↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜  作者: 犬型大


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/622

旅にも潤いを2

「よいしょ!」


 最後に地面が濡れても大丈夫なように魔法でさらに地面を固めて簡易浴室の完成である。

 天井はつけるか迷ったけれど湿気がこもりすぎてしまうし真っ暗になるので開けてある。


 翼でもなければお風呂を覗くことはできないだろう。

 一発で完璧にこの形を作れるように何回も練習した。


 おかげで多少魔力のコントロールは良くなったし無駄ではなかった。


「おお〜!」


 ルフォンが興奮して拍手する。

 一方エミナは魔法的にはすごいけど、これの何がすごいのかが分かっていなかった。


 浴槽の底には魔石が2つ転がっている。

 1つをシャワーにセットして、もう1つを浴槽にセットする。


 浴槽にセットした魔石に魔力を込めると魔石から水が溢れ出して浴槽に溜まっていく。

 そしてお風呂にお湯が溜まるまでの間に焚き火やテントなど野営の準備をする。


 お風呂にご機嫌のルフォンはちょっとばかり豪華な晩御飯を作り、お湯が溢れたりなんかしてたりして日が落ちてきた。


「俺が見てるから2人は入ってくるといいよ」


「み、見てるって何をですか!?」


「魔物とかが来ないように見張ってるって意味だ!」


 何を勘違いしているのか顔を真っ赤にして体を隠すエミナ。

 こっそり覗くならともかく堂々と見るぞなんて言うはずがない。


 お風呂に入るところ見てるから入ればいいなんてど変態ではないか。


「リュ、リューちゃんが見たいっていうなら……」


 エミナの勘違いに触発されたルフォンがまたとんでもないことを言う。


「えっ……あの、いや、リュードさんがどうしてもというなら…………私も……」


 これではリュードが裸を見せろと2人に迫っているよう。

 健全な男子としての胸の内は見たいっていう気持ちもあるのだけれどそんな欲望丸出しな竜人ではない。


 というかエミナまでどうしてしまったのだとリュードは少し呆れる。


「いいから、入ってこい……」


 ただ一度意識してしまうとダメだった。

 リュードの体は無駄に耳も良い。


 ルフォンほどではないにしても結構良く聞こえるのだ。

 滝の音に紛れるように聞こえる服を脱ぐ衣擦れの音。


 周りを警戒しなきゃいけないから離れるわけにもいかない。

 それなりに近くにいるので聞こえてしまう。

 

 音による警戒も当然しなければいけないのにお耳が勝手に一方向に集中する。


「クッ……しっかりしろ、しっかりするんだリュード!」


 胸がちょっとだけドキドキしてしまう自分が恨めしい。


「わぁ〜、ルフォンさんのって綺麗な形してますね〜」


 なんと定番な会話!

 どこかで見たようなありがちな女の子同士の会話。


 ちなみにルフォンの胸は大きめ寄りの普通サイズ。

 直接見たわけではないからなんとも言えないけれど鍛えたりするので比較的ぴっちりとした格好もするので多少は分かる。


 ルーミオラから産まれたにしては頑張った方だと思う。


「エミナちゃんは……うん」

 

 実はリュードやルフォンよりも1つ年上だったエミナは普段はゆったりとしたローブを着込んでいるために分かりにくいが幼児体型。

 結構食事の量は食べているのにどこへ行っているのだろうかと疑問に思う。


 そんなこともあってリュードはエミナのことを年下だと思っていたので年齢を聞いて驚いた。

 それでもエミナはリュードとルフォンをさん付けで呼び、リュードは呼び捨て、ルフォンはちゃん付けで呼んでいる。


 今更呼び方を変えるのもおかしいのでそのまま呼ぶことになったのである。


「……エミナちゃんはもうちょっとだね」


「うっ!」


 グサリとルフォンの言葉が刺さる。

 ルフォンなりの優しさで言葉を濁したけれどかえって厳しい言葉になってしまった。


 ルフォンから見てもエミナは起伏に乏しい体に見えていた。


「うぅ……もう諦めているので大丈夫ですよぅ」


 とは口で言っても落ち込むエミナ。

 エミナはルフォンをチラリと見て自分の胸に視線を落とす。

 

