第16話 新たな決意
ソルトに対する思いの丈をそれぞれがぶつけ合った結果、全てを受け止めるしかなかったが今はその時ではないと一旦は保留にしてもらいすべきことをするべきだと話を戻したところで、神の存在がルーやシーナの口から明らかになる。
そして、レイ達を元の場所に還す為には神の力に頼るしかないのだが、現状では神に力を借りることはもちろん、喜んで力を貸すことはないだろうという結論に落ち着くが、それを打破するためにはソルト自身が神へと近付くのが一番の近道であるとルーから提案される。
ソルトはこれまでの話から教会の思惑や、多分避けられないであろう神と呼ばれる高位の存在との対立を考えると皆と離れて行動した方がいいのかと思い悩むがブランカから「皆で着いていく」と言われれば、断る理由もない。
ただ、誰一人として悲しい結末にはしないと決意を新たにする。
一方、その頃遠く離れた地では親友である泰雅にどうやって説明すれば自分も泰雅も傷付けることなく納められるのかと部屋の隅に蹲り頭を抱えている竜也の姿があった。
「実はお腹の中には僕の子がって……これはダメだ。瞬殺されるな。もう少し内容を軽くして……えぇコホン、いいかよく聞いてくれ。僕が寝ている間に……いや、これもダメだ。アイツはレイラさんがそんなことするハズがないと信じ込んでいるからなぁ~僕だってこれが夢ならどんなに楽か……はぁ~」
そんな風に部屋の中で苦悩している竜也の様子を壁の向こう側から監視していた見張りから報告を受けている宰相がニヤリと笑う。
「そうか。奴め、そんなことを口走っていたか」
「はい、どうされますか?」
「かまわん。放っておけ」
「ですが、よろしいのですか?」
「ん? 何がだ?」
「いえ、ですから……そのタツヤは既に魔道士として成長していますが……」
「ああ、その様だな。そう報告は受けている。で?」
「あ……その、タイガにもしこのことが知られた場合は、その……逆上したタイガがタツヤを害することも考えられます。そういうことはあまり好ましくないのではと思いまして」
「ふふふ、お前が気にすることではない」
「ですが……」
「クドい!」
「……申し訳ありません」
「ふむ。それほどタツヤのことが気になるのであれば、お前がどうにかすればいいではないか」
「……それはレイラのお腹の子を「違うわ!」……すみません」
「そうではない。タイガが暴れないようにタツヤが無事でいられるようにお前がどうにかすればいいではないと言っておる」
「つまり、それはどういうことでしょうか?」
「知るか! それくらい自分の頭で考えろ。話はそれだけか?」
「はい……」
「では、下がってよい」
「はい」
竜也の監視している暗部が退室すると、宰相は一人ほくそ笑む。
「ふふふ、腹の子は順調に育っている様だな。これでもし腹の子が……ふははは、どうなるか見物だわ。しかもだ、恨みの矛先が自分が信じていた親友ならば、どれだけ闇が深くなるのだろうな。くくく」
~第八章完~




