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巻き込まれたんだけど、お呼びでない?  作者: ももがぶ
第七章 王都にて
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第5話 もう、いらないから

 やがて、日が暮れ夕暮れから宵闇へと変わって行く。


『そろそろ呼びますか?』

「そうだね。じゃあ……」


 ソルトは念話を繋ぐと、リリス、ショコラ、サクラ、カスミ、コスモに加え少々オーバーキル気味だとは思うが、ノアにブランカにシルヴァまで王都に連れて来た。


「ソルト、呼んでくれたのは嬉しいのだが、どうやら艶事ではなさそうだな」

「サクラ……お前な」

「そうよ! ソルトさんはそんなことはしません!」

「リリス、あり「だって、ソルトさんは私とする約束をしているんですから!」が……え? リリス、ナニを言っているのかな?」

「え、だって……ソルトさんは私に約束してくれました」

「え? 約束?」

「そうです! 私と従属の契約を結んでくれると言いました!」

「あれ?」

「『あれ?』ってなんですか! 私との約束を忘れたのですか!」

「いや、そういう訳じゃないんだけど……」


 リリスに問い詰められたソルトにはどうしても納得がいかなかった。それにリリスは約束したと言うが、ソルトにはどうしても思い出せない。


 だが、リリスの態度からはソルトがなんらかの言葉を発し、それがリリスには()()として捉えられたのだろうとソルトは考える。


 だが、当のソルトはと言えば「ダメだ。思い出せない」とリリスに謝ろうと顔を上げれば、リリスは顔の前で両手を合わせソルトが思い出してくれることを期待しているのか潤んだ瞳でソルトを上目遣いに見ている。


「いや、ちょっと……これって反則でしょ」

「ソルトさん、思い出して頂けましたか「はい、そこまで」……え?」

「ブランカ」

「ブランカさん?」


 ソルトとリリスの間に割って入ってきたのはブランカだった。


「その話はまた今度、二人でゆっくり話してね。今はやることがあるんでしょ。だから、ソルトは私達を呼んだんだから。ね、そうなんでしょ?」

「あ、ああ。そうだ。リリス、ごめんね。その話はまた今度で」

「……分かりました。今は我慢します」

「ありがとう。それで君達を呼んだのは……」


 リリスも落ち着いたところで、ソルトは皆を呼んだ理由を話す。


「あ~そういうことなのね。どうりでここに来てからもネットリとした視線を感じるから、もう少しで殺りにいくところだったわよ」

「で、具体的にはどうするんだ?」


 ブランカは視線に気付きもう少しで暴れ出すところだったと聞き、ソルトはホッとする。そしてシルヴァはソルトにどう殺るのかを確認する。


「うん、そんなに難しいことでもないんだけどね。まあ、簡単に言えば『この屋敷を監視しているのをここに連れて来て欲しい』ってことだよ」

「「「ホント、簡単だ」」」


 ソルトの作戦とも計画とも言えないザックリとした内容に皆が呆れた様に返事をする。


「まあ、簡単すぎてつまらないとは思うけど、出来るだけ()()()()でね。殺しちゃうと色々と面倒だから。でも、繋がりを確認出来たらいらないから、ポイしちゃうけどね」

「ポイするってどこへ?」

「もちろん、森でしょ」

「ソルト、なんて怖い子……」


 ソルトの発言にブランカは少々引き気味だが、ここを監視している段階で心優しい人間とは限らないだろうと嘆息し「つまらないことはさっさと片付けようじゃないか」と皆に声を掛ければ皆が「おぉ!」と声を上げ、それぞれが屋敷の外へと飛び出していく。


 ソルトも屋敷の外に出ると一番近い場所にいる見張りの後ろから音もなく近付き『電撃(スタン)』と呟けば、見張りは何をされたのかも気付かない内にその場に崩れ落ちる。


 ソルトはその気絶させた男を縛り上げると屋敷に転移し床に転がすとまた、元の場所に転移してから、次の標的へと移る。


「皆も終わったみたいだな」


 ソルトは脳内マップから見張りらしき光点が全て消えたのを確認し、全てが確保されたことを知る。


 そして屋敷に戻ると外で屋敷を見張っていたであろう男達が山積みにされていた。


 ソルトはその男達が捕縛されていることを確認してから、男達を起こす。


「お、なんだこりゃ!」

「え? いつの間に……」

「あ! お前は!」


 ソルトは男達の前に立ち「俺のことは知っているよね」と話せば、男達は自分達の立場を理解したようで黙り込む。


「うん、いい子だね。じゃあ誰に聞こうかな。誰か喋りたい人はいるかな? もし、話してくれるのなら、帰してあげてもいいよ」

「「「え……」」」


 ソルトの発言には男達だけでなくブランカ達も驚く。だが、男達はここで喋ったとしてもそれが実現されるとは思えず、黙ってソルトを睨み付ける。


「あれ? もしかして信用されてないのかな? それはちょっと残念だな~じゃあ、無理矢理頭の中を覗かせてもらうしかないけど、それだと……ちょっとだけ痛いんだよね~それよりは話してくれた方がいいと思うんだけど、どうかな? 考え直してくれたりとか……ん?」

「「「……」」」


 男達はソルトを黙って睨んでいたのだが、ソルトが頭の中を覗くと言えば、皆が体を縮こませイヤイヤをするような素振りを見せる。


「あ、そうか。実際にどんな感じになるのかを見ないと不安だよね。でもなぁ~そうなるともう後の人は用無しになっちゃうんだよな~」

「「「え?」」」


 ソルトは転がっている一人の男に近付くと「君でいいかな」と頭に手を伸ばそうとしたところで「喋ります! 喋りますから、なんでも聞いて下さい!」と皆が大合唱し始めた。


「そう。じゃあ話してもらうけど、もし嘘があったら……それを確認しないとダメだよね。俺が言いたいことは分かるかな。だから、嘘は言わないでね。俺には嘘かどうかしか分からないからさ」

「「「ヒィッ……」」」


 そしてソルトは男達一人ずつを相手にし、なぜ屋敷を見張っていたのか、誰に頼まれたのか、最終的にはどうしたいのかを確認すると「これで解放してくれるんだよな?」と男達が言うので、ソルトはニコリと笑い『転送』と呟けば、そこにいた男達は森の奥深くへと転送される。


「後始末は大事だよね」


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