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「聖魔法の使い方はわからないが、魔力の制御方法は教えてやれる。特訓するぞ」
宿の部屋で軽食を摂りながらそんなことを言うグレイさんは、さっきのことなんてまるで気にしていないようだった。
本当はもっと、聞きたい。
〝しがい〟ってどう言う意味なのかとか。
でもそれはグレイさんを傷つける言葉というのはわかるから気軽に聞けなくて、私はサンドイチみたいなパンでサラダを挟んであるものを食べながらグレイさんの話を聞いていた。
「どうやって練習するの?」
「ここではできない。あんたの涙は人間に紛れるが、聖魔法は魔物に気付かれる。この街に魔物がやってくるのは不本気だからな」
「じゃあ街の外に出たら?」
「ああ。魔物が来る可能性があるが……俺がいるから安心しろ」
くしゃりとゴミを握りつぶしてゴミ箱に捨てたグレイさんは、明日からの予定を教えてくれた。
街を出て次の瘴気ポイントに行くまでの道中で聖魔法の制御練習をする。
制御がうまくできるようになったら、現地に向かって実践する。
進行は私が聖魔法をうまく使えるかによってしまう。
「大丈夫かな…私、うまくできるかな」
「さぁな。でも、焦ったって出来るわけじゃないだろ」
「そうだけど……」
「あんたは、あんたらしくいればいい」
くしゃりと私の髪を撫でたグレイさんは、そのままベッドに寝転んだ。
私も寝る支度をしてもう一つのベッドに寝転ぶとグレイさんがあかりを消す。
「……グレイさん、聞いても良い?」
「なんだ」
「〝しがい〟って……グレイさんの悪口だよね?どういう意味なの?」
結局私は聞いてしまった。
それがグレイさんを傷つけるってわかってても、知らないより知っていたかった。
「…死の灰と書いて〝死灰〟。燃え尽きた灰のことだな」
「燃え尽きた灰……?」
「価値のない存在ってことだ。……この髪の色と合わせたあだ名だな」
私は身体を起こしてベッドに座る。
グレイさんは横になったまま、私に背を向けていた。
「私の世界では……燃え尽きた灰は、畑の土に混ぜて肥料にしてたり、湿気を取ったり、消臭剤にもなってたと思う」
グレイさんが寝返りをうって私の方を見た。
困惑したような、迷子みたいな顔のグレイさんに、私はなるべく優しい顔で微笑む。
「火は便利だけど、燃やした後の灰だって再利用できるんだよ。だから……死灰は役に立たないわけじゃないよ」
今後の更新は活動報告にて




