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白騎士さんが通る  作者: 煙道 紫
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良く在る話

私が一応の拠点としているアデュート帝国の城下町へ戻ってくると、そこには邪神との戦闘で壊れた儘の街並みが広がっていた。


「いったい誰がこんな事を!」


いや、犯人は私だが。


ゲームで破壊不可であったフィールド上の建築物や街並みも、この世界ではその特徴も発揮されない様子で在る。


邪神との戦いの前にはムービーが発生し邪神の登場と共に街並みが破壊されていくのだが、実際に戦闘状態に突入すると街並みの開けた場所での戦闘となりオブジェクトも破壊されないので、その特性を受け継いでいるのかと考えていたがそういう訳では無かった様子。


1000回の邪神との戦いで傷付いた街並みは最早、再生不可能な有様であり、整列された石畳が規則的に並んでいた大通りも白亜の輝きを放っていた城も全て星屑が大量に落ちて来た荒野の様な有様。


邪神の魔術攻撃のエフェクトで、地面に着弾すると大きな岩が円状に飛び散るものがあるが、それが現実で起こるとこうなってしまうのだろう。


あっちゃー。と顔を覆っていると、システム画面の【お知らせ】に新規のメッセージが届いたことを知らせるポップが発生している事に気付く。


私が【お知らせ】を開くと【システムメッセージ:新規機能、国家シミュレーションが解禁されました。】との事。


ゲーム時代では無かった機能だ。

そして、国家シミュレーションの画面を覗くと納得した。


「あー。はい。自分のケツは自分で拭けと・・・。」


詰りはそういう事だろう。


ゲーム時代ではクエストを進める毎に上昇するステータスである【信頼度】と言うものがあった。

【信頼度】はその国での評判を数値化した物であり、クエストの成功・失敗で上下する。


【信頼度】が高ければ高い程、報酬の良いクエストが発生する仕組みで、最終的な報酬として【名誉永住権】が在り、【名誉永住権】を受け取ると、その国の中に【マイホーム】を購入できる。


プレイヤーはその【マイホーム】の中を自由に装飾出来るシステムだったが【国家シミュレーション】はそのシステムを流用している様だった。


目の前のガラス板・・・私がステータス等を確認する時に使用する物だが。

その板に建築可能な建造物と必要素材が記入されている。


指先でガラス板の『石畳』を選択すれば、アデュート帝国を俯瞰的に見た地図が現れた。

その地図を指先でなぞれば、地図上に赤い範囲と《石材:○○個》と表示される事から建築範囲に比例して必要な素材数が変動する仕組みなのだろう。


建築時間も範囲に比例するように増減するが、試しに『木造の家』を選択すれば建築時間は2秒。

これは建築時間と言うよりもエフェクトの読み込み時間だな・・・。


流石に悪い事をしたと言う自覚はある。イマイチ実感は湧かないが、ゲームを基に作られたファンタジー世界という認識であるので、破壊不可オブジェクトは存在しないと言う考えで無ければ成らなかったのだろう。


さて、問題が一つ。


「元はどんな感じだったっけ?」


何分、昔のゲームであるので如何にも元の街並みを思い出せない。フィールドを確認する為に全体としての形は多少なりとも覚えていても細かい部分はさっぱり覚えていなかった。


「まー、仕方ないよね。」と言って建築画面の一覧を再度確認し、大体元通り(わりとてきとー)に建造オブジェクトを配置すると要求素材が全く足りていない。


「・・・ッスゥ―。」


特に、石材。これは鉱物系を採取する際に必要なアクションの【採掘】を行って入手する素材だが、1度のアクションに4秒ほどの時間を要求される。


アデュート帝国の城下町の主であった、石造りの家や石畳が多く破壊されたのでその弊害であろうが、必要数が数万ともなれば単なる()()の域を超える。


私が壊れた街並みを見ながら頭を悩ませていると彼方此方に散らばる石が視界に入った。


「ぐぬぬ・・・。いや、待てよ?」


この世界では破壊不可オブジェクトは存在しないのだ・・・。

ともなれば、態々【採掘】アクションを挟まなくとも現実的な方法があるでは無いか。


「イザリスから持って来よ。」


うちの子(デスペラード)を邪神の欠片と交換してきたルノワール王国の『聖都イザリス』。

そこには堅牢に創られた大きな壁が50Ⅿの高さで聳え立っているのだ。


『聖都イザリス』の壁は元々、戦争用で傷付く事が前提であるし。


少しパクっても・・・バレへんやろ。


私は来た道を急遽戻り、イザリスの壁を少々(少しとは言っていない)貰い受けて建築コマンドを実行するのであった。


私は上空から降り注ぐ石材が決まった場所に配置されるのを眺め、全ての建築が完了したことを確認すると、整然と並べられた石畳に指を差して片足を上げながらこう言った。


「建築アクション。ヨシっ!」



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