呪い……?
「大司教様〜」
「おや、どうされましたか」
俺は大司教様に診てもらうために教会に来ていた。若干、お酒の匂いがするがきっと今日も聖なる祈りの儀式を行ったのだろう。
仕事中に飲むなんてと咎めたいところだが、それよりも今は大事なことがある。
「大司教様、俺に女難の相の呪いがかかっていたりはしないだろうか?」
大司教様は顎に手を当て、真剣な表情で考え始めた。やっぱり俺には悪い呪いでもかかっているのだろうか。
「……なるほど」
「どうだ?」
「ええ、かかっていますね」
「本当か!?」
やっぱりそうか。もっと早く診てもらうべきだったな。そうでなければこのガチャの排出率はおかしい。
だが、いざ自分が呪いにかかっていると言われるとどうしたらいいものか。
「物欲センサーという名の煩悩があります」
「……は?」
えっと、ゲームかなんかの話か?
俺は真剣に悩んで大司教様に相談に来たのだが。
「欲するほど欲しいものは現れず、諦めた頃に現れる。古来より恐れられてきた呪いです」
「そうか、俺には全く問題がないということがわかった」
「安心してください。治す方法がありますよ」
俺は耳を疑った。
物欲センサーという名の煩悩を治す方法だって?本当にそんなことが出来るのなら俺にも可愛いメイドが……!
「ど、どうやってやるのか一応聞いておいてもいいだろうか?」
「別に若い女の子など来なくてもいいと心から思うことです」
「1番無理じゃないか!」
「ほら今も煩悩が漏れましたよ」
俺には分かったことが一つだけある。
きっとこの大司教様は治癒魔法で怪我などを治すのはプロだが、呪いなどは全く治せないうことだ。もしかしたら呪いを感じ取ることすら無理なのかもしれない。
諦めていつか呪術師などが現れたら調べてもらうことにしよう。
「ちなみに現在の従者は誰々がおりましたかな?」
「そうだな……セバスとマーサとアルト、ジルやマリー、ラディにハンス。後は安藤さんに源さんかな」
「ふむ、見事な男性率ですね」
「これ以上傷を抉るのはやめてくれ」
「ガチャ運というものは時として残酷なものなのですね」
なぜだろう。俺は呪いの確認に来てこの後のガチャにワクワクの気持ちで挑むはずだったのに、むしろメンタルがだいぶやられた気がするのだが。
「神は必要な者をきちんと遣わせてくれますよ」
「じゃあ俺の可愛いメイドは……?」
「まだ必要ではないのでしょう」
俺はもうガチャの神様に祈るのはやめよう。
そう心に決めて、ギルドへ向かった。
「こんにちは領主様」
「ああ、アリアナも田中さんもお疲れ様」
「春樹くんもお疲れ様だね。顔が疲れてるよ」
俺はここに来る前に教会に寄った話を2人にした。
「あはは、物欲センサーね!確かに、誰もが持っている煩悩だ!それが呪い……大司教様も上手いことを言う」
「田中さん!俺は全然笑えないですからね!」
いつも落ち着いている田中さんがここまで笑うのは始めて見たかもしれない。
俺はちっとも笑えないが。
「それより領主様はいつも通りガチャを回しに来たのですか?」
「っ……!そうなんだよ、聞いてくれ!俺は運が味方するという天運スキルを手に入れたんだ。だから今日はきっと可愛い女の子が出るに違いない!」
「天運スキル……始めて聞きましたが期待しないでおきますね。いつも通りだと思いますし」
アリアナまで言うようになったじゃないか。
「そうだね、僕は可愛いとは真反対のガタイのいい戦士が出てくるに1000円賭けるよ」
「あら、それなら私はまだ恋愛対象にならない子供が出てくるに1000円賭けるわ」
そうやって俺の爆死を願って賭け事をするのはやめろ!
少しぐらい領主の幸せを願って賭けてくれたっていいじゃないか。
「……俺は可愛い女の子が出てくるに1000円賭ける」
悔しいから俺は自分に賭けて、従者ガチャを55連回したのだった。




