67.最悪な兄弟
イコルセンテはギルド本部に来ていた。
入り口のドアを開けて中に入り受付の女の人に兄の偽造された面会希望書を提出した。
「代表との面会希望者ですね!しばらくロビーでお待ちください」
受付の女の人はそれだけ言うと奥に下がってしまった。
しかしすぐにイコルセンテが呼ばれた。
「それでは代表の執務室にご案内いたしますね」
受付の女の人はそう言うと歩き出した。
イコルセンテもその後に続く。
「こちらが代表の執務室になります」
受付の女の人は大きなドアの前で立ち止まると振り返りイコルセンテに言った。
そして受付の女の人はドアを開ける。
イコルセンテが中に入ると初老に差し掛かった感じの男が机に向かって書類作業をしていた。
イコルセンテの後方では受付の女の人がドアを部屋から出てドアを閉めた。
「アウトバーナーからわざわざ何か用かね?」
ギルドの代表がドアが閉まったのを確認してからイコルセンテに問う。
「ちょっとお渡ししたいものがありまして」
「ほう?」
イコルセンテは兄から託された箱を代表に渡す。
「開けても?」
「どうぞ」
代表は箱を開けると目を細めた。
「これはどういう意味ですかな」
「それは私の兄からの物ですので私は関与しておりません」
「、、、」
代表はそれだけ聞くと箱の中身に目線を戻す。
代表の目線の先。箱の中には紙が一枚と金貨がぎっしりと詰まっていた。
新しいギルド代表宛
この箱を持ってきた男は男爵家次男のイコルセンテである。
汝はこの男をギルドの幹部に引き立てろ。
報酬はこの箱に入っている金貨である。
断れるとは思わないことだ。貴様の出自は全て把握している。
危害を加えられたくなければ誰にも脅されていることなどを話すな。
もし拒否したら自分のみならず親族仲良くこの世から去ることになるぞ。
アウトバーナー男爵家当主デウグルーブ
デウグルーブが用意した幹部になる裏口とは、代表を直接脅すことだった。
「はぁ」
代表は大きなため息をついた。
「わかりました。渋々ですがお引き受けしましょう。家族はさすがに見捨てられませんから」
代表は弱弱しく言うと箱をイコルセンテにつき返した。
「ですが、この金貨はいただけませんな。これを受け取ると私まで穢れてしまう」
「その物言いは不服だな。それでは我が男爵家が穢れているように感じるぞ」
イコルセンテは代表を睨みつけた。
「その箱の中身を見ても同じことが言えますか?」
代表はイコルセンテに聞く。
イコルセンテは渡した時と全く同じ箱の中身を見てほほ笑むと言った。
「あぁ言えるとも。我が男爵家はいずれこの世界を収めるのだ。私たちは神に選ばれた一族となるのだよ。穢れとは無縁のね」
イコルセンテは代表をまっすぐ見て言いきった。
それを見た代表は絶句したがすぐにあきらめた顔をしてイコルセンテにギルドの幹部への登用方法を教えるのだった。




