88.セルアータ合流
カイラたち三人を引き連れて港へ向かった。
港では水平線の方からグレーの船がこちらへ向かってくるのが確認できる。
「私たちと国際独立軍に入隊する人はあの船に乗ってるの?」
カイラが聞いてくる。
「あぁ。本人にはまだ伝えてないけどね」
「え?本人の希望で入隊するんじゃないの?」
「いや、才能があるので国連から移ってもらうことにした」
「国連から?じゃあ私と一緒に行ったジュギャイア奴隷商館の奴隷?」
「そうだよ」
そんな会話をしているうちにミサイル艇はどんどんと港に近づいてきた。
いよいよ接岸というときにセルアータは我々に気づいたらしい。
接岸するとセルアータはすぐに船から下りてきた。
「無事に救出できたんだね。よかった」
セルアータは相変わらず、抑揚の少ない声で言った。
カイラは「え?この人が軍に入るの?」という表情で俺を見ているし、シルとムルさんは「誰?」という顔である。
「カイラは知っているかもしれないが改めて紹介するよ。この人の名前はセルアータ。今日付で国連から国際委独立軍に移動してもらう人だよ」
俺はそうカイラたちに紹介した。
後半の話はカイラたちにはいっていたがセルアータにはサプライズである。
普段セルアータは感情を表に出さないので、どんな表情をするのかが見たかったのだがセルアータは肩眉を上げただけだった。
ちょっと残念である。
「国際独立軍に?どういうこと?」
セルアータは普段の真顔に戻ると俺に説明を求めた。
「あぁ。今回セルアータには情報収集を行ってもらったわけだが、その時の頭の回転の早さや俺にその作戦を提案した先を見通す力はこれからの国際独立軍に必要な力なんだ。だから国連から国際独立軍に移ってくれないか?国連にはもう許可は取ってある」
俺はセルアータに向かって頭を下げた。
「・・・頭上げて。私はサトウの奴隷だから。そう考えたのなら、従う」
セルアータはそういった。
「ありがとう。助かるよ」
俺はセルアータにいうとカイラたちの方へ向いた。
「じゃあ今からスヴェートと一緒に基地を回ってもらう。前にも言ったけど前回説明したときには言わなかった事柄もすべて説明してもらう。この情報は決して外部には漏らさないでくれ。この世界がひっくり返るであろう力だ。特にカイラたち三人は信用している。その信用を裏切るようなことはしないことを願っているよ」
「わかったわ。その信頼は決して裏切らないと誓うわ」
カイラが俺の顔をまっすぐ見て言った。
ムルさんとシルもうなずいている。
「じゃあ防衛総省に戻ってスヴェートと合流しよう」
俺はそう言ってカイラたち四人を引き連れて防衛総省へ向かったのだった。




