エピローグ
数年後。
とある街の路地裏に座り込んでいる、孤児の子どもに手を差し伸べる女性がいた。
その子の赤い瞳が真っ直ぐにこちらを向く。
「一緒に行こうか?生きていくための方法を色々見つけてみよう」
その手を取れずに、おずおずとその子は声を出した。
「でも……お姉ちゃんも『赤色』じゃん」
その女性――ルミアは笑顔を作り、ゆっくりと答えた。
――それは、自分に言い聞かせるようでもあり……後ろで見守る青年に聞かせるようでもあった。
「私は朝焼けの色なの。あなたも、どんな綺麗な色にだってなれるよ!」
そこでルミアがその子の手を取って語りかける。
ふわりと笑う彼女の赤い瞳には何の翳りも無かった。
「好きな赤色のものはある?」
「暖炉の火。……暖かくて大好き」
ボソボソと呟かれる少年の声に、ルミアは満面の笑顔を見せた。
掴み返された手にぐっと力を入れて、子どもを立たせる。そして、安心させるように彼の赤い瞳を見つめ返した。
――明るい所で見る二人の瞳は、決して不吉な色なんかじゃなかった。もっと穏やかに輝きを放つ温かみを感じさせる。
それはきっと、この太陽に照らされているから。
「大丈夫、君も暖炉の火になれるよ。一緒に行こう」
「……でも、俺に居場所なんて……」
俯く少年の肩に、ルミアは手を置いた。
そして、ちらりと後ろを振り返り――すぐに視線を外した。
「昔ね、魔女って言われて泣いていた女の子に、手を差し伸べてくれた男の子がいてね――」
お日様は、いつも通りに暖かくて。あの日の光よりも穏やかだった。
――明るい道を、これからも歩いていく。
そしてそれを望んでくれる人たちがいることを、もうルミアは知っていた。
青年に手を振ってこの場に招く。
「じゃあ、みんなで朝ごはんを食べようか」
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
ルミアの物語は一度ここで区切りとなりますが、
彼女たちの日常はまだ続いていきます。
――キアンとルミア、セラやエレナの日常も書いていく予定です。まだまだお付き合いして下さると嬉しいです。




