『長靴をはいた猫』
グリム童話の賢いにゃんこ(ハート)、長靴をはいた猫をアレンジしてカーニバル!!末の息子が異世界に転生しちゃうお話。
むかし、むかし、とても貧しいお父さんと三人の息子が暮らしていました。
ある日、お父さんが病気で亡くなってしまい、三人の息子が残されました。
一番上の息子は小屋をもらい、二番目の息子はロバ数頭もらい、末の息子は一匹の飼い猫をもらいました。
どうやってこの偏りまくった配分にしたのでしょうか?
殴り合いでもしたのでしょうか?
それは三人だけの秘密です。
末の息子は「猫を食べてしまったら何も残らないなぁ」と日本国では考えられない思考を繰り広げますが、ヨーロッパのお話なのでもーまんたい。
お兄さん二人に比べ、あまりに貧相な遺産にがっかりしている末の息子に、猫は言いました。
「きっとあなたには良い事があるでしょう!私に着るものと履くもの、それとマタタビの粉末を一袋くれませんか?」
突然喋り出した猫にびっくりしたり、がめつさに呆れたり、口元を歪める表情に薄ら寒いものを感じたりと表情作りに忙しい末の息子。
それでもこれから一緒に暮らす事になるであろう猫の頼みを、断る事が出来ない優しい末の息子の行く末が心配です。
とりあえず、直ぐに調達できそうなものから用意する事にしました。
末の息子はマタタビの木を見つけると、その枝やら実やら葉っぱやらを収穫すると、漏れなくすり潰し、乾燥させ、マタタビの粉末を作りました。
ちなみに作り方は適当なので、良い子は真似してはいけません。
末の息子は即席のマタタビ粉末を猫に差し出しました。
「ありがとうございます。これで僕はストレスレス!」
妙なテンションで、ニヤけながらマタタビの粉末を鼻から吸い込む猫を小突きたくなる衝動を抑え、次の貢ぎものを用意し始めました。
末の息子は自分が着ている服の一部を破ると、ちょちょいのちょいと小さな猫用の服を作りました。
その手先の器用さは目を見張るものがあり、下手をするとこの技能だけで食べていけそうですが、この物語とはあまり関係ありません、てへ。
末の息子は即席の服を猫に差し出しました。
「ありらろうごらいまる。これえ僕わノンコールドロロロロロロロロロ!」
渡された服を手早く着て、くるりと回りながらサムズアップ、した後によろよろと座り込んで、リバースした猫はマタタビで見事に泥酔していました。
汚物を見るような目で泥酔猫を眺めながら、最後の貢ぎものを用意します。
末の息子はとりあえず、世界最大級の鰐であるイリエワニを拳一つでノックアウト!
もう、それで生計を立てろと言いたくなるような所業ですが、この目的はご存知、猫の靴を作るためです。
手早く革を剥いで、なめして、カット・アンド・ソーイング。
あっという間に鰐革の長靴を作り上げました。
・・・最高級品やないか!?
末の息子は即席の長靴を猫に差し出しました。
「肉球が蒸れるだろうがぁぁぁぁぁあああああ!!!」
ヴァッ!!
猫は鋭く磨かれた爪を一閃!
末の息子の喉笛をスラッシュ!!
血がヘラージオの噴水のように噴き出しました。
ーーーーーーーーーー
数年後、異世界に転生した末の息子は王都でも評判の革職人として名を馳せました。
おしまい
「肉球が蒸れるだろうが!」を書きたかっただけのお話が記念すべき50話目という・・・。
ごめんなさい。




