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『マッチ売りの少女』

不条理の体現、アンデルセン童話のマッチ売りの少女をアレンジしてファイアー!まさかのあれが異世界に転生しちゃうお話。

むかし、むかし、とても貧しい少女が雪の降りしきる夜にマッチを売っていました。


「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」


道行く人は誰一人振り返らず、少女の前を通り過ぎて行きます。

それでも少女は手にしたマッチの箱を売ろうと声を掛け続けます。


「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」


少女はどうしてもマッチを売らなければなりません。

そうしないと、家で待っているお父さんにぶたれてしまいます。

それに今日は大晦日です。

このマッチを売らないと年も越せないのです。


「マッチはいりませんか。マッチはっ!!?」


そんな少女の前に複数の影が立ち止まりました。

浅黒い肌に彫りの深い顔、雪が降る中にブーメランパンツ一丁で体中から熱気をムンムンに放ちながら仁王立ちしている筋肉の群でした。


「そこでマッチを売る少女よ、我らを売りさばいてはくれぬか?」


それぞれが思い思いのポーズを決めながら、爽やかな笑顔を少女に向けます。

少女は呆気に取られますが、どこか有無を言わせない雰囲気を醸し出している筋肉の群に、無言で頷く事しか出来ませんでした。



「マッチョはいりませんか。マッチョはいりませんか。今なら一マッチョにつき、マッチが一箱ついてきます」


貧しい少女が雪の降りしきる中、マッチョを売っていました。

少女の後ろには大小色とりどりのマッチョがポーズを取ったり、道行く人々に笑顔を見せたりしていました。

道行く人々は誰一人顔を合わさず、逃げるようにその場を後にします。

いたいけな少女が大量のマッチョを売っているという事実は人々に恐怖しか与えません。


「はぁ・・・全然売れない。雪も強くなったきた。寒いよぉ」


少女はその場に座り込むと、顔を俯かせながら丸くなってしまいます。


「どうした少女よ?」


「寒いのか少女よ?」


「我らが暖めてやろうか?」


筋肉たちは少女を心配そうに見詰めると、ジリジリと距離を詰めてきました。

迫る肉と汗と熱気が、少女を暖めて行きます。


「ああ、なんて暖かっ、く、臭い!!」


少女は筋肉たちの男臭さと汗臭さと体に塗りたくられたオイルの臭さがいい感じに混じり合った臭さに鼻が物理的に曲がりそうになりました。

じわじわと増していく奇跡の臭いに少女は己の命の危険を感じ始め、急いでマッチを数本取り出し、マッチョたちに火を放ちました。


「バァァァァァニィィィィィングゥゥゥ!!」


「し、少女よ!!我は焼き肉に、否、焼き筋肉になってしまう!!」


「筋肉が焦げ臭い、筋肉が焦げ臭い!!」


「ふむ、このオイルは随分安かったが、可燃性か・・・」


筋肉の群はみんな仲良く焼き筋肉となり、少女はお父さんと焼き筋肉を食べて年を越しました。



ーーーーーーーーーー



数年後、異世界に転生した筋肉の群は筋肉の集落で筋肉を栽培して暮らしました。筋肉の栽培ってなんだ!?


おしまい

マッチ売りならぬ、マッチョ売りの少女・・・


この作品は「マッチョ売りの少女」を書きたかっただけです。


ごめんなさい。

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