『金の斧 銀の斧』
イソップ童話再・登・場!金の斧 銀の斧をアレンジしてストライク!みんな異世界転生しちゃうお話。
むかし、むかし、働き者で正直者のきこりがいました。きこりは毎日、毎日、一生懸命働いていました。
ある日、いつものように一生懸命働いていると、あまりに一生懸命過ぎて大事な斧が池に向かって飛んでいってしまいました。斧は唸りを上げ、盾に回転しながら池に突き刺さります。
「あー、しまったなぁ。あの斧がないと仕事ができないよぉ・・・」
すると、どこからともなく低音が特徴的で軽快なロックテイストの音楽が中々の音量で流れて来ました。
「・・・?」
さらに、斧を落とした池に渦が生まれました。その中心は若干赤黒く染まっています。
「な、なんだ?」
渦の中心からゆっくりと何かが浮かんで来ます。
「・・・!?」
浮かんできたのは、きっちりと整えられた角刈り、盛り上がる僧帽筋と大胸筋、束ねられた鋼のような上腕二頭筋と岩のような腹筋、丸太のような大腿筋、そそり勃つ絶滅した筈のドス黒いマンモス。
それは、全盛期のアー○ルド・シュワル○ェネッガーを彷彿とさせるガチムチマッチョマンでした。
しかしそれは、ただのガチムチマッチョマンではありません。
その額には先ほど落としたきこりの斧が深々と突き刺さり、だくだくと大出血しているアックス・オン・ガチムチマッチョマンだったのです。
しかも全裸。
そのあまりのあまりであまりな状況にきこりは呆然とその筋肉を見つめます。
「・・・うぬが落としたのは、この金の斧か?」
筋肉はサイドトライセプスのポージングを取り、金色の斧を上腕三頭筋に挟み込みながらきこりに問い掛けます。
地獄の底から響いてくるような重低音での問い掛けに、きこりの身体中から冷たい汗が噴き出します。
返答のないきこりに対し、
「ならば、うぬが落としたのは、この銀の斧か?」
と、ラットスプレットのポージングに変化し、その右手に銀色の斧を携えて、再度問い掛けます。
限界までバンプアップされた筋肉の圧倒的な威圧感にきこりはプルプルと震える事しかできません。
またもや返答が返ってこないきこりに対し、
「ふむ・・・ならば、うぬが落としたのは、我の額に刺さる普通の斧か?」
と、アブドミナル&サイのポージングと共に、頭の後ろで抱えられた両手の指で額に刺さっている斧を指さします。
「・・・っ!?」
そこで、ようやくきこりは気付きました。
筋肉の額に生えている赤黒く染まっているものはきこりが落とした斧だったのです。
「は、はぃ!」
反射的に答えてしまった正直者のきこりは、次の瞬間に己の失態を悟りました。
自らが落としてしまった斧に傷付けられたフルチン筋肉が次にとる行動とは何か。それは誰の目にも明らかです。
(ほ、ほられる!!!)
おおう・・・予想の斜め上。
長年連れ添った神秘の門が、あの黒光りしている逞しいマンモスに貫かれ、ズタズタに引き裂かれてしまうという惨劇の予感。
しかし、それは見事に裏切られました。
筋肉は慈愛に満ち満ちた眼差しできこりを眺めながら口を開きました。
「うぬの言に嘘偽りがないことしかり。褒美をとらす。この金と銀の斧、双方うぬに送ろう」
ダブルバイセプスの両手には先ほど見せた金と銀の斧が一本ずつ握られていました。
呆気にとられるきこりは状況を把握しきれませんが、予想が良い意味で外れたと僅かながら緊張を解きました。
しかし、次の瞬間、
「・・・ぬぁあ!!」
裂帛の咆哮と共に放たれた二振りの斧は唸りを上げ、きこりの胴を三分割。
血飛沫を上げながら、きこりだったものは地面にばら撒かれました。
「ぬ?・・・これは失敬」
筋肉は赤黒く染まる池のほとりを眺め、ゴツンと自分の額に刺さっている斧を叩きました。
すると、頭がザクロのようにパックリと割れ、静かに池の中へ沈んでいきました。
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数年後、異世界に転生したきこりと筋肉はひょんなことからお城の建設を任せられる事になり、立派なお城を建造しました。
おしまい
☆サイドトライセプス・・・ボディビルのポージングの一つ。手を後ろで組み、横向きになって、上腕三頭筋を強調する。
☆ラットスプレット・・・ボディビルのポージングの一つ。正面を向き、腰の辺りに手を当て、ラット(背中)を強調する。フロントとバックが存在する。要は後ろ向くか前を向くか。
☆アブドミナル&サイ・・・ボディビルのポージングの一つ。後頭部で手を組み、やや前屈みとなり、腹筋及び脚を強調する。
☆ダブルバイセプス・・・ボディビルのポージングの一つ。両手を挙げて、上腕二頭筋を強調する。ポージングでは一番有名。これもフロントとバックが存在。
今日の食後はボディビル大会を開催しよう!お父さんに負けないように鏡の前で練習だ!!でも、服は着ようね、チワワはわんとの約束だ!!!
この作品は「女神様がボディビルダーだったら」を書きたかっただけです。
ごめんなさい。




