと何すんのよ! 重くなるじゃない!!」

「2人くらいなら大丈夫だって実証済みだから!」

「そういう問題じゃないっ! 私に経験が無いのよ!」

[ワイかてメイはん以外を乗せた経験なんてあらへん!]

「振り落とされたって知らないんだから!」


 大きく振り回されながらも、俺は光の鎖にしがみつきながら空中で体を翻し、レーザーを盾で防いでゆく。

 それにしてもやんちゃな運転だぜ。やれやれ。……なんて言葉を言うのはこの遺跡探索が終わってからにしよう。


 全神経と集中力をすり減らしながら進んだ先には、最後の門番らしき防衛機構が待ち構える。


[これまたけったいな]

「何て大きさなの……」

「構わん突っ込めェ!!」

[全速力で前進あるのみさ!]

「えぇっ!?」


 防衛機構を突き抜けた先には、俺の捜している碑文が。

 どれどれ……『ある所に混沌の時代を切り拓いた英雄がおりました』だって。これって英雄のお話っぽいね。


 碑文の内容をメモしたらすぐさま引き返しとんずらします。

 そして帰りもメイちゃん操るヤタに引っ張られながら遺跡を脱出。した所でタイマーストップです。記録は19分8.964秒。


 さて、完走した感想ですが、やはり途中で自機が撃墜されてしまったのが痛いですね。しかし今後の走者の参考になるような走りができたと思います。


 次回も無事に更新できることを祈ります。

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