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人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜  作者: 犬型大


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父の出した条件3

 真人族にはまともに教育を受けられず字を書けない人も多くいる。

 自分の名前すらどんな字で書くのか知らない者だって少なからずいるのだ。


 そのための代筆である。

 受付の女性もリュードたちが字を書けるとは少し意外そうにしていたが自分の仕事の手間が減るだけなので何も口にはしない。


 サラサラと名前を書いて入学金の入った袋を受付に渡す。

 金額の確認をして空の袋を返してもらう。


「今期の授業が始まるのは明日からです。必要な物はこちらに書いてあります」


 受付の女性は入学届に判を押して必要なものが書かれた紙をリュードに渡した。


「教科書は近くの書店で販売しております。明日からなのでお早めに買いに行かれた方がいいと思います」


 必要な物は武器と何冊かの教科書、真面目に勉強するならペンとかで、そんなに量は多くない。


「泊まるところはどうなさいますか? 寮の方はまた空きがございますが」


「寮か……どうする、ルフォン?」


「どうしたらいいんだろうね?」


「そうですね、寮でなくてもこの辺りの宿は冒険者学校向けに安いところも多いですよ。寮ですと男女分かれてはいますがそれぞれ雑魚寝のような形になりますのでお気になさらないのなら寮がいいですが」


 雑魚寝かとリュードは内心ため息をつく。

 タダで泊まれる寮なので期待はしていなかったけれど寮と呼ぶにも粗末な感じはある。


 正直に言って知らないやつと同じ部屋で寝るのは嫌である。


「雑魚寝はちょっと嫌かな……」


 ルフォンもリュードと同じ気持ちで眉をひそめていた。

 特に鼻がいいルフォンはあまり他の人が近くにいることが好きでない。


 狭い部屋で他人の中で寝るのは苦痛である。

 それに寮に寝泊まりする人が綺麗だとは言えないのは仕方ない。


 リュードなら近くに、下手すると密着しててもいいぐらい特別。

 寮か宿か、2人とも同じ気持ちなので答えは決まった。


「どこか宿を探すことにします」


「わかりました。それではご入学おめでとうございます」


「どうもありがとうございました」


 受付の女性に礼を言って冒険者学校を出る。

 ひとまず前日にはなってしまったが授業に間に合って入学することができた。


「次は教科書買いに行くの?」


「うーん……いや、まず宿を探そう」


 多くないといっても何冊も本があれば重い。

 マジックボックスのカバンはあんまり人前で見せられないので教科書を先に買ってしまうと本を抱えて宿を探すことになるかもしれない。


 先に荷物を置いておける宿を探した方がいい。

 授業が始まるのは明日だから時間はそれほど多くない。

 

 受付におすすめの宿でも聞いてみればよかったと思いながら少し歩いてみる。

 冒険者学校から遠くなく、かつ高くない宿がいい。


 店員も落ち着いていそうで静かに休める宿を探す。

 

「申し訳ございません。もう空いている部屋はございません」

 

「満室でございます」


 しかし良さそうだと思って入ったところ全敗。

 ことごとく断られてしまった。


 聞いてみると今年は冒険者学校に他国から来ている人が多く、寮ではなく宿を取っているので埋まってしまっているとのことだった。

 他国から来る人には貴族や身分の高い人が多い。

 

 世話係や護衛のような付き人も来るので自然と入学者よりも人数が多くなり宿も余裕がなくなる。

 もう授業開始の前日なので良さそうな宿はほとんど空きがない。


 さらにはリュードたちが行商もやっていたように今時期は商売で動いている人もいるので空きが余計に少なかった。


 しょうがないので先に教科書を買いに行くか。

 そう考えていたら、ふいにルフォンがリュードの服を引っ張った。


「リューちゃん、あそこはどう?」


 ルフォンを指差した方を見る。


「雰囲気は悪くないけれど宿屋の看板はないぞ?」


「下にあるよ」


「あっ、ほんとだ」


 宿屋っぽいけれど宿屋じゃないと最初見た時は思った。

 とても印象良く見えたけれどドア上に掛かっているはずの宿屋の看板がないので宿をやっていないように見えた。


 けれどよく見るとドア横、地面に上に掛けるタイプの小さな宿屋の看板が置いてあった。

 落ちてしまったのか元々そうしていたのかリュードには分からない。


 ともあれ、落ちた看板を片付けていないのなら宿はやっているはず。

 こういう時のルフォンの勘は鋭いので期待はできるとリュードは思った。


「いらっしゃい」


「すいません、宿ってやってますか?」


 ドアは鍵もかかっておらずに開いていて、いらっしゃいという言葉で出迎えてくれた時点で半ば答えは出ているようなもの。

 宿をやっているか一応念のために聞いておく。


「宿はやってるし、部屋も空いてるよ。あー、あはは、看板かい? ちょっと前に酔っ払いが壊しちゃってね。わかりにくくてゴメンね」


 対応してくれたのは恰幅の良い中年の女性で豪快に笑う様を見れば性格も良さそうだった。

 掃除をしていたのか手に持ったほうきを置いて部屋の状況を確認しに行く。


 掃除の途中だったみたいだけれど必要ないくらい中は綺麗だし、手入れも行き届いている。


「えっと、じゃあお部屋2つ……」


「1つ」


「空いてますか……ルフォン?」


「お部屋1つ空いてますか?」


 リュードの言葉に被せてルフォンが前に出る。


「はっはっはっ、若いねー。今の空きだと4人部屋になるけど1部屋でいいかい?」


「えっ、あの2……」


「大丈夫です」


 まるでリュードがいないかのように会話が進む。

 宿のおばちゃんは何かを悟ったような優しい目でルフォンを見て、完全に会話の相手をリュードからルフォンに替えてしまった。


 とりあえず1部屋は確保できたので宿の説明を受ける。

 冒険者学校の入学者であることを確認された。


 それで分かるのは長期宿泊ということ。

 料金は10日ごとの前払いで少しお安めにしてもらった。

 

 元がそれなりに安いのでかなりお得な感じがする。

 朝夕は希望すれば食事も出してくれ、食事代も宿泊料に含まれているのでとりあえず希望しておいた。

 

 掃除や布団の交換、消灯時間などのサービスについて聞いて部屋の鍵を受け取った。

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