第16話 クラノス編1 やっぱりクラノスはD、Fクラス
歩いてラプオビに行くには時間がかかりすぎる。
サキさんにアサナやナタレより先にラプオビに行って…
クラノスが私たちより早く到着するなんて……暇な人にはうってつけなわけよね。
クラノス早いね。ラプオビで会うとは思わなかったのね。
クラノス、すごいです。私たちが早くたどり着こうとしたのに三日もかかったのに私たちより早くラプオビに着くなんて。すごいです。
クラノス、まさかだけどね。ここからそう遠くないしね、そもそもペルマム王国にあるね、二つの遺跡の一つにある秘宝を使ってねここに来たのね。
あの秘宝ならね空間を操って場所を瞬時に移動できるって聞いたのね。それを使えばここまでこんなに早くついたのも納得なのね。
ふーん、そういうこと。なら、こんなに早いのは普通よね。
等々言われて最後は埋められるんだ!
ってなるだろうけどそもそもサキ様達より早くラプオビに着くことなんて……ことになるわけがない。
って自分でもわかる。
サキ様より早くいくのは無理に決まってる。
歩いていくのと飛んでいくなら飛ぶ方が早い。車で行った方が早いに決まってる。
でも、おの内戦真っ只中を行くのは無理だ。
そこを大回りして抜ければ……大回りしたとしても、車でだろうが飛行機を使おうが変わらないな。
俺の方が遅い。これは変わらない。
それこそ本当に時空間、どちらか一方を操れる秘宝を見つけたりしないと無理に決まってる。
そんなことを考えてたからか頭いたい。
あれ、だんだん目の前が真っ白になっていく……。
って!
おかしいよな、これ。
休もう、歩きながら考え事なんてしてたら何があるかわからない。
鞄のなかには、食料と水、調理機具、本に帽子。
着替えはどうしたんだ俺……。
今のところ放っておこう。
疲れたから花の蜜を吸って、さぁ、出発!
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、足が重い。
休もう。
木々が生い茂ってるから森なのは確かだけどあんまり進んでない。昨日から十キロも進んだ気がしない。
実際にクラノスは三キロも進んでいない。
やっぱり徒歩は無理だな!
でも……馬車も馬を使わない車みたいなのも俺持ってないしな。
そもそも、馬車も持っていない。王国近衛騎士の副隊長なのに。
あれ副隊長。
じゃないな俺は、王国騎士団の四番隊から六番隊のどこかの副隊長だったな。近衛騎士の副隊長はアサナだ。隊長はナタレ。
俺は、そもそも役職なんかあるのか。
いや、ある!
だけで実権はアサナがもってるがある!どっかの隊の副隊長という役職がある。あってないようなもんだがある!
ホワ-ーン ホワワーン
ハハハそれってないのと同じだよな。ハハハ。
ふぅ、まずいな。
こんなところで考え事してたら眠って死ぬかもしれない。早くどこかこの頭痛がなおる場所は……。
ーーバタン。
といくとこだった。
危ない危ない。考えても無理だけど考えないとだし。洞穴を探すか木でも登ってみるか。
って思ったけど洞窟なんて見たところないから木を登ろう。そうしよう。なんあかわかるか、助けてくれるだろう。
近くの木を登った。
うーんここがどこだかわからない。
ここ、木が生い茂っててここがどこだかもわからない。ここからどうすすめばこの木が生い茂ったこの場所から出れるのか。
わからない。
でも、たぶんあそこだろうな。この症状はたまに聞くあれにそっくりだ。
イポメアル
って呼ばれる、神経毒の花。これで死者は出てないけどイカれるって聞くしな。
イポメアルがある森ってことは、
ここは、(ジャポニクス)森かもしれないってことはわかったけど、どうやって森を出ようか。
まさか……。
ピュー!と風が吹いた。
太陽のように明るい光とエネルギーを持ったなにかが上空を通りすぎた。
「なんだ、今の。城の方から来たんだよな。
これって、まさかサキ様が死んじゃっちゃたなんてことはないだろうな。ハッハッハッハッ。」
でも、城から来たんだ……よ、な…………。
・・・
は!っと起き上がる俺。
毛布をかけられてベットの上で横になっていた。
倒れたのか、俺。
やったー!夢だった!
森の中で遭難して、木を登ったら城から太陽並みの高エネルギーがやって来て大火傷で死んだけど夢だった!
しかも、サキ様がそれを放ってたけど夢だった!
やっっっっっっったーーー!
やった!やった!
