14,付き人は最強でした。
俺とスヴェートはギルドを出るとそのまま依頼書に書かれたポイントに向かう。
今日受けた依頼は4個、オーク、ゴブリン、キマイラ、オルトロス、である。
ちなみにキマイラやオルトロス等はBランクのギルドメンバーが5、6人で1日がかりで討伐するのが一般的だそうだ。
そんなモンスターを俺ら見習いの二人が1日で討伐するのはいささか無理があると思うのだがスヴェートは勝つ算段があるらしい。
まず最初に向かったのはキマイラのポイントである。
「グルルルル」キマイラがこちらに牙を覗かせながら威嚇してくる。
スヴェートはそれを見ると歩いてキマイラに近づいてゆく。
「お、おい!」
俺が次の言葉を発するその一瞬で勝敗は決した。
ドガン
スヴェートが腹を殴ったのである。
キマイラは白眼を剥くとその場に崩れ落ちた。
「終わりました!」
スヴェートはにこやかに振り返る。
「いや、今何したの?魔法かなにか?」
「いえ、殴っただけですよ。こんなやつに魔法なんか使う価値ありません」
スヴェートは吐き捨てるように言った。
ここまで圧倒的に戦力差があるとキマイラに同情してしまう。
戦闘時間およそ30秒。
キマイラが出来たことは俺らに威嚇しただけである。
スヴェートは屍とかしたキマイラに手をかざす。するとキマイラは光って消えてしまった。
「キマイラはどうしたの?」
「収納魔法に入れました」
俺が聞くとスヴェートは一言。
何でも持っていってギルドに売るらしい。ギルドは討伐したモンスターの買い取りも行っているので依頼の報酬とは別に買い取り金が出るだろう。
スヴェートに収納魔法のことを聞くと多分人間には使えない魔法とのこと。何でも消費魔力が尋常じゃないらしい。龍種には魔力がほぼ無尽蔵にあるらしく「そりゃ戦争しても龍種が勝つよね」と、俺は納得したのだった。
「では次に行きましょう」
「そうだな。あと3つ残ってるしな」
俺らは次のポイントに向かった。
次のポイントはゴブリンである。
こちらは比較的弱いのでCランクのギルドメンバーが狩っているそうなのだが、今回は巣が出来ている可能性があるという事で、上級者向けに依頼が残っていたらしい。
ポイントに着くとゴブリンの群れが30匹ほどいた。
「ちょっと試したいことがあるから5匹ほど残しておいてくれ」
俺はスヴェートにそう言うとAK-47を取り出した。
一方スヴェートは魔法で25匹のゴブリンを瞬殺していた。
AK-47を選んだ理由。それは極端に故障が少ないからである。
ベトナム戦争では沼に沈めた後でも正常に発砲できたという逸話もあるくらいだ。
俺はAK-47をゴブリンに照準を合わせる。
タァン、タァン、タァン、タァン、タァン
銃声が森にこだました。
銃弾はゴブリンに命中した。弾丸はゴブリンを貫通していたようでなかなか残酷な絵面だった。
ゴブリンもスヴェートは収納魔法に収納していた。
スヴェートはその後オークを殴り倒しオルトロスは蹴り殺していた。
俺はスヴェートがいれば現代兵器なんかいらないのではないかと考えることもあるが、そんなスヴェートを瞬殺したのは間違いなく現代兵器なのである。「開発者は偉大だなぁ」などと考えているとギルドに戻ってきた。
「あ。成果はどうでしたか?」
リルさんが気づいてくれたようで声をかけてくれる。
「すべて討伐してきましたよ」
「本当ですか!?もしかしたらダメかな…なんて考えていたのにすごいですね。では討伐証明部位を提出していただけますか?」
「実はそれ以外の部位もあるんですが…」
俺は苦笑いしながら答える。
「そうですか。では解体の窓口に案内しますね。それにしてもモンスターの姿が見えませんが、外にでも置いてあるんですか?」
リルさんは不思議そうな顔をして聞いてくる。
「スヴェートが魔法で収納しました」
「はい?」
「ですからスヴェートが魔法で収納しました」
「魔法で収納!?そんなことが出来るんですか?」
「本人曰く龍種だからできること。だそうです」
