盗賊退治と潜入捜査?
体育館に着いた俺たちはまず、普段子供たちがよく遊んでいる鬼ごっこをして遊ぶことになった。
「鬼ごっこ……鬼の見た目になればいいということでしょうか?」
「いや、鬼を連れてくればいいんじゃないか?」
どちらだろうか?みたいな顔をしているがどちらも違う。俺はこのポンコツたちに遊び方を教えた。
そして始まったのだが……
「2人とも……捕まったら鬼になるとは言ったが、飛んでいたら捕まえられないじゃないか…」
「む、これなら捕まらなくていいかと思ったのだがだめなのか?」
「ええ、いい案だと思ったのですが」
飛んでるだけで絶対捕まらない鬼ごっこをして何が楽しいんだろうか本当に。
改めて魔法や飛んだりすることは禁止!とルールを付け加えて鬼ごっこを始めたのだった。
「春樹兄ちゃん俺らより体力ないんだね!」
舐めてた3歳児。もちろん獣人だからというのもあるんだろうけど、すぐに追いつかれるし何回やっても有り余る体力。身体的には絶頂期であろう24歳の俺はことごとく敗北した。
「この遊びは体力と持久力を養い、相手との間合いを見極め逃走経路を瞬時に判断する。そしてどうすれば相手を捕まえられるか考え続ける遊びなのですね……」
「そんなことを考えながら鬼ごっこをしていたのですか?」
思わずエルの考察にびっくりした福田さんが呟いた。
「なるほど、これは盗賊退治の訓練にも有効なのですね」
「違います」
さすがの福田さんも早いツッコミだ。嬉しい、最近だと俺だけではこの2人をツッコミきれないと思っていたんだ。
とりあえず鬼ごっこにそんな意図はないから物騒なことを言うのはやめてくれ。楽しく遊びたいだけなんだ。
「じゃあ次あんまり走らなくてもいいようにかくれんぼにしよー!」
「それがいいですね、体育館では隠れるところが少ないので外でやりましょう。森林エリアや建物の中は禁止ですよ」
福田さんの説明にエルとアスが顔を見合せて呟いた。
「……今度は潜入捜査の練習ということでしょうか?」
「うむ、違いない」
「……違いますからね」
「でも簡単すぎませんか?気配察知でどこにいるかなんてすぐにばれてしまいますよ」
「隠密の訓練なのではないか?我も昔はよく訓練したものだ」
「……スキルも魔法も禁止に決まっているでしょう!」
この2人に悪気がないところが怒れないところなんだよな。至って真面目でポンコツなハイエルフと至って真面目で天然な悪魔なのだ。
そしてじゃんけんで鬼はアスに決まり、俺たちはみんなそれぞれの場所に隠れだした。
……普通だと元魔王軍幹部に見つかった日には俺は死ねる自信があるけど、これが平和的な遊びでよかった。
「見つけたぞ春樹。お前もこい、1人残らず捕まえる」
これ、本当にかくれんぼだよな?討伐作戦とかじゃないよな?
あ〜見つかちゃった!えへへ。なんて冗談でも言えない雰囲気なんだが。
漏らさなかった俺を褒めてほしいぐらいだ。
とりあえず残りのメンバーも探しに行こう。俺が見つけてあげないと、他のメンバーもアスの犠牲になってしまう。
そして俺の努力は虚しく結局1人も見つけられずに終わり、みんなそれぞれ帰宅した。
屋敷に戻ると泣きそうなラシオンがセバスに抱かれ俺の元へやってきた。
「ラシオンどうしたんだ?」
『っ、ぐすっ。ぼくもあそびたかった』
セバスに話を聞くと窓からかくれんぼをしていたのが見えていたらしく、自分だけ誘ってもらえなかったと拗ねていたみたいだ。
「次はラシオンも一緒にかくれんぼしような」
いつまでこうやって泣いてくれるのだろうか。案外あっという間に反抗期がきて、邪魔だからあっち行って!とか言われる日がきたら多分俺が泣きそうだ。
寂しくさせた分、夜はラシオンと寝るまで一緒に遊び、そのままベッドで眠りについたのだが俺はしっかり全身が筋肉痛になっていた。