 ルフォンは身長も高くプロポーションがいい。

 体のバランスが良くてとても綺麗に見える。

 

 それに引き換え自分はなんとお子ちゃま体型なのかとしみじみと思う。

 年は1つしか違わないのに何の差だろうかとしょんぼりする。


 濡れないように浴槽を入れていた袋に脱いだ服を入れて壁にかけておく。


「えいっ」


 ルフォンがシャワーに設置された魔石に魔力を込める。

 魔力コントロールが苦手なルフォンでもこれぐらい朝飯前である。


「ひゃあっ! 冷たいですよ!」


 シャワーの下にいたエミナが思いっきり冷水を浴びて悲鳴を上げる。


「へへっ、もうちょっと待ってね」


 分かったルフォンのちょっとしたイタズラ。

 魔力を込めてすぐお湯というわけにはいかない。

 

 1つの魔石でどうにかしようとしたヴェルデガーだがお湯を出すという魔法を新しく生み出すことはできなかった。


 まずは水を発生させる魔法、そして次にそれを温める魔法と二段回踏む必要があったのだ。

 同時に発動させてすぐに温かいお湯を出そうとも試行錯誤したのだけど上手くいかなかった。


 1つの魔石で2つの魔法を同時に発動させ始めるのは難しすぎた。

 なので時間差で魔法が発動するようにして問題を解決したのである。


 そのために最初は水で出てきてしまうのは仕方のないことなのである。


「あっ、あったかくなってきました!」


 そっと手を入れるとシャワーもちょっとずつ温かいお湯になってきた。


 簡易的なので角度は変えられないし手に取ることもできない。

 シャワーのお湯が出る穴のサイズも大きめで、前の世界のシャワーを知るリュードからするとまだ細かさが足りていない。

 

 不十分な出来なのでもっと完璧に作りたいものであるとリュードは思っているのだがエミナは感動していた。

 ルフォンを見るとこくりとうなずいたので思い切ってシャワーの中に身を投じる。


「ほわぁあ〜」


 熱すぎず冷たすぎず良い温度。

 魔石で温度はできないのでヴェルデガーはみんなの協力の下で最適な温度を探した。


 個別な希望もあったけれどみんながおおよそ満足する、そんな温度に仕上がっている。

 頭の先から心地よいお湯と共に埃っぽい汚れと疲れが流れ落ちていく。

 

 体を流したら今度はヴェルデガー特製石けんの登場。

 超がつくこだわり症のヴェルデガーに抜かりはなかったのである。


 2人で洗いっこなんかをしたりして、ようやく入浴タイムである。


「はあぁぁぁぁ〜」


 先に浸かったルフォンが気の抜けた声を出す。


「ほわぁぁぁぁ〜」


 お湯に浸かったことのないエミナもルフォンにならってそっとお湯に浸かると思わず声が出てしまう。


 お風呂はシャワーよりもちょっと熱め。

 こちらは水を入れるなど調整が出来るので高めの設定になっている。


 リュードが材料をもらって自分で作ったゆったりサイズの浴槽は2人で入るには少々狭いけど全然入ることはできる。


「お風呂、どう?」


「すっごく気持ちがいいです!」


「ふふ、エミナちゃんがお風呂好きになってくれてよかった」


「それにしてもすごいですね、これ。どうやって作ったんですか?」


 エミナが浴槽の縁を触る。

 見た目は大きな木をくり抜いたボートにも似ている形ををしている。


 触ってみてもささくれだったところはなく表面は何か塗ってあるのか滑らかで水は染みていない。

 それに魔法が刻まれた魔石。

 

 一体どうやって作ったものなのか、魔法使いのエミナにも分からない。

 持ち帰って研究したいぐらいである。


 よくよく見てみると簡単に使っている割に全く知らない凄い技術で作られている。

 のんびり使っている場合ではないのではないかと思うほどに凄いものであった。


「これはねぇ〜、リューちゃんのお父さんが作ったんだ。リューちゃんも作るの手伝ってたし、凄いでしょ?」


 肩までお湯に浸かってトロけるような表情のルフォン。


「…………確かに、凄いですね」


 今はそんなこと聞いているタイミングではない。

 まあいっかとエミナも浴槽に沈み込むように浸かって、難しいことを考えるのをやめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。