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神器も世界樹も神獣卵も買った。あとはゲームが現実になるのを待つだけ  作者: 狐白
2.

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第60話

「えっと……というわけで、これが……私たちの配信です。私は“狂狐”とかじゃないですから……適当に別の名前で呼んでください……」


渋々と台本を読み上げる。


白夜の宣伝効果は凄まじく、瞬きする間にコメント欄は視聴者で埋め尽くされた。


『ロケット狐狐はどう?』


「……ダメです!」


『ハゲ尻尾狐狐?』


「生えました!ちゃんと生えましたから!!」


『じゃあ“狂乱のハゲ尻尾ロケット狐狐”で決まりだな!』


「……」


くっ……!


私は画面から目を逸らし、コメント欄を見るのをやめた。


千夏が慌ててカメラを引き取る。


「沈黙はダメだよ!早く抽選イベントとかやろう!」


燈里は少し考えてから、淡々と言った。


「ランダムで当選者を一名、暗殺する?」


「……」


地獄みたいな配信だ。


まあいい。このまま退屈な空気になれば、きっとみんなすぐ飽きるはず……


……なんで視聴者数が倍になってるの?!


ドン――


突然、山頂から大太鼓の音が響いた。


続いて幾筋もの魔法光が夜空へと打ち上がる。


轟音とともに弾け、空一面に花火が咲いた。


山頂の祭司が拡声用魔導具を掲げ、声を街全体へ響かせる。


「海神祭、正式に開幕する!」


「ただいまより第一競技――飛魚捕獲を開始する!」


飛魚捕獲?


前世でも海神祭は何度もあったけれど、私は一度も参加したことがない。


だから詳しい進行は知らない。


「これよりルールを説明する!


 参加は自由。登録後、全息魔法陣へ入場せよ。汝らは競技空間へ投影される。


 競技エリアでは魔法・スキル・装備・冒険者用アイテムの使用を許可する。


 エリア内での死亡は本物ではない。ただちに失格となるのみだ。


 空を舞う飛魚を捕獲し、海神へ捧げよ。捧げた数がそのまま得点となる。


 第一段階終了時、最多献上者には海神自らの祝福を授ける!水属性耐性+10!さらに王国特製の豪華報酬!


 ――それでは。


 開始!」


「全員参加可能?」


労働改造中だった丸坊主たちが一斉に顔を上げ、目を輝かせた。


衡平が見張りの兵士に視線を向ける。


「俺たちも参加できるのか?」


兵士は面倒くさそうに手を振った。


「好きにしろ!俺も出るんだよ!じゃあな!」


「本当にいいのか?!


 なら優勝すれば……減刑になる可能性もあるな?」



「急げ急げ!今行かないと魔法陣に入れなくなるぞ!」


大阪降臨区が出現して以降、東京降臨区から大量の人間が流入している。


街は目に見えて混雑していた。


西フヴニア王国はそれをまったく予測しておらず、現在、魔法陣の緊急拡張に追われている。


「今年の冒険者は、ずいぶん熱心ですね……」


祭司が感慨深げに呟く。


私たちはもともと祭典区域にいたおかげで、人波が押し寄せる前に魔法陣へ滑り込むことができた。


「なるほど……」


魔法陣に足を踏み入れた瞬間、懐かしい匂いが鼻をくすぐる。


硫黄。

マンドラゴラの葉。

ミスリルプリズム。

魔晶粉。


「……ギルド戦と同型の陣式か。」


その匂いと空気だけで、身体が勝手に戦闘態勢へ切り替わる。


前世で、何度ギルド戦を経験したかわからない。ほぼ数週間に一度は起きていた。


ギルド戦には二種類ある。


ひとつは現実戦――相手の拠点を制圧するまで終わらない、死を伴う戦争。


もうひとつは模擬戦。魔法陣を用いたシミュレーション戦で、死亡しても実際には死なない。


大半は資源争いを解決するための模擬戦だった。


この祭典の陣式は、その模擬戦と同種。


この匂いを嗅ぐと――DNAが勝手に目を覚ます感覚がある。


『――え、何これ?狐さん急に雰囲気変わった!?』


『目が鋭い……!か、かっこよ……!』


『やば、さらに好きになった』


「……ふぅ」


背後の燈里の存在を意識的に無視する。


これはギルド戦じゃない。


「シミュレーション開始……戦場へ」


視界が一瞬で切り替わる。


次の瞬間、私は雲海の上に立っていた。


見えないガラスの床が空中に広がり、参加者を支えている。


身体は軽く、水中に浮かんでいるような感覚。


「おい!そこのお前!死ぬ準備はできたか!!」


足場を確認する間もなく、凶悪な視線がこちらへ向けられる。


集団だ。


そして彼らには、共通点があった。


――全員、頭が光っている。


髪の毛が、ない。


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― 新着の感想 ―
禿ギルド天堂さんは殺意に禿同する!
シリアスなシーンに成ると思った? 残念!ハゲ散らかしてますww
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