第28話 プニカ編② 決断と崩壊
あいつからペンダントを盗む!
……行く。早く行かないと……。
・・・
なんで動かないの。動いてよ私の体。
私の体は俊足で箱があった場所までやってきた。
パリン!
と箱があった場所にたどり着くと割れた音が響き渡り箱の中にいた。
え!どういうこと。
おばあちゃん……。
箱の中にはムラサキ様がプニカ大丈夫じゃったかのぅ。と言って立っていた。
箱の外には反動のあいつと光るムラサキ様がいて光のムラサキ様はあいつに後ろから両腕を捕まれている。
「あなたじゃったのかのぅ。プニカの能力を盗もうとしたのは。クトリ。」
「え、え。どういうこと、ムラサキ様。説明してください。」
そやつを抑えておくのじゃ。とムラサキ様はあいつに行った。反動に。
両腕を抑えてウンウンと頷いている。そんなのわかってるって言いそうなのに。
「目の前にいるクトリはワシに寄生したのじゃ。じゃからワシの反動に頼んだのじゃプニカ。
プニカを守るためにクトリを無力化するようにのぅ。
クトリはのぅプニカにある能力をみて盗もうとしたのじゃ。じゃからワシは閉じ込めたのじゃ。プニカの体にワシの反動と一緒にのぅ。」
私にやった秘術って自分の能力を他人に植え付けること。……ならそれは秘術だわ。
でも、どうしてムラサキ様ほどの人が寄生されたのか気になる。
「もう一回閉じ込められないの。」
「寄生虫を飼いたいということかのぅ。」
「飼いたくはない。」
「よかったのじゃ。飼いたいっていったらどうしようかと思ったのじゃ。」
「どうして寄生されたのムラサキ様は。」
「それはクトリがワシの……ワシの……。」
なに、ウンウン。ムラサキ様の反動はクトリがなんでも叶えられる物を知っていると知って会いに行ったけど寄生された。なるほど。
どんな願いを叶えたいのか気になるけど能力を無くせないのか聞きに行ったんだろうな。
以前、アキリン様に能力を無くせないのか頼んでいたからそうじゃない……かな。
「能力を無くして欲しかったのじゃ。」
「そうだったんですね。ムラサキ様。なら私も能力なんて……。」
「要らないなんて言わないことじゃ。クトリに食い殺されるからのぅ。」
だからって鼻まで抑えなくてもいいでしょ。
「どうすればいいのですか。ムラサキ様。」
「わからないのかのぅ。方法は決まっておるのじゃ。」決まってる……。
ペンダントを盗みとる!
「ロケットは今はここにあるのじゃ。どうするのじゃ。プニカ。」
ムラサキ様から……ムラサキ様からなんて無茶……。
「返してもらう。」「……。」
無茶でもやるの!
・・・
1時間……経った。
しかし、時間は1分より少し短い55秒。
55秒の時間が過ぎた。
そして……。
「行くよ。」「手加減しないのじゃ。」
始まった。
土が海に変わった。
驚いたけど海なら水ということ水なら自分の力にする!
水を一ヶ所に集めて変換したエネルギーに、変換した。そして、膨大なエネルギーをそのまま飛ばした。
すると閃光がムラサキ様に向かって飛んでいく。
部屋全体を覆うほどの光が……。
ムラサキ様、逃げて!
ムラサキ様は海を土に戻し、土を石の壁に変えて防御する。
光は石壁に防がれムラサキ様まで届かなかった。
「え、なぜですか!ムラサキ様!」
「簡単じゃ。石は光をも塞ぐ鉄壁となるのだ。」
なら、光よりも熱を強くする!
「行けーー!」
「アツッ!なるほどのぅ、しかしそれではのぅ、ワシを倒せないのじゃ。」
行かない……鉄壁を破れない。どうして。
「なんで通らないの!」
簡単じゃ、石は星をも作る核にもなれるのじゃ。
そうか、あれはただの石じゃない。
でもなに……。魔法石だとしても絶対に壊せないものなんて聞いたこと……賢者の石っていうのを本で読んだことあるけどそんなのは物語の偶像に決まってる。でも、……待ってここが夢なら……賢者の石なんてあるんじゃない……。
……でも、どうしたら……。
……あるものからやらないとダメ。目の前にあるものから手に入れる。
目の前にあるものから手に入れないとダメ。
なら、手に入れる主導権を手に入れる。
そうすれば私はとじ込もってなくても大丈夫。
あれが賢者の石なら全てを希少な金属にする石。または不老不死にする石。世界を支配する、世界の歴史を見れる石。
それで、どうやって攻撃を防いでるの。
……。
振り出しに戻った。
・・・
「もうおしまいということかのぅ。こちらの番じゃ。」
さっきまでムラサキ様を守っていた石壁がマグマになって飛んでくる。
同じマグマと水、そしてさっきの光エネルギーの凝縮した物を石にして放つ。
行け!
シュン!
閃光が発する音は先程はそう言ったのに今はパキンとなにかが割れる音になった。
「え!」
ジュ!
