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劣等騎士、追放ライフは剣精霊姫とともに  作者: たまねこ
ギルド編
30/38

目的地へ

 ☆



 翌日。

 クロエはフレデリックと彼の秘蔵子であるソラ&ソアラと学園都市クロスの門前で合流した。

 ソラとソアラはあいかわらず手をつないでいるが不機嫌な感じでそっぽを向いていた。

 お互いを見ないようにしている。

 今の自分たちが傍目からどう見られているか━━それを考えると複雑な気分なのだろう。


 軽く挨拶をしたフレデリックはクロスを、いや、クロエの後ろにいる彼女・・の姿を見、わずか眉をひそめた。



「クロエ。聞いていいか?」

「何だ?」

「なぜ彼女━━カノン女史がここにいる?」

「俺の監視」



 クロエは素っ気なく、簡潔に答えた。



「監視?」

「何か問題でも?」



 カノンは冷たく返した。



「俺、苦手なんだよな」



 頬を掻いてカノンから視線を逸らすフレデリック。

 カノンはぴくり、と柳眉をひきつらせ、



「本人目の前によく言いますね」



 魔導銃を出現させると同時にぶっ放す。

 それに慌てることもなくフレデリックは盾を出現させてから防いだ。



「そういうのはやめないか?下手したら額が貫通していたぞ」

「するつもりで撃ちましたが?」

「・・・・・・」



 真顔で言うカノンと沈黙するフレデリック。

 過去、二人の間に何かあったかも知れないがクロエにとってどうでもいいことだった。



「さて。出発するか」



 傍目だといちゃついているようにしか見えないフレデリックとカノンを放置し、クロエは歩き出す。



「クロエ。お前の得物はそれ(・・)か?」



 ソラがクロエが手にしているそれ(・・)に視線を向けた。

 何も変哲もない、ただの木刀である。

 練習にはいいとして、実際の戦闘には向かなそうだ。

 ちょっとのことで折れるだろう。



「俺には武器属性というものがあるからな。ちょっとした銘刀並には斬れる」



 言ってクロエは木刀を一振りしてみせた。



「武器属性なんてはじめて聞くわね。得物に魔術を付与して斬れ味を強化してんじゃなくて?」



 ソアラは首をひねった。


「あぁ。何も力をくわえてないぞ。俺が持てば棒切れも立派な武器になる」

「ちょっと木刀見せて」



 興味を引かれたのか、ソアラは木刀に手を伸ばす。

 別に拒否することもないのでクロエは渡した。

 眉をひそめるソアラ。

 唸った。



「・・・・普通の木刀」

「さっきもそう言っただろう?」

「得物の強化━━とも違うみたいだけど」



 ソアラはぶつぶつ呟きつつ目を閉じる。

 足を止めた。



「ソアラ。考えるのはやめろ。頭がパンクするぞ?」



 ソラはソアラを強引に引っ張った。



「だって悔しいじゃん。武器属性だっけ?があれば私たちの戦い方にハバができるし」


 ソラの手とつながったままの手を振ってソアラは頬を膨らませる。



「ずっとこのままだと戦いにくい」

「まあ、確かにそうだが」

「二人は別々に戦えないのか?」



 ふと疑問になって聞いて見るクロエ。



「俺はその気になればちょっとした規模の都市を破壊できる。魔術でな。それも時間をかけずに。だが、俺には魔術師としての才はない」



 ソラは頭を掻いて、



「魔術をぶっ放つと体のどこかしらが魔力火傷おこす。瀕死になったこともある」



 ・・・・笑い事ではない。



 だがソラは何でもないという表情だ。



「魔力の制御ができない俺のかわりに」

「天才魔術師である私の出番」



 胸を張るソアラにソラは「ケッ」と舌打ちした。



「どこが天才魔術師だ。単独だと初級魔術しか使えねぇくせに」


「はあ!? そんなことないわよ」



 ソアラはソラを睨んだ。



「魔術の扱いにかんしてはSクラスに負けないわよ」

「二人とも一応魔術師みたいだがなぜ魔術科じゃないんだ?」

「ふっ・・・・色々あるわけだ。家庭の事情でな」

「どこも一緒なんだな」



 何だか親近感がわいた。

 家族には苦労させられる、そんな感じだ。



「俺たちは欠けた部分を補ってようやく一人前の魔術師なんだ」

「ソラ、違うわ。超天才が抜けている」

「自ら天才なんていうヤツにはロクなのはいない。普通が一番だ」



 ソラの言葉にクロエはひそかに頷いた。

 身近に天才がいるためソラの言葉に重みがあるように感じた。


 自称天才とやらも何だか痛々しい。



「いつか世界に私の名前を轟かせる。ソラとワンセットじゃなく、私個人として」



 ソアラは拳を握りしめて強く頷いた。

 いずれそうなるかもな、とクロエは思った。



「手をつないではじめて優秀な魔術師一歩手前という感じだから長時間の戦闘になりそうなら一時抜けさせてくれ」

「理由は?」

「俺たちの攻撃魔術は威力がありすぎるが一発で魔力切れになる」

「いざという時に『使えねー』と笑っていいか?」

「好きにしろよ」

「私なら殴るよ? グーで」

「笑うのは人として駄目だな」



 脅しに屈したわけではない。

 良識な人として判断しただけだ。



「お前ら。いつまで喋っている? 置いていかれたいのか?」



 馬車乗り場に続く道を歩いていたフレデリックが振り返ってくる。

 カノンは不機嫌そうだ。


 フレデリックがいる限りカノンはこのまま表情がかたいのかもしれない。


 クロエたちはいったん喋るのを中断し、フレデリックとカノンのあとを追った。




 ☆



 馬車で揺られること数時間。

 あまり整備されてない道を馬車が進み、腰や背中あたりが痛く為りそうになった時、目的地についた。

 情報では町━━と聞いていたが、そこはあまりに小さく、まさに田舎町のような感じだった。

 クロエは町の様子に違和感を覚えながら指定された場所━━この町に一軒しかないらしい小さな安宿についた。

 ここに【火喰い蜥蜴】討伐のリーダーであるギルド【不死の猫】のギルドランクAの女性がいると耳にした。

 だから安宿にはいってそれらしい姿を見つけたわけだが・・・・



 彼女のほうもクロエたちを見てため息をした。

 申し訳なさそうな感じで口を開いてくる。



 「事情は既に聞いている。が、アンタたちに試験をするつもりはないわよ?」

 「「「は?」」」



 ギルドランクAの女性の言葉にクロエたちは間抜けな声をもらした。

 それを耳にしたソラとソアラは思わず手を離し、そして━━

 頭を抱えた。



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