深呼吸をして自分の置かれている状況を把握するために辺りを見渡す。
最後の方は夢だけど途中までは現実だ。うん、だから俺はこんな軽装でリュックがあるだけなんだろうからな。
現実だった。最後の方は夢だけど途中までは現実だった。それで、俺は遭難したんだよな。それで、木に登ってたわけだ。それで、ここはテントだよな。モンゴルの遊牧民が使うちょっと広いな。軍か。それでここは救護室ってとこか。
でも、管轄とかそういうのがまったくわからないな。
「ここは、なんだ。」
「ここはテントだ。ペルマム王国の……だれだ。おまえ。」
「亡命者だ。」
テントの入り口から入ってきたそいつはバカを見る目で俺を見ていた。
「なんだよ、哀れそうなやつを見るような顔をして。」
「嘘じゃないのか。」
「嘘だよ。俺はクラノス。」
「やっぱりそうか。ガッハハハ。ペルマム王国のバカクラス。シークラスだな。ガッハハハ。いやー、久しぶりだなぁ、同士よ。」
は~ 、なに言ってるのお前。顔からして知らないぞ。お前のこと。
あと、なんだよその鎧。重そう。
それをきて歩くだけで特訓って思うぐらいだ。よくテントの中でも着れるよな。
っていうかよ鎧兜被ってて顔見えないから、いろんな意味で恐怖だから。
ガッハハハ!と盛大に笑いながら背中を叩いてくる。めちゃくちゃ痛い。
「本当にお前誰だよ。」
「誰だよお前と言われない。おかしいぞ。おかしいぞ。これは不味いぞ。
どうすればいいんだーーー!
よし、叫んだ。いやー、叫ぶことを一日一回はやらぬとなー。」
ガッハハハ!と叫んで背中を叩いてくる……。
叩くやつを哀れみを含むように遠目で見る。嫌いだこいつ。叫ぶにしてもタイ……ミ……ン……グ……。
俺は見失ったな。うん。叫ぶ前にこいつが来た。クソ、災厄だ。
「クラノス君、君は私を覚えてないそうだがこの筋肉は覚えてるだろう。」
知らねぇからしまえそんな無駄なもん。あっても邪魔なだけだろ。鎧も重そうだな、ってなんでテント内で鎧着てたんだよ。さっさと脱いでろよそんな重そうな鎧なんて。
それとよ、なんで覚えてないそうだな、なんだよ。覚えてなさそうだな、だろ。
それとよ鎧兜着けて顔がよく見えねえやつを誰がわかるんだよ。アサナだったらわかりそうだけど、俺はわからないんだ!
「おめぇ名前ぇは。」
「やっと、都会の熱が抜けたようだな。ガハハハ!は!」
声でけぇよ。あと痛いから背中叩くなよな。
目の前にいるやつの話を聞く気がなくなった俺は周りを見渡した。
テントだというここにはお茶などの飲み物が入っているだろう物、テーブルと椅子と涼んで行きなさいと言ってくれてるのに違いない。
それにしても誰もいない。
救護室だと思ったがただの休憩室か。
そして俺がいるのは寝袋じゃなくてしっかりとしたベット。
ふかふかであと三時間は寝たい。
三時間だと短いけど。
気持ちいい。このベットで眠ろうかな~。
あー涼しい気持ちいい。
「おやすみ~。」
「クラノス!おい!クラノス!」
なんですか~とほのぼの答えた。
「久しぶりねー。」
・・・。
「・・・、ギャーーー!!
なぜここにいるのですかーーー!!」
ベットから落ちそうになるのをなんとか耐え、やってきた人をよくみる。
でも、逆光でよく見えん。声で誰だかはわかったけど。
本当になんでここにいるんだ。
「なぜクラノスがここにいる!ドウダン!」
あ、エキアス様もその意見なんですか。
「エキアス様!申し訳ありません!ここにクラノス様がいらっしゃる理由はわかりません。申し訳ありません。」
は、わかんないの。ドウタン、。わかんないのか。そうなんだな。
「そうー、わからないのー。」
「怒っているのですか。エキアス様」
「怒ってないわよー。元々こういう顔でしょーー
ー。」
いえ、いつもはもっと可愛らしい顔です。般若のお面のように怖くありません。とは返せないみたいだなドウタン。
なぜか外からこの世のものではないものを見て恐怖の冷や汗を出してるような雰囲気が伝わってくるが……そんなわけない……よな。
いえ、その通りです。テントの中のオーラで何人か失神しています。
そして、テントの中に入ろうと入り口に手をかけた人も倒れてます。
そんなことを知らないテントの中は。
外のことに意識が向いていたが目の前にきれいな脚がスラッと美しく伸びていたため現実に意識を向けた。
正座してドウタンと並んで座っている。
ドウタンがいうには俺はこの七番隊の管轄にやって来て迷って死にそうになったところを助けてもらったらしい。
強力なエネルギーがどこから来たのか聞き込みをしていたらたまたまいた。その程度だった。
脱走兵だと思ったらしい。
外に意識を向けたが目の前のきれいに手入れされ輝き、潤いが保たれたスラッと伸びた足を眺めた。
しかし、その脚にはどす黒いなにかと真っ赤ななにかが見えた。
ってこれ血だ!
と叫び上を見上げようとしたときおもいっきり蹴りあげたエキアス様と呼ばれた人。
「ねぇ、どうしたのー。みんな。あれ、ドウダンどこに行ったのー教えてくれなーい。」
とテントの外に出て言うフィナ。
全員そっぽを向くがすぐに気をつけの態勢になって質問という名の尋問を受ける。
睨まれるのこわ!
と思っている俺ももちろん並んでいる。怖いから。普通にテントを出て並んだだけだが回りの視線が怖い。そして、ここに立ったら前の人が怖い。逃げ出したかったけど怖くて無理。
アサナとかナタレも怖いけどそれ以上の怖さがある。
「ねー、なんでドウダンはいないのー。さっきまでいたよねー。」
という言葉に返せるものはいない。