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人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜  作者: 犬型大


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闇夜の襲撃2

 アニキと言われていた方が男の方を倒して助けに来てくれる、そう思って偉そうにしていたのに来たのはリュードだった。


 男の顔がサッと青くなる。

 男がルフォンに組み伏せられてからそれほど時間は経っていない。

 

 激しい戦闘の音も聞こえなかったのに余裕綽々でリュードが現れたことにその実力の高さを理解する。

 見た目に騙されて実力を見誤っていた。


 上に乗っかっているルフォンの実力も男には計り知れないほど。

 脅しのナイフを本当に刺す胆力だけでなく、木の上に隠れる能力も高くて全く気付かなかった。


 それどころか接近してくる前に気づいていて隠れていたという事実に男は完全に負けを悟った。

 先ほどまでの態度はどこへやら、男は口を閉じて黙り込んでしまった。


「自分が置かれている状況が分かったようだな」


 リュードは縄を取り出して男の手足を縛る。


「よし、俺たちを襲った目的を聞かせてもらおうか?」


「それは……」


 男が背中合わせに縛られたアニキの方を見る。

 アニキと呼ばれているだけあって力関係はアニキの方が上みたいである。


「言え。言えばお前は逃してやる」


「……言わなかったらどうするつもりだ?」


「何もしないさ」


「はぁ?」


「何もしない。俺たちはこのまま立ち去るだけだ。ここだっていつ魔物が出るのか分からないからな」


 所詮はガキ。何もしないなんて手を汚すのが怖いだけ。

 そう思ったのだがすぐに思い直した。


「まさかこのまま放っておくつもりじゃないだろうな」


「言ったろ? 何もしないって」


 リュードの目は冷たい。

 男は背中がぞわりとする感覚に襲われる。


 本気だ。

 本気でこの暗い森の中に置いていくつもりなのだと男は悟った。


 仮にこのまま放っておかれたらどうなるか。

 長いことこのままになれば餓死などするかもしれない。


 しかしその前に男たちは死ぬことになるだろう。

 人が多い場所を除けば大体のところに魔物がいる。


 ほとんどの魔物は人を襲って攻撃してくる。

 縛られて無抵抗の人がいたらどうなるか。


 魔物が助けてくれるはずもなく襲われて食い荒らされてしまうことだろう。

 リュードが直接手を下して殺すこともなくこのままにしておくだけで男たちは魔物に殺されてしまうのだ。


 もちろんリュードはそんなことするつもりはない。

 よほど男たちが強情なら分からないけれど、こんなところで人殺しをしたくはない。


 もう平穏無事に話し合いで済ませる段階ではないが、命を奪わずに済ませられるならその方が良いに決まっている。

 だから出来るだけ冷徹に見えるように感情を殺し、話したなら本当に解放してやるつもりだった。


「……本当に逃してくれるんだな」


「ああ、逃げた後は好きにするといい」


「…………俺たちの目的はお前たちで……かっ……アニ、キ……」


「おい、どうした!」


 いきなり苦しみ出した男。

 みるみる間に顔が紫色になっていき泡を拭いて死んでしまった。


「ククク、何も言うわけがない、何も言わせるわけがない」


「起きていたのか!」


 気絶していたと思っていたアニキはいつの間にか目を覚ましていた。

 手にはどこから出したのか小さいキリのような武器を持っている。


 キリの先には毒が塗ってあってこれで男を刺して殺したのである。


「もちろん俺も何も話はしない!」


「やめろ!」


 アニキはキリで自分の足を刺した。

 咄嗟のことに止められずキリを取り上げた時にはもう遅かった。


 アニキも瞬く間に顔色が悪くなっていき、男と同じように泡を吹いて死んでしまった。

 謎の襲撃者。

 

 誰にも怪我がなかったのはよかったけれど何の情報も得ることができなかった。

 対応が甘かったと反省せざるを得ない。

 

 こんなこと初めてだったしまさか捕まった人間が即座に自殺するなんてこと一切頭になかった。

 一緒に縛るのではなく1人ずつ離しておくとか身体検査をするとかしておくべきだった。

 

 多少武器を持っていても勝てそうな相手とリュードは完全に舐めてかかってしまっていた。

 後味の悪い気味の悪さだけを残して男たちは永遠に口を閉ざした。


 1人は救えたかもしれない。

 こうした暗いことでも平気する人たちが世の中にはいるのだという厳しさをリュードたちは学んだのであった。


「一体何だったんだ……」


「こんな人もいるんだね……」


「そうだな。今日のこれは学びだった」


 リュードの中には自ら命を絶つだなんて選択肢はない。

 しかしそんな選択すらしてみせる人がいるがいるということを思い知ったのであった。

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