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以前より明るくなったグレイスは、学業にもより一層力を入れていた。
「グレイス、なんか明るくなったね」
「え?」
エルダに指摘されて、グレイスはそれに気付く。
「なんか昔のグレイスに戻ってきたみたい」
「……そうかな?」
「なんとなく。でも、明らかに前よりは明るくなったと思うよ、俺」
「……自分ではわからないけど……。エルダが言うならそうかも」
そう言って、柔らかく笑んだ。
恋人になっても変わらない関係としては、学院の同級生で、幼馴染。
「ね、グレイス」
「何、エルダ?」
不意に名前を呼ばれて言葉を返すと。
「好きだよ」
「……知ってるよ」
エルダの言葉にそう返すグレイス。
今も、これからも、ずっと一緒に。
――ずっと、愛し合っていきたい。
それは、お互いの気持ち。
―了―




