14.これから
「それで、どこまでついてくるつもりなんだ?」
リヒーナとルッチェの前を歩いていたペールが、足を止めて振り返る。
「どこまでもついて行くぜ。おまえにはきっちり責任とってもらわねえとな」
くくく、とルッチェが不敵に笑う。
三人は、レヒテンから東に伸びる街道と、南北に伸びる街道が交差する場所で、馬車から降りた。
馬車はそのまま東へ進み、予定通り修道院を目指す。
ペールが「ここで」といって馬車を降りたので「じゃあ俺らも」とルッチェとリヒーナもそれに続いたのはいいけれど、この時点でふたりはまだ次の目的地を決めていなかった。
マジェームのレヒテン宮殿で雇ってもらえる可能性が潰えた以上、他の宮廷を狙わなければならないけれど、あてなどこれっぽっちもなかった。
そこでルッチェは元令息であるペールにめぼしい宮廷を紹介させようと企んでいるらしいのだ。
「責任責任っていうけど、きちんと街の外に出られたんだから、もう貸し借りはなしのはずだ」
「俺の働き口はどうしてくれるんだよ」
「どうせ、レヒテン宮廷に足を運んでいてもあそこで雇われることはなかったさ。もし、おまえが俺の穴を埋められるっていうんなら別かもしれないけどな」
ぐっ、とルッチェが言葉に詰まる。
ルッチェは、ペールの実力を認めていて、自分との差もしっかりとわかっている。
「ところでペールはどこに向かうの?」
「俺はメーセンに向かう。メーセン侯に用があるからな」
ペールの答えに、ルッチェがくらいつく。
「なんだよ、てめえメーセン侯とも知り合いなのかよ?」
「悪いか?」
「いや、好機だ」
ルッチェの表情を見て、ペールはしまったと自分の失敗に気づいたのか天を仰ぐ。
「まさかおまえ……」
「メーセン、いいじゃねえか。よし決めた。てめえと一緒にメーセン侯に会いに行くぜ」
「勘弁してくれよ。なんで俺がおまえたちを連れて行かないといけないんだ」
「駄目? 別に、売り込んでほしいとかじゃないんだよ。連れていってくれさえすれば、あとは自分たちで売り込むし」
リヒーナもルッチェを助けようと少し押してみる。
「ああ。顔さえつないでもらえればそれで充分だぜ」
ルッチェがにかっと笑ってみせる。
「もちろんおまえたちを売り込んでやるつもりなんてさらさらないから安心してくれ。だいたい、ここからメーセンまで七日はかかるんだぞ。七日かけてメーセンまで行っても、無駄足になる可能性が高い。それでもいいのか?」
「いいよ」
「いいぜ」
リヒーナとルッチェは揃って即答した。




