『三匹の子豚』
悪い狼さんにおしおきだ!三匹の子豚をアレンジしてチョップ!狼が異世界に転生しちゃうお話。
むかし、むかし、一匹のお母さん豚と三匹の子豚がいました。
お母さん豚は三匹の子豚にこう言いました。
「おまえたちは立派に育ちました。お母さんは悠々自適に老後の生活を楽しみます。だから、それぞれお家を建てて幸せに暮らしなさい」
ちょっとばかり違和感を感じる言葉に、それでも素直な子豚たちは一人立ちを決めました。
長男の豚吉は藁の家を、次男の豚郎は木の家を、三男の豚ウンティヌス三世は煉瓦の家を、それぞれ建てて、生活を始めました。
たった一人で家を建てやがる三匹は確かに立派に成長しています。
ある日、豚吉の家に狼がやってきました。
「豚さん、豚さん、お家にいれてくださいな」
「食べられちゃうのはイヤだから、お家には入れられないよ」
豚吉は至極真っ当な意見と共に狼の入室を拒否しました。
「ふん。なんだい、生意気な。藁の家なんかこうだ。ふぅーーーーーっ!」
狼は鼻で笑いながら、大きく息を吹き掛けて藁の家を吹き飛ばそうとします。
しかしどうした事でしょう、いくら息を吹き掛けても藁の家はビクともしません。
「ふぅーーーーーぅう、ぅ、ぅ、ぅげっほぁ!」
遂には狼はむせ返ってしまい、お昼に食べた三匹のシマリスがあわや逆流か、という所でなんとか堪えました。
「ぅげほっ、がはっ・・・なんだぁ?藁の家なんだから、簡単に吹き飛ぶはずなのに・・・」
「早くどこかにいってよー・・・ぷぷっ」
豚吉は笑いを堪えつつ、むせている狼に語り掛けます。完全に小馬鹿にしています。
小馬鹿にされた事に腹を立てた狼は、
「こんな藁の家なんかー、こうだ!」
と叫びながら渾身の正拳突きを放ちました。
パキョンッ!!
するとどうでしょう、小気味良い音と共に粉砕された手首がプラプラと風に揺れます。
激痛に身をよじる狼は僅かにむしれた藁の隙間から黒光りする鋼鉄の壁を見ました。
そうだったのです、外観こそ藁の家ですが、中身はガッチガチの鋼鉄製だったのです。
素手の狼にはどうする事もできません。
プランプランの手首を押さえつつ、狼は退散しました。
翌る日、豚郎の家に三角巾で右腕を吊った狼がやってきました。
「豚さん、豚さん、お家にいれてくださいな」
「食べられちゃうのはイヤだから、お家には入れられないよ。帰れ駄犬が」
豚郎は至極真っ当な意見と、一言余計なものをオマケに付けて、狼の入室を拒否します。
「だ、駄犬っ!?このやろう!木の家なんかこうだ。ふぅーーーーーっ!」
主にオマケに対して激昂した狼は、青筋を浮かべながら、大きく息を吹き掛けて木の家を吹き飛ばそうとします。
しかしどうした事でしょう、いくら息を吹き掛けても木の家はビクともしません。
なるほど、なるほどと狼は何かを察しました。
昨日の豚吉宅で学習した狼は、この木の家も中身は鋼鉄製だと予測しました。
しかし、事実は違ったのです。
次の瞬間、木の家の壁から次々と幾何学模様の魔法陣が浮き出してきました。
赤、青、黄色と出るわ出るわ、大量の魔法陣。
ポカンとそれらを見つめていた狼にそれぞれの魔法陣から火の玉や水の矢、電撃に石飛礫、果てはレーザー光線まで飛び出し、もれなく狼の全身に着弾。
そうだったのです、外観こそ木の家ですが、その表面には幾重にも魔法陣が描かれ、防御は万全、攻撃は過激なマジックハウスだったのです。
全身満遍なく打ち据えられた狼は、(う〜ん、とってもファンタジック・・・)と、能天気な事を考えながら意識を手放しました。
さらに翌る日、豚ウンティヌスの家に全身包帯やらギプスやらで重武装した狼が、懲りずにやってきました。
「ぶ、豚さん、豚さん、お、お家にいれ、てください、な・・・がはぁ!」
定型句をなんとか吐き出し、ついでに血も吐き出した狼は既に満身創痍です。
「総員・・・打てぇぇぇえええええ!」
豚ウンティヌスは問答無用で一切の容赦なく、部下に一斉掃射を命令し、部下も直ぐさま構えていた銃を乱射。
ディ○ニーに出てくるお城のような煉瓦の家から飛び出すのは妖精ではなく鉛玉。
それを受けて踊るのは天使ではなく狼。
狼は長男次男の時のような、大したやり取りもできず、蜂の巣にされてしまいました。
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数年後、異世界に転生した狼は狼獣人として生まれ、数多くのオークを討伐し、『オーク殺し』の称号を得ました。
おしまい
現代仕立てのファンタジー添えで召し上がれ。え?不味い!?そりゃそうですな。
この作品は「豚ウンティヌス」書きたかっただけなんです。
ごめんなさい。