焼ける音が聞こえてムラサキ様を見るとムラサキ様の左側が消え焦げ跡が残っていた。
「私の負けじゃ。プニカ。持っていくのじゃ。お主のペンダントじゃ。」
「はい……ムラ……サキ……様。」
「そんなに泣かないのじゃ。」
「ム……ムラサキ様!さっきのあれはなんですか。私はなにをしたの。」
「プニカ、あなたはそれをもう使てはいけないのじゃ。わかったかのぅ。」
「わかりました。ムラサキ様。」
「そうか、よかったのじゃ。」
パリン!
空間が壊れた。そこは海の中だった。
「どうして海に……。」ん!しゃべったら死んじゃう。
「大丈夫じゃ。これは嘘じゃ。変換で空気を水のようにしただけじゃ。」
ならいいの……かな……。
「いいの、そんなんで。あれを見て。」
「え、なんでキラキラ光ってるの。」
「あれがキディストラじゃ。」
「キディストラってなんですか。」
「菌、小さな害虫を殺す方法じゃ。」
「意味わかんない。」
「キディストラと言う水をここには大量にあるのじゃ。」
「殺す必要ない!」
「殺さないとプニカに寄生するのじゃ。いいのかのぅ。」
「……。」
「クトリを殺してよかったの。」
「良い良くないではないのじゃ。プニカの親はあいつが殺したのじゃ。じゃからこれは復讐なんじゃ!」
「ムラサキ様がそこまで感情的になるなんて……、なら、ムラサキ様。私の祖父は誰。」
「お前の祖父は……いないのじゃ。私は珍しい雌雄同体じゃ。じゃから、夫はいないのじゃ。」
「そうだったの。」
「でもじゃ、プニカ。お主には姉妹が三人いる。一人は……「やめて!」。」
「わかったのじゃ。すまなかったのじゃ。」
「いいよ。まだ待って欲しいだけだから。外に出るために秘術を解いたのムラサキ様。」
「そうじゃ、外に出るために秘術を解いたのじゃ。」
「なら早く外に出よう。ムラサキ様。」
「そうかのぅ。外に出てどうするのじゃ。プニカ。」
外に出てなにをするか……。旅をしたい。姉妹がいるなら姉妹に会いたい。
「会いたいかのぅ、お主の姉妹にのぅ。」
「……。」
姉妹……。
「会いたい。あってみたい!」
「そうかのぅ。なら教えてあげるのじゃ。1人目はアカネじゃ。」
……アカネね、なんか納得した。
「二人目はアサナじゃ。三人目はリオンじゃ。」
「アサナ。アサナの母親はローザさんのはずです。」リオンって人は知らない。
「ローザの娘のアサナは違うのじゃ。
アサナキチミリンという名前じゃ。」
アサナキチミリン。
アキリンだったりしないよね。ムラサキ様!
でも、リオンってどこにいるんだろう。
フフン。なら探しようがあっていいな。
すまないのじゃ。プニカ。その三人はのぅ、姉妹じゃないのじゃ。兄弟じゃ。リオンは雌雄同体の私達の中でも特別だったのじゃ。
リオンは男じゃ。
そしてじゃ、リオンはもう存在しないのじゃ。
どこものぅ。
そして、お主の従兄弟は二人おるのじゃ。1人はナタレじゃ。
二人目はアディリア。三人目はモスコス。
四人目はソティスマイ。ソティスマイはワシの娘でもあるがのぅ。
五人目は……誰じゃったかのぅ。
名前までは知らないのじゃ。
ワシの子供の一人が生んだ子供じゃが名前までは知らないのじゃ。
従兄弟のこと教えた方がいいかのぅ。
「従兄弟の名前は。なんていうの。いるでしょ。ムラサキ様なんだから。」
「そうじゃのぅ……。」
そして、五人を教えてもらった。
「五人目はわからない。そう。」
「そうじゃ。」
「ムラサキ様。ムラサキ様のお陰で外に出る目的ができた。ほら、行こうよ。ムラサキ様。」
ここはもう必要ない場所だから。
避難所なんてない方がいい。
避難するにはここは相性が悪い。洞窟の中なんて。
だから早く終わらせる。
カチッ!
すまんな、ムラサキ。
貴様には知られていないことじゃがリオンは生きておる。リオンは確かに力に飲まれた。自分の世界の者に倒されてしまうという最悪な結果でだがな。それをもう一度見たいんだ俺は。見せろ!
見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ!見せてくれ!俺に!もっともっと絶望を見せろ!
「バーカ!」カチッ!
「なにものだお前は……。」
「……うーーん、とねーー、決めたーー。ムラサキちゃんの上司ってことにするわーー。私の名前は アキリン。じゃあねーー、ヒムロラ。」
「はぁークソ。お前、いつから知ってた。俺らが生き返ったこと。」
「……。うーーん……少し前からーーショウが帰ってきたんしょーー。」
知ってるよーー。
「そうか、なら俺が消えちまう前に一つ教えてくれ。勝てそうなのか。」
「ショウには勝てるはずーー。優秀だからーー。ちゃーーんとーーショウは追い返すか殺すから大丈夫だよーー。 」
「そ……か。」
カチッ。
あーあ、また消えちゃった。ムラサキちゃんの反動ヒスイク。