「あぁー龍種ですから規格外ですよね…」
リルさんは納得したのか解体の窓口に案内してくれた。
「ヴァルトさん。この方解体依頼です。倉庫に案内してあげてください。解体するモンスターが大きいらしいので」
リルさんがガタイのいいおっちゃんに話しかける。この人が解体担当の職員らしく名はヴァルトというらしい。
「倉庫開けろってそんなにでかいのかい」
ヴァルトさんがこっちを見て聞いてきた。
「えぇ。キマイラとオークとゴブリンとオルトロスがいます」
「ん?俺の耳がおかしくなったかな?」
ヴァルトさんが言う
「本当ですよヴァルトさん。この方たちは特殊なんです」
リルさんが言った。
「そ、そうかい。倉庫はこっちだ。ついてきな」
ヴァルトさんは倉庫に俺らを案内すると、広い倉庫の空きスペースを指さして「ここに運んでくれ」と言ってきた。
スヴェートはそこまで歩いてゆくと手をかざす。すると仕留めたモンスターが一気に現れた。
「うわぁ」
ヴァルトさんが小さく悲鳴を上げる。
そこにはモンスターの屍が積みあがっていた。
「こりゃ査定に時間がかかるな。3日は待ってもらうことになる」
「わかりました。3日後に来ます」
俺はヴァルトさんにそういうとギルドのロビーに戻るのだった。
ロビーに戻ると次はギルドマスターの部屋に案内された。
部屋に入るとギルドマスターの執務机に新しいギルドカードが二枚並んでいた。
「今日はご苦労だったね。新しいギルドカードが出来たから渡しておくよ」
ギルドマスターが新しいギルドカードを渡してくれた。
そのギルドカードにはAランクと記載されている。
「Aランクなんですか!?」
俺は聞く。
「そりゃあこんな依頼を1日で片付けてしまうような奴にBランクを名乗らせるわけにはいかんだろう」
ギルドマスターがニヤニヤしながら言った。そして顔を真剣な顔に戻すと話をつづけた。
「正直な話。こんなに規格外だとは思わなかったよ。でも一つだけ惜しいのが招集してからギルドに来るまで時間がかかることだね」
「テレポート魔法の魔法陣を書かせてもらえると一瞬で来れますよ」
話に割り込んできたのはスヴェートである。
「そんなことが出来るのかね?」
ギルドマスターが聞く。
「出来ます。このギルドに空き部屋が一つあれば」
「このギルドには空き部屋がないので職員用の寮を一部屋貸そう」
ギルドマスターが言った。
今回の依頼の報酬額は4つ合わせて300万ルシエだった。
ギルドマスターに「報酬が良すぎないか?」と聞くとCランクでも狩れるゴブリンは報酬額が低いらしいが、オーク、オルトロス、キマイラはBランク複数人で対処しなければならないため報酬を山分けしても、命を張っている分の報酬が出るので、そういった強力なモンスターは一体で結構な報酬額が支払われるのだそう。
その後俺ら二人はギルドマスターから300万ルシエをもらうとリルさんに連れられ、ギルド職員寮に向かった。
空き部屋のカギをリルさんが開ける。中はきれいに掃除されており、すぐにでも使える状況だった。
「じゃあぱっぱと書いちゃいますね」
スヴェートが言う。
5分ほどで作業は終わったらしい。スヴェートが言うには基地の方にも同じ魔法陣を書いたらテレポートができるようになるそう。念のため俺とスヴェート以外は使えないようになっているらしい。
リルさんと別れギルド職員寮を後にした時には陽が傾いていた。
「さっさと食材買って帰るかぁ」
「そうですね!晩御飯は何がいいですか?」
スヴェートが聞いてくる。
「そうだなぁ。肉食べたい」
「わかりました!」
俺とスヴェートは夕暮れの市場に消えていった。
どうも近衛瑞です。
この14話でスヴェートの戦闘能力が明らかに!
毎度のごとく一瞬で終わるバトルシーン。
更新スピードについてですが平日は夜に1話。休日は2話くらいを考えてます。
最後にブックマークや評価を押してくださると作者が喜びます。
引き続きオリジナルスキル:Military baseは強すぎる!をよろしくお願いいたします。
近衛瑞




