第14話 私を遺跡に連れて行って!
「じゃあ、とりあえず私は先に拠点を探すわね。って訳でソルト、お願いね」
「はいはい、護衛はいいの?」
「護衛ね……じゃ、ショコラとコスモで」
「僕?」
「俺が?」
「何、イヤなの?」
「そういう訳じゃないけど……」
「なあ……」
「エリス、そういうのがイヤなんじゃないの? リリスでもいいじゃない」
「レイ。あのね、それだと護衛と護衛される側の立場が逆転するの!」
「「「逆転?」」」
「そ。逆になるのよ」
「「「……」」」
「もう、なんで分からないかなぁ~」
エリスの護衛にショコラとコスモを選んだエリスに対しショコラ達はちょっと苦手そうだったのでレイがリリスじゃダメなのかと聞けば、それだと立場が逆転するから意味がないというが、言われた方のリリス達はどこかピンと来ていないようだ。
「ふぅ~もう、私から言うのもイヤなんだけど、見て分かるでしょ!」
「だから、それじゃ説明にならないって」
「レイ、ワザとでしょ」
「え?」
「あのね、リリスと私じゃ顔的にはそう大差はないのよ」
「わぁ~自分で言うんだ……」
「言うわよ! 言って欲しい人が言ってくれないんだから! だから、言いたいのはソコじゃなくてね。私とリリスを並べれば、十人中九人はリリスの方に行くのよ。これのせいでね……ちょっと貸して。コレなの、コレ!」
「あ……」
「「「あ~」」」
エリスは説明しながら、自分の胸を持ち上げようとしたが、持ち上げられなかったので、リリスのを持ち上げ説明するとリリスから、微かに声が出る。
そして、それとほぼ同時に納得するような声が漏れる。
「分かった? 分かってくれたわよね。そういう訳でリリスとカレンじゃダメなの」
「サクラは?」
「サクラは……どこに行くか分からないからダメ!」
「おいおい、エリス。いくら私でもそのくらいは「しないって言える?」……スマン」
エリスの説明に皆が納得し、ソルトもコスモ達の肩をポンと叩き頑張ってとだけ声を掛ける。
「じゃ、いいかな」
「ほら、行くわよ」
「分かった」
「我慢しかないか」
「なんでイヤそうなのよ!」
「「「そういうところ(だ)!」」」
「もう!」
プリプリとしているエリスはそのままに王都の領主邸の一室へとコスモ達と一緒に転移したソルトはゴルドを探す。
「あ、いた!」
「ん、どうしたソルト」
「ゴルドさん、頼みがある」
「頼み……なんか素直に頷きたくないな」
「そう言わず。とりあえず、聞いてよ。ね、お願い」
「……まあ、一応は聞くか」
「ありがとう。あのね……」
ソルトはゴルドに対し、これから自分達の予定を話し、特に王都でレイがしたいことを事細かに話す。
「はぁ~正気か?」
「正気だよ。だって、それをしないことにはレイが次に進めないからね」
「それは分かる気もするが、それはソルトがすることなのか?」
「私もそれは思うんだけどね」
「何?」
ソルトのレイに対する過保護っぷりにエリスやゴルドも不思議に思っているようだ。だが、ソルトはなんでそこまで不思議に思っているのかは分からず困惑してしまう。
「その顔は自分でも分かっていないようだな」
「そうみたいね。あ~もう」
「なんかゴメン」
「まあ、ソルト達がやりたいことは分かった。俺もあと一週間ほどしかここにはいられないが、ちゃんとサポートするから任せろ」
「ありがとう。じゃあ、エリス。後はよろしく。コスモ達もお願いね」
「はい、お任せ」
「うん、僕も頑張るよ」
「俺は美味い物が食えればいいかな」
「まあ、ほどほどにね。じゃ、俺は戻るね」
「「「またね!」」」
ソルトは一人、王都から屋敷へと戻る。
「ただいま~」
「ソルトさん、お帰りなさい。待ちくたびれましたよ」
「シーナ、待ちくたびれたって、何?」
「もう、私とソルトさんでお出掛けするんでしょ。忘れたんですか!」
「あ~忘れちゃいないよ」
「なら、早く行きましょ。邪魔者が来ないうちに!」
「邪魔者?」
「なんでもないです。早く!」
「ちょ、ちょ「あ~やっぱり!」……ノア?」
「あ~もう、ほらぁソルトさんがゆっくりしているから……」
屋敷に帰ってきたソルトに対しシーナが早く遺跡に行こうと催促してくるが、ソルトにしてみれば、屋敷に帰ってきたばかりなので、少し休憩したかったのだが、シーナはそれすら焦れったく感じるらしくソルトに早くと急かしていると、ノアがソルトに気付き騒ぎ出す。
「ソルト、私も連れてって!」
「へ?」
「だから、私も連れてってって言ってるの!」
「え? どうしたの?」
「ほら、ノア。そんなんじゃソルトも困るでしょ」
「ブランカまで……」
「もう、ソルトさんが早くしないから!」




