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瘴気ポイントに近付くほど魔物の数が多くなってくる。

けれどグレイさんはそんな魔物を一人で斬って倒していく。

王国騎士団長というのはこんなに強いのか。

だから護衛騎士は彼一人でいいということなのだろうか。

それにしたって聖女に国を救ってほしいと言いながら魔物にレベルがあるほど危険な旅に護衛騎士を一人しかつけないあの王様はなんなんだろうかとモヤモヤした気持ちでいた。



「もしかして、ここ?」


「ああ。あの沼が瘴気溜まりになっている」



森の奥にある沼からはごぽりと泡が出て、その泡が割れると黒い気持ち悪いモヤが辺りに散る。

私は杖を握り、深呼吸をした。



『光よ、在るべき場所に、在るべき姿に』



杖の先の魔法石から白い光が出て、私を中心に光の膜が広がっていく。

沼だと思っていたそれは小さな湖だったようで、鬱蒼としていた森に太陽の光も差し込み、澄んだ水がキラキラと光っていた。

終わりました!とグレイさんの方を振り向こうとした時、ふらりと身体が揺れた。



「大丈夫か」


「うん……力が、入らない……」


「魔力切れだな。あんたの力は凄いが、瘴気の規模に合わせて調整する必要がありそうだ」



浄化の呪文を唱えると常に全力放出してしまうらしい私に、グレイさんはぶつぶつと新しい特訓方法を呟いていた。

魔力調整なんて習ってなかったから、やっぱりのお城の人たちって……と嫌な気持ちになっているとグレイさんが突然膝をついた。



「グレイさん?」


「今動けないだろ。背負ってやる」


「えっ、でも重いし……」


「夜になる前に森を出る。早くしろ」



グレイさんに急かされて彼の背中に乗るとグッと持ち上げられた。

おんぶなんて子供の頃にお父さんにしてもらった以来だ。



「重たくない?」


「普通の人間の重さだ。そのくらい担げる」



それは重いのか重たくないのか。

グレイさんは物言いはストレートだけど嘘はつかない。

背の高いグレイさんに背負われているといつもより視界が高い。

それに歩く速度の速いグレイさんは私を背負っていてもスタスタと森を歩いていく。



「魔物が出たらどうするの?」


「さっきのでこの森一帯が浄化された。もう魔物は出ないだろ」


「えっ、そんなに?」


「ああ。だから魔力切れを起こしたんだろ」



沼だけの浄化じゃなく森丸ごとなんて思ってなくてびっくりした。

魔力切れになると立てないしフラフラするし、良くないことなんだろうな。



「魔法の練習……しなくちゃ……」



グレイさんとの旅をスムーズに終わらせるために、私はまだまだやることがたくさんある。

魔力切れのせいか、だんだん瞼が重くなってくる。

グレイさんの白銀の髪がほっぺに当たってくすぐったいのに、この広い背中に安心してしまう。

そのまま私は寝落ちしてしまったのだった。